FRBや日銀の追加緩和は想定内…米ドル円は再び下値模索の公算

3月12日のECB(欧州中央銀行)による追加緩和に続いて、16日には米国のFRB(連邦準備制度)や日本銀行も相次いで利下げや緩和拡大を決めました。ただ、新型コロナウイルスの影響拡大により、各国の当局が動くことはある程度、予想されたことです。今週以降の為替相場がどう動くのか、考えてみます。

米ドル円の100円割れには少し時間がかかる可能性

為替市場では、値動きが荒くなってきています。

 

週明け3月16日の東京市場では、前週末13日の米国株高を受けてリスク選好ムードが強まり、米ドル円は当初、上昇するとみられていました。しかし、アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度)が現地時間15日(日本時間の16日早朝)、臨時の会合を開いて政策金利を一気に1.00%引き下げ、事実上のゼロ金利政策に踏み切り、さらに、市場に大量の資金を供給するため量的緩和政策の導入も決めました。

 

FRBの金融緩和は日米の金利差が縮小するため、米ドル安・円高の材料となります。米ドル円は16日早朝、オセアニア市場で108円ちょうど付近から1円ほどの下落でスタートし、いったんは105.70円レベルまで下げ幅を拡大する場面もありました。週明けの朝方で市場関係者が少なかったことや、13日のニューヨーク市場の時点で大幅な米国株高を受け、米ドル円のポジションをロング(買い持ち)にしていた投資家が、慌てて売ってきたことも背景にあるのかもしれません。

 

FRBの緊急利下げを受けて、週明け13日の米ドル円は下落してスタートした
FRBの緊急利下げを受けて、週明け13日の米ドル円は下落してスタートした

 

ちょうど1週間前、3月9日午前の東京市場で米ドル円は急落し、一時101円60銭台をつけました。2016年11月以来、約3年4ヵ月ぶりの米ドル安・円高水準です。これにより、テクニカル的には遅かれ早かれ、節目の100円を割り込む可能性が出てきました。

 

詳しい解説は省きますが、月足チャートで「三角持ち合い」という形状を作っていたところで、それを下方向に放れたことにより、「投資の教科書」的には米ドル円は下落するというものです。

 

米ドル円・月足チャート 【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】
米ドル円・月足チャート
【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】

 

ただ、100円を割り込む可能性があると言っても、今すぐかとなれば、少し時間がかかりそうです。それは米ドル(米国)の要因でも、円(日本)の要因でもなく、ユーロ(欧州)に動きが出てきたためです。

米ドル円の反発はユーロ米ドルの下落が影響した

この週末、WHO(世界保健機関)が、新型コロナウイルスの世界的な大流行の中心がヨーロッパになったという認識を示したことが伝えられています。中国をはじめとしてアジアにおける感染者数拡大は一服感が出ていますが、一方でイタリアでは感染者数が急増し、スペインやフランスなど他の欧州各国でも状況がひどくなっていると報じられています。これは為替相場ではユーロ売りの材料となります。

 

なお、ECB(欧州中央銀行)が12日に開いた定例理事会では、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)による域内経済への悪影響に対応するため、量的緩和政策を年末まで1,200億ユーロ拡大することが決められています。もちろん、これもユーロ売りの材料となります。

 

ユーロ米ドル・60分足チャート 【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】
ユーロ米ドル・60分足チャート
【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】

 

ユーロ米ドルの60分足チャートが、断続的なユーロ売りが出ていると分かりやすいと思います。ユーロ米ドルが下落するということは、ユーロが売られて、米ドルが買われているということです。

 

FX(外国為替証拠金取引)の取引をされているなど、為替に詳しい方以外は理解しづらいと思いますが、ユーロが下落して米ドルが上昇すると、これは他の通貨ペアにも影響します。とりわけ、個別の材料に乏しい円(日本)に対して、より顕著です。円相場は独自の材料では、上にも下にも動きにくいのは知られるところです。

 

ユーロが下落して米ドルが上昇すると、米ドル円も上昇します。円は動かず、米ドルが上昇しているのだから、結果として米ドル円は上昇します。週初9日の101円台から週末13日の108円台まで、1週間ずっと米ドル円は上昇しましたが、ユーロの軟調な値動きが背景にあります。

日銀が金融緩和強化を決定も影響は限定的に

ただ、1週間続いたユーロ売りの動きも、そろそろ一段落するかもしれません。ユーロ米ドルは、2月安値の1.08ドル割れから3月高値1.15ドルちょうどレベルの半値押しの水準まで下落しており、ここからの一段安には、何らかの材料が必要となりそうです。目先のネガティブな材料はいったん織り込まれつつあり、どのあたりでユーロの下落が止まるのかが、全体相場のカギを握りそうです。

 

ユーロの下落が一服すれば、米ドル円は再び下値を模索してくるかもしれません。下方向に一度押してみて、そこからいったんリバウンドしましたが、これは想定内です。政府や中央銀行など各国当局から何らかの動きが出てくることは事前に予想された話でしょう。それらが出つくしたところで、投機筋や短期筋が再度仕掛けて、安値更新から節目の100円割れを狙ってくるというのが、投資家心理が不安定で、信用収縮の地合いでのよくある相場のパターンです。

 

16日の正午から、日本銀行による金融政策決定会合が前倒しで行われました。当初18日~19日の予定でしたが、変更となったものです。ここで日銀は金融緩和の強化を決めましたが、やはりというか、決定後の相場への影響は限定的となっています。日銀の打つ手は、いよいよ出つくしたとみてよさそうです。

 

米ドル円・日足チャート 【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】
米ドル円・日足チャート
【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】

 

米ドル円は上昇したところでショート(売り持ち)のポジションを作り、下げたところでこまめに買い戻して利益を確定するトレード手法が有効と考えられます。そうしていれば、いずれドカンと下げて大きな利益を得られるかもしれません。

 

安易なロング(買い持ち)ポジションは危険で、戻り売り戦略でいく場面と考えたほうがよさそうです。

 

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著者紹介

連載投資初心者でもわかる金融マーケットや経済の話

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