国内案件ではMBOによる株式非公開化が目立つ
2月のM&A(合併・買収)件数は、前年同月比1件減の77件だった。2月としては、2010年以降の直近10年間で前年に次ぐ高水準。1月に比べると8件増えた。
日銀による金融緩和などを背景に、2020年もM&Aへの意欲はおう盛だ。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて世界経済に不透明感が強まる中、先行きは買い手側の企業が慎重姿勢を強める可能性もある。
上場企業に義務づけられた適時開示のうち、経営権の異動を伴うM&A(グループ内再編は除く)を、M&A仲介のストライク(M&A Online)が集計した。
金額首位は、調剤薬局展開の総合メディカルホールディングスがMBO(経営陣による買収)により非公開化する案件で、買付代金は最大763億円。経営陣の要請で投資会社ポラリス・キャピタル・グループがTOB(株式公開買い付け)を行い、全株取得を目指す。
海外案件では、大王製紙と丸紅がブラジルの衛生用品大手、Santherを584億円で買収する案件が最大。大王製紙51%、丸紅49%出資の特別目的会社(SPC)が6月末に全株式を取得する。
国内案件で目立つのはMBO。総合メディカルのほか、住宅用照明器具のオーデリック、住宅用給排水器具のミヤコが非公開化を発表した。3件とも創業家の意向に基づき、抜本的・機動的な意思決定を可能にする経営体制を構築することを狙いとする。
MBOは今年になって、1月発表の2件と合わせて、すでに5件。昨年1年間の6件に早くも並ぶ勢いだ。
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RVHはミュゼプラチナムと不二ビューティを手放す
海外M&Aは16件(海外子会社の売却を含む)。国・地域では英国、ドイツ、カナダが各2件、アジア関連が中国、タイ、ベトナムなど7件。米国は今回ゼロだった。
取引金額100億円超の案件は8件(図表参照)。国内の事業会社同士では、サツマイモ加工卸のポテトかいつか(茨城県かすみがうら市)の全株式を139億円で取得するカルビーの案件が最も大きい。サツマイモ領域に本格参入する。
生命保険事業に進出するのは、傘下にイオン銀行などを持つイオンフィナンシャルサービス。ドイツ系のアリアンツ生命保険(東京都港区)の子会社化を発表した。
一方、RVHは美容脱毛サロンのミュゼプラチナム(2016年買収)と、エステティックサロンの不二ビューティ(「たかの友梨ビューティクリニック」、2017年買収)の2つの美容子会社を手放す。両社だけで連結売上高の8割以上を占めるが、競争激化や人手不足、広告宣伝費の増大などで厳しい業績が続いていた。
RVHはもともと、システム開発事業を主力。M&Aをテコに、レディース事業への業態転換を推し進めてきたが、振り出しに戻る形だ。
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