NYダウは再び過去最大の下げ幅を更新した
週明けとなる3月16日の米国株式市場では、NYダウが終値で20,188.52ドル(前営業日比-2,997.10ドル)となりました。-12.93%の大幅安で、過去最大の下げ幅を再び更新しています。
取引開始直後にS&P500という主要500社の株価指標の下落率が7%を超えたため、すべての株式の売買を一時停止する措置「サーキットブレーカー」が発動しました。先週から3度目の発動です。売買再開後も売り圧力は収まらず、一時は3,000ドル超の下げ幅となる場面もありました。
これにより、2月に記録した史上最高値から、わずか1ヵ月の間に9,000ドル以上も下落したことになります。
新型コロナウイルスについては、中国以外でも、日本や韓国といったアジアでは1月あたりから、景気や企業業績、株価への悪影響が懸念されていました。しかし、米国では影響はないとの楽観論がほとんどでした。その分だけ、この状況に対して、信用収縮、投資家の疑心暗鬼といったものが、より大きく表面化したのかもしれません。
値動きが最近一段と大きくなっている背景は?
株にしても為替にしても、相場が荒れているときにボラティリティ(変動幅)が大きくなるのは仕方がありません。かつての「リーマンショック」などの危機の際も同じでした。しかし、このところの株式や為替、原油といったすべてのマーケットは、値幅が大きすぎるという感じがします。
この点で、前の週の半ばあたりから聞こえ始めているのが、これまで経験した「〇〇ショック(危機)」の際とは異なり、今はシステムトレード(自動売買)を駆使する投資家が増えているため、相場が急変すると対応しきれないということです。一部の機関投資家やファンドにとどまっていたものが、近年は個人投資家も活用するようになりました。
AI(人工知能)は過去の値動きなどをもとに学習し、買いや売りのタイミング、取引量を計っています。つまり、過去の値動きになかった展開になると、AIは対応しきれません。パニックになり、「より安全に」と考えて、持っている買いのポジションを解消します。これが、売りが売りを呼ぶ相場展開の背景の1つと考えられています。
もう1点、にわかに言われているのが、米国で今年の秋に大統領選挙があるため、日本でいうところの「政局」のツールになっているということです。
野党の民主党だけでなく、トランプ氏の大統領再選を阻止したい人は多くいます。これまで、米国株の株高がトランプ人気の最大の要因となっていましたが、これを取り除けば、再選が危うくなるという見立てのようです。
節目の20,000ドルを割り込むと、次の下値メドは?
それでは、NYダウの下値メドはどのあたりになるのでしょうか?
まずは節目の20,000ドルが、誰でも考えているところでしょう。トランプ政権が始まった2017年1月の株価水準でもあります。
いったんはここを割り込むかもしれませんが、20,000ドルをターゲットにしてショート(売り持ち)で参入していた投資家からすれば「達成感」のようなものが出て、買い戻してくる可能性があります。底堅さがみられるようになれば、打診的な買いが入って株価が持ち上げられるなど、ショートの投資家には「売り疲れ」のようなムードが出てくるかもしれません。
しかし、節目の20,000ドルまでは、あと200ドル弱しか「貯金」がありません。ここを明確に割り込んでくると、底が深くなるリスクが増大します。
そうなれば、トランプ氏が大統領選で勝利する前の水準、すなわち18,000ドルあたりに投資家目線が下がります。トランプ政権が4年近くやってきたことがリセットされるような格好になり、トランプ再選を阻止したい主体からすれば、むしろ、このあたりまでの株価下落を狙っているのかもしれません。「トランプノミクス」というバブルがはじけたと、メディアで言われるでしょう。
NYダウが20,000ドルを割り込み、18,000ドル程度まで下げてくるならば、当然ながら米ドル円は節目の100円を下回ってくるはずであり、水準感からすれば、日経平均株価は15,000円レベルまで下落しそうです。この15,000円という水準は、実は2016年に株価が弱含んだ際につけた安値であり、当時、「アベノミクス」というバブルがはじけたと新聞の見出しになりました。
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