人材育成のコンサルティングを担う株式会社Legaseedの代表・近藤悦康氏は、著書『はたらくを、しあわせに。』(クロスメディア・パブリッシング)にて、「はたらくということは自分の時間(命)を有意義にするためのもの」と説いています。同氏の考える「仕事で大切なこと」とは、一体何でしょうか。

資産形成の手段として「副業」をはじめるリスク

ベストコンディションをつくる自己管理~資金管理

 

良い仕事をすれば、評価が得られ、報酬も上がります。報酬をたくさん得れば、それだけ自分の夢を叶えることができます。そんな、大切なお金の管理を忘れないようにしましょう。

 

大切なのは、自分のキャッシュフローを理解することです。まずは、お金の入りと出を管理しましょう。入ったお金をどんどん使っていくのはNGです。先に、出るお金を明らかにしてください。これは、必ずかかる経費(家賃、光熱費、通信費、奨学金の返済金)など、生活するために避けられない出費のことです。

 

仮に、絶対に出ていくお金が月10万円だとしましょう。次に考えるのが、残したいお金です。1年間で30万円貯蓄したければ、月2.5万円残す必要があります。ですから、入るお金=手取りが月20万円だとしたら、使えるお金は月7.5万円です。ここまで計算して、初めて使い方を考えましょう。

 

この7.5万円の使い方をプランニングするとき、気をつけてほしいのが、手が届かないものを購入する場合です。こんなとき、お金が足りないからと金利の高いキャッシングなどに頼ってはいけません。結局返済もできず、借金が増えるケースを多く見てきました。

 

ただし、諦めろと言いたいわけではありません。もしも必要なものがあり、お金が不足しているなら、親や知人にプレゼンテーションをして、出資をお願いしましょう。自分が何を実現したくて、そのためにいくら必要で、どう返済していくかという計画をしっかり立てて、返済の約束も書面で交わしましょう。

 

「親に迷惑をかけたくない」と思う人が多いのですが、はっきり言って、キャッシングの返済で首が回らなくなるほうが迷惑になります。キャッシングの方が楽にお金が借りられます。お金を借りるときには、努力や覚悟が必要な手段をとらないとモノになりません。

 

私も高校、大学、大学院と奨学金をもらって通うことができました。社会に出たときの返済額は500万円を超えていました。だからこそ、学んだ分を社会に出て価値で返し、投資した分を回収しようと頑張れたのだと思います。

 

以前、授業料を一括で払わなければならず、悩んでいる子がいました。その際に、私が肩代わりして、内定期間中にアルバイトをして、月々返済できるように一緒にプランニングしたことがあります。お金で困ったら、早めに上司や社長など、力のある人に相談することで解決できることも意外に多いのです。

 

ちなみに、近年はそうやってお金に困り、副業を考える方もいますが、20代の副業はおすすめしません。

 

主業をつかんでもいないのに、副業をしても長期的な資産形成ができません。若いときは副業ではなく、修行をする気持ちで自分の専門性を磨くほうが、結果的に多くの報酬を得られるようになります。

 

入るお金=稼ぎを増やすには、成果を上げ評価を得るしかありませんが、副業をすると本業がおろそかになりやすく、中途半端な仕事になって評価を上げられません。そのためにも、自分が具体的に生み出す成果目標を定量的に持つことが大切です。

 

営業職であれば、粗利益をいくら上げて、お客様の幸せを増大させるか? 広報職であれば、メディア記事に取り上げられ、広告費に換算するとどれだけの価値を生み出し、会社を世の中にPRするか? 採用職であれば、成果の出せる人材をいかに採用し、入社した人材がどれだけ会社に利益をもたらすか? これらを明確にして、業務に取り組むのです。そして、自分が会社にどれだけの利益貢献をしているのか、業績評価の面談の場などで、資料を自ら作成し、プレゼンすることをおすすめします。

 

野球選手の契約更改の場面をイメージしましょう。自分の給与の妥当性を自分で表現する上での基準は、自分の給料の5倍以上の粗利益を会社にもたらしているか――です。

 

「自分の給与の妥当性」基準は何か?
「自分の給与の妥当性」基準は何か?

収入のピークを何歳に持っていくのか?

また、稼いだお金の使い道は、消費ではなく、投資に使いましょう。投資といっても、株や債券ではなく、自己投資です。自分の市場価値を上げることができれば、得られる収入は自ずと増えます。書籍やセミナー、一流の人との会合、資格取得など、自分の知識や技術を磨くために使うのです。

 

余裕のある資金を持つことができれば、株や債権、不動産への投資もできます。ただし、「自分以外への投資」は、資金が減ってもよいと、リスクを受け入れられる状態で実施することをお勧めします。プロのアドバイスをしっかりと受けて、意思決定しましょう。そのような投資で失敗して、精神的に落ち込んで本業に影響が出ては目も当てられません。

 

そして、自分の市場価値を上げるには、「分かち合う」が重要です。自分ができるだけではなく、人に指導し、できるようにさせてあげられるレベルにならないと、一定以上の収入は得られません。

 

講師、コンサルタント、弁護士、会計士など、専門的知識をもとに、成果をつくる指導ができると高収入が期待できます。「できる」ことがまず求められる仕事でも、経営者や取締役、役員など、その組織の中で高収入を得るポジションは、事業責任を持ってチームを束ね、メンバーを指導・育成できる力が求められます。

 

野球ではよく、「名選手、名監督にあらず」と言いますが、プレイヤーとして一流でも、マネジメントが苦手な人は少なくありません。自己投資をするときも、その観点を忘れないようにしましょう。その上で、若いときは卓越した成果、実績をつくる。そして、その経験をベースに若手を指導し、成長させられるレベルを目指してください。

 

そうやって、ステージを上がりながら収入を上げていくには、収入のピークを何歳に持っていくのか、というイメージが大切です。

 

私の場合は、労働による収入のピークは40代に設定しています。50代以降は、労働ではなく、仕組みや知恵で収入を得られるように考えています。20代は付加価値を上げる時期でした。30代は組織をつくり経営ができるレベルになりました。40代は資産を形成し、50代以降は得た資金で、社会還元や若手への投資をしていきたいと考えています。

 

長期的な人生設計をし、自分の報酬、資産形成のイメージを具体的に持ってください。年金など、国の保障はあまり考慮せず、自力でいかに資産を形成するかを考えましょう。

 

さらに、もう1つ忘れないでもらいたいのが、パートナー選びです。浪費家を選んではいけません。不必要なものにお金を使わないパートナーを選びましょう。互いに経済的に自立して生きられる人と一緒になり、子どもの教育や環境づくりにしっかりとお金を使いたいと考えられる夫婦になれれば理想的だと考えます。

 

はたらくが、しあわせになるチェックリスト~資金管理

 

1 自分の月毎のキャッシュフローを計算し、毎月の使える金額を明確にする

2 キャッシングを使わない(借金は努力と覚悟が必要な借り方をする)

3 副業をせず、まずは主業で修行しできることを増やす(副業はそのあと)

4  自分の仕事の価値を金額に換算し、会社にプレゼンできるようにする

5 自分の給料の5倍以上の粗利益をつくる

6 稼いだお金の10~20%は自己投資(自分の成長につながること)に活用する

7 リスクをとってもいいお金があれば、株や債券、不動産への投資を考える

8 自分の職業において指導できるレベルになるための成長計画をつくる

9 年金などの保障を考えず、自分の収入・貯蓄計画を20代~50代で計画する

10 パートナーを選ぶときは金銭的価値観も考慮する

習慣づくりは「はじめの3か月」がキモになる

書籍や記事を読んだときは、意識しようと思っても、いつもの習慣にすぐ戻ってしまうケースは非常に多いものです。1か月に1回はチェックリストを確認して、意識の習慣化から始めましょう。

 

自転車に乗るときも、最初はブレーキや体の安定感を意識して乗りますが、だんだん無意識で乗れるようになります。同様に、何事も意識づけ次第で、だんだん意識しなくても、当たり前のように実行できるようになります。習慣づくりは3か月と言われています。まずは3か月実践してみてください。

 

この自己管理を習慣化することで、みなさんは自分の思うように夢と志を叶えられる、自由な人生を手に入れることができます。

 

時間管理ができないと、上司に仕事の細部まで管理されます。健康管理は最悪のケースでは、ドクターストップがかかり、仕事自体ができなくなってしまうかもしれません。資金管理に失敗して、お金がショートすると自己破産になり、その後の選択肢に様々な制限が生じます。

 

人生100年時代と言われる中、目先の快楽に流されるのではなく、長期的視点に立って自己管理をしてください。管理という言葉がしっくりこない人は、「セルフプロデュース」と言い換えてみるとよいかもしれません。

 

自分の人生は、自分が思い描いた通りになります。たった一度の人生を自分らしく謳歌するためにも、今いる環境でまず輝きましょう。今いる環境から安易に逃げると、環境を変えても同じことでつまずきます。

 

自分がやりきったと言えるところまではやり抜きましょう。それが自分への自信となり、未来の道を広げることにもつながります。そして、自分でやり切るためにも、自己管理が必要不可欠なのです。

 

 

近藤 悦康

株式会社Legaseed 代表取締役

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