週明けの日経平均は大幅安だが…下げ幅は限定的!?
週明けとなる3月30日の東京株式市場では、日経平均株価は大幅安となっています。
カレンダー的にはまだ3月ですが、株式市場では、その月の最終営業日から2営業日前が実質的な月末になります。この3月で言えば、31日(火)の2営業日前である27日(金)です。「権利付き最終日」と言われ、3月期の企業の配当金や株主優待、株主総会に出られる権利を得たいならば、27日時点で株式を保有している必要がありました。
すなわち、週明け30日(月)に株を買っても2020年3月期の配当金などを得られる権利は得られません。よって、週明け30日は「権利落ち(配当落ち)」と言います。配当などをもらえる権利を得た投資家による売り物が出やすくなる傾向があります。実質的に4月相場入りとなります。
30日の日本株の下落のうち、多くの部分は「権利落ち(配当落ち)」の分です。このほかが前週の週末における米国株の大幅安、日本国内各地の新型コロナ感染者数の増加、外出自粛要請の悪影響といった、コロナ関連でネガティブ材料の織り込み切れていない分となります。
仮に「権利落ち(配当落ち)」の分が200~300円とすれば、コロナ関連での下落分は300~400円分で、米国株の急落があった割りには、あまり大きく下げていないという印象があります。ボラティリティ(変動幅)が大きいマーケットにおいては1,000円程度の変動があってもおかしくはないのですが、600~700円の下落であれば下げ幅は限定的と判断できます。
3月の日本株は米国株の値動きに連動しにくくなった
3月の日本株の特徴として、米国株の値動きに連動しにくくなったというものがあります。米ドル円の値動きにも一喜一憂するケースが少なくなってきました。2月までの「米国株、日本株、為替相場の連動性」は薄れています。
この背景に何があるのかと言えば、海外投資家が撤退したことがあると思われます。
平時の相場における一時的なリスク回避局面では、例えば、景気敏感株が売られて、その資金がディフェンシブ銘柄に退避するといった動きがみられます。また、日本株が売られて、その資金が債券市場に一時的に流入するということもあります。何かが下落すれば、何かが上昇するというイメージです。つまり、金融商品の中で資金が移動するだけです。
しかし、新型コロナウイルスの影響がどこまで広がるのか、いつ終息するのかは誰もわかりません。リスク回避どころか「恐怖」の状況となったため、海外投資家が日本株をはじめ、保有する金融商品をすべて売り、現金化しているものと推測されます。原油や金(ゴールド)といった商品までもが急落しているところから、世界中の投資家が現金化を急いだとみて、よいでしょう。
これにより、日本株は海外要因よりも、目先では日本国内の材料によって動いていく状況と考えられます。
そうであれば、4月相場はいったん振れ幅が小さくなる可能性があります。そうはいっても、落ち着くとか冷静になるという意味合いではなく、様子見や模様眺めというイメージです。
新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案が施行され、同法が規定する「緊急事態宣言」についての関心が高まっていますが、これも織り込み済みとみる向きもあります。宣言があれば、当面の不透明要因がすべて出つくしたとして、株価が反発するとの見通しを示す市場関係者さえいます。しかし、実際にどう動くのかは、動いてみないとわからないというのが正直なところです。
この週末でも、東京における新型コロナウイルスの感染者数が増えているとか、自粛ムードがより強まっているという、株価下落の材料は確かにあります。ただ、大概のネガティブなニュースは織り込まれてきており、買いのきっかけがないから株価が反発しない、ダラダラ下げていくという展開が見込まれます。
新型コロナ関連で「サプライズ」が出ない限り、4月は買い手控え、様子見、模様眺めでダラダラと下落し、直近安値である16,000円台~17,000円で底堅さを見せれば、5月下旬ごろからリバウンドの動きがみられるかもしれません。向こう1カ月~1カ月程度は企業決算のほか、政府による補正予算の編成も見込まれており、これらを消化して初めて、株価のベクトルが上方向に反転する可能性が出てくるということです。