美容オイルから異臭が…モロッコで木登りする山羊の糞が原因?

『なぜ僕は「ケニアのバラ」を輸入したのか?』(幻冬舎MC)を上梓した小林邦宏氏は、アフリカ・ケニアのバラ農園との取引を開拓し、オンラインフラワーショップ「世界の花屋」を開業した。同氏は花だけに留まらず、美容オイルの事業をはじめ様々なビジネスを手掛けている。

未曾有の危機を「業界」単位で捉えていないか?

世界中を廻っているなかで、国籍問わずたくさんの方から、「業界の先行きが見えず悲観している」といった相談を受けます。しかしそれは、「自分の業界」という切り口でのみ物事を捉えているため、将来が不安になっているのだと考えられます。

 

筆者はいずれ「業界」でなく「機能」で評価される時代が来ると予測しています。世界の変化に伴い、いろいろな業界が新しい「機能」が必要となっているのです。

 

たとえば、筆者は美容オイルの事業を展開していますが、美容への造詣も深くないですし、これまでにビジネスの経験もありませんでした。しかし、花の仕事を通じて植物の世界を知り、ソーシャルメディアを活用したビジネス展開をしているなかで、美容オイル業界のある特徴に着目し、ビジネスチャンスを掴みました。

 

◆「モロッコで木登りする山羊」を見て閃いた

 

手に取ったオイルから少し異臭がした経験はありませんか? これは、オイルが酸化して起きている現象です。複数の会社が介在するオイル業界では、時として酸化が進んでしまうのです。

 

オイルといってもその種類は様々。有名なものでは、ホホバオイルやアルガンオイルがあります。美容に興味ある女性はもちろんのこと、きっと男性の方でも耳にしたことあるのではないでしょうか。

 

オイルの流通経路は非常に長く、業界の特徴ともいえる点です。顕著な例としてモロッコのアルガンオイルを紹介します。

 

アフリカ北西部に位置し、広大な面積を誇るモロッコですが、実は、アルガンオイルのもと、アルガンツリー(アルガンツリーの実から搾取されたものがアルガンオイルです)が生息している場所は、中南部の都市アガディールを中心としたエリアのみ。

 

このエリアをドライブしていたとき、とある光景を目撃しました。山羊がアルガンの実を食べているのです[写真]。「山羊も木に登るのか…」と正直驚きました。

 

山羊
山羊

 

現地の方に聞いてみると、このエリアの山羊はアルガンの実が大好きなのだとか。でも、実際に実は消化されず、そのまま糞として排出される。このような実は山羊の体内ですでに酸化されているのですが、場合によってはこれがアルガンオイルに使われてしまうことがあるということ。

 

この話を聞いて、筆者は閃きました。「現地と直接やり取りし、買付けの力で差別化できる。お客様に安心・安全を提供できる!」

 

差別化ポイントはできました。あとは、自分の手持ちのスキル・ネットワークを用いてビジネスモデルを創っていくのみです。こうして生まれた100%天然由来の美容オイルブランドが、「精油とわたし」であり、現在オンラインで商品販売しています。

 

こういった経験から得た知見として、読者の皆さんにオススメしたいのは「皆さんのビジネスの強みを整理してほしい」ということです。恐らく、今持っている強みは、ほかの世界でも活かすことができるのではないでしょうか。

「業界」という枠組みが音をたてて崩れた現代

たとえばAmazon。皆さんのご存知のとおり、Amazonはもとはオンラインの本屋でした。しかし、自社の強みを大いに活かし、横断的に事業を拡大してきました。今やGAFAの1つとして世界トップ10に入るグローバル企業です。

 

ネット社会が進み、世界中で「業界」という既存の枠組みが音を立てて崩れてきてています。いえ、すでに崩れているといっても過言ではありません。しかし、これはピンチなどではありません。大多数の人にとって、ビジネスチャンスなのです。

 

ルールが変われば、ビジネスも変わります。つまり、「業界の枠組みが壊れた世界」とは、「ビジネスチャンスにあふれている世界」と考えられるのではないでしょうか。

 

◆どんな「事業」にも寿命がある

 

筆者自身、自社を立ち上げてから15年が経ちますが、プラスチック・包装資材から水産、そして花、さらには美容オイルと、業種という枠組みにとらわれない事業展開をしてきました。

 

特に10年ほど前、プラスチック・包装資材の専門商社であった当社が水産業に参入したときは、「そんな畑違いの世界に参入するなんてクレイジーだ。地に足付けて、本業にまい進すべきだ」などと批判を浴びました。

 

しかし、環境資源の問題からレジ袋を否定する動きなどが活発化する昨今、周りからは「いやー、水産事業やっておいてよかったですね。どうして水産業を始めようと思ったんですか?」などと言われます。


掌の返しに苦笑してしまいますが、ここで伝えたいことは、「事業には寿命がある」ということ、そして「機能には寿命ない」ということです。

 

◆「機能」を活かせる場所はどこか

 

筆者は美容オイルの業界で「世界中の現場を廻って買い付ける機能」を強みにしました。おそらく、5~10年前にはいらなかったものです。しかし、世界が「安心・安全」に対して高いアンテナをはっている今だからこそ必要とされる「機能」となったのです。

 

自身のビジネスの方向を変えなくてはならないときが来た際、あなたの支えになるのは、間違いなく、「あなたの強み」「機能」です。「機能」は様々な業界を横断して使える、汎用性のある能力です。翻っていえば、「機能」とは、業界に縛られることがなく半永久的に保持できる「強み」なのです。

 

さて、皆さんの「機能」を活かせる場所はどこか、冷静に見てみましょう。おそらく、思いもよらぬ別の業界であなたの得意な「機能」を活かすことができるのではないでしょうか。自宅待機を余儀なくされている人も多いことです。混乱が続く今こそ、落ち着いて皆さんの「強み」「機能」を洗い出してみてください。

 

 

小林 邦宏

株式会社グリーンパックス 専務取締役

 

【第一回はこちら】→『日本に危機感を覚えた筆者は、「めんどくさい他国」を選んだ

 

 

株式会社グリーンパックス 専務取締役

東京大学卒業後、住友商事株式会社の情報産業部門に入るも、世界を旅しながら仕事をするという夢が諦めきれず、28歳で商社を起業。花、水産物、オイルなど、さまざまな商品の卸売りを始める。

中国などアジアを中心にビジネスをしていたが、「中小企業は大手と同じことをやっていては生き残れない」と考え、南米、アフリカ、東欧、中近東など、「人が行きたがらない場所」に行って、知られていないニッチな商材を見つけ、取引するようになる。情報番組への出演や、ラジオ局のゲストコメンテーター、講演業など、幅広く活躍中。

著者紹介

連載なぜ僕は「ケニアのバラ」を輸入したのか?

なぜ僕は「ケニアのバラ」を輸入したのか?

なぜ僕は「ケニアのバラ」を輸入したのか?

小林 邦宏

幻冬舎メディアコンサルティング

「東大から財閥系商社」というキャリアを投げ捨て、アフリカ・ケニアのバラ農園との取引をたった一人で開拓し、「世界の花屋」チーフバイヤーとして多くのメディアから注目を集める著者。 なぜ、財閥系商社を飛び出して「フ…

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