あなたは、アマゾンという企業をどのくらいご存じだろうか? 日本でのサービス開始当初「世界最大のオンライン書店」と称されていたアマゾンは、わずか20年弱で「GAFA」と呼ばれる4大IT企業の一角にまで発展した。その驚くべきビジネス戦略や如何に。アマゾンジャパン元経営会議メンバーで現在は、kenhoshi & Companyの代表としてコンサルティングを手掛ける星健一氏の著書『amazonの絶対思考』(扶桑社)より一部を抜粋し、「内側から見たアマゾン」を解説する。

急成長するアマゾン、問題点は何か

過去の連載では、アマゾンのビジネスモデル、アマゾンプライムプログラムや楽天市場と比較した場合の強み、アマゾンの企業文化の骨幹であるリーダーシップ・プリンシプルと呼ばれる行動規範などの分析を通し、アマゾンの「絶対思考」はどのようなものなのかを解説してきた。ぜひ、詳しいことは拙書『amazonの絶対思考』(扶桑社)を読んでいただければありがたい。

 

そして前回は、採用された人材は、どのように評価されていくのか、アマゾンの「人事評価」の方法を紹介した(参考『アマゾン「何でこんな人が上司なんだ?」を防ぐ人事評価の凄み』)。本記事では、アマゾンが潜在的に抱える「組織上のリスク」について解説する。

 

◆「責任ある仕事」をこなせる役職者は常に足りない

 

マネージャークラス以上の役職者については、アマゾンのリーダーシップ・プリンシプル「Hire & Develop the Best――最高の採用と人材開発を求む」に対する荷重が高く、優秀な社員をどのくらい採用できたか、何人の部下を昇格させることができたかという点が評価に大きく加味される。評価に沿った昇進などの基準も世界共通で明確だ。

 

最終的な評価は、「トップ」「ミドル」「ロー」とそれぞれ決まった割合に振り分けられる。昇進する者はおおよそ2年以上連続してトップパフォーマーと評価された者の中から選ばれる。マネージャークラス以上の昇進については、直属上司が役員会議にその社員の昇進を提案し「プロモーション」の審議が行われる。

 

アマゾン入社前後の経験、昇進理由、リーダーシップ・プリンシプルにおいて、どのようなリーダーシップを発揮し、数字的にどのくらいのインパクトを与える貢献をしたか、何を持って、次のレベルのバーを超えているのかを申請ドキュメントに記載する。ある程度のテンプレート項目はあるが自由記述に近い書式だ。

 

さらに、そのメンバーのプロモーションを支持する人たちのフィードバック(対象者の職級以上のメンバーによるもの)が重要で、なぜそのメンバーを昇進させるべきなのか、もしくは反対意見も記載するべく、上司は関係者に評価を依頼しなければならない。

 

質の高いドキュメントを要求されるので、事前準備にはかなりの労力をかける渾身(こんしん)の申請となる。さらに、全て英語のドキュメントにしてプレゼンテーションを行うので、上司の力量もテストされることになる。直属上司にとっては一人でも多くの部下を昇進させることが自らの評価にも繫がるため、プロモーションは役員に対する自己アピールの場であるともいえる。

 

従って、あくまでも昇進の決定は実力主義、当然ではあるが、いわゆる年功序列といった配慮はまったく介在しない。逆に言うと、このドキュメント作成のプロセスや質疑応答ベースでのプレゼンテーションで力を発揮できない上司についた部下は不幸なことになる。

 

また、トップパフォーマーとなり、プロモーションを果たしても、翌年の一つ上の評価基準ではローパフォーマーになってしまうケースもある。よって、本当に実力が相応についているかどうかを評価する必要があるので、積極的な昇進制度ではあるが、時にあと半年、いや一年待とうという判断が下される場合も多くある。

 

実際に働く者としてはなかなか厳しい世界ではあり、その時期の社内の雰囲気は決していいものだけではないが、結果としてアマゾンには優秀な人材が残り、さらに新しい優秀な人材が入ってくるという好循環となっている。

 

そんなに早く昇進を促して、役職者の上が詰まってしまうのではないかと思う方もいるだろう。でも、アマゾンは急速に成長しており、責任ある仕事をこなせる役職者は常に足りない状況が続いている。したがって、どんどん昇進するチャンスは開けている。

 

特に、職級が上がるほどに米国本社に対しての存在感を増し関係部署を巻き込む高いパフォーマンスを求められる。

 

シニアマネージャーやディレクター、バイスプレジデントといった役職に外部から人材を採用することも数多いが、別の企業でいかに活躍していた人であってもアマゾンのカルチャーと合わず、パフォーマンスが出せず短期間で退職していく人も多い。決してアマゾンの社員が優れているということではなく、要はアマゾンが求めているリーダーシップの考え方が合わない人もいるということだ。

アマゾンが潜在的に抱える「組織上のリスク」

また、アマゾンでは、「Span of control(スパンオブコントロール)」というものがあり、各役職者の最小管掌範囲が決められている。

 

通常、マネージャーの肩書きがつくのは、部下が3名以上いる場合のみだ。「Manager of Managers」(マネージャーのマネージャー)、すなわち、そのマネージャーの上司、この場合は、シニアマネージャー以上が対象だが、6名以上の部下がいることが条件になる。管掌すべきビジネスのコンプレキシティー(複雑性)を部下の人数で測っている。なお、マネージャーとは日系企業の「課長」のことを指すのではなく、この場合は管理職全てを指している。

 

マネージャーが管理できるビジネスの規模、管掌範囲、複雑性、組織規模などに限界があるだろうか。私はやはり人間の管理能力には限界があると考える。

 

私の場合は、ハードライン事業本部時代には、14名もの直属の部下、すなわち14近い事業部、組織サイズは数百名と、まさに限界を超えていた。たとえば、部下との1 on 1だけで一週間のうち7〜14時間が費やされるのだ。

 

その限界値とは分かりやすい組織規模の数字で言うと、直属部下で6名程度、要は6のファンクション(機能)ぐらいではないかと経験上、考えている。まさに、アマゾンのルールにおけるManager of Managersの最低カバー範囲と一致する。

 

それぞれの6名の部下に3名の部下がつくとすると、組織規模は18名ということになる。さらに、その下に部下をつければ、組織はいくらでも縦に広げられる理論にはなるが、経験則として、実際にはマネージャー直属である部下の階層の、その下の2階層までしか把握できないのではないだろうか。これは前職のミスミでもいわれていたことでもある。

 

3階層以下を持つと、組織は次のステージ、「Delegation(デリゲーション)」「Empowerment(エンパワーメント)」により直属の各部下(リーダー)に権限委譲を進めないと、グリップを失い情報伝達も遅くなり、マネージャー自身がボトルネックとなり、決断が遅くなる結果になる。

 

ということは、さらなるファンクションがビジネスの拡大のプロセスにおいて必要になったときには、チームを分割し、新たなマネージャーを登用し、そのマネージャーが管掌できる範囲にしてあげることが重要だ。それが、それぞれのチームを機能的に保つ上で重要な、そして基本的な組織デザインとなる。

 

フラットな組織が機能的と言われている今日、事業の規模によっては、逆に縦に組織が長くなることもありえる。その際は、組織の情報伝達方法、複数の部門に横串を通すクロスファンクショナルな仕組みを構築して、組織の活性化、無駄を省いていかなければならない。

 

一方、この小さな機能的な組織は時に、マネージャーの欲望とは異なる。なぜなら、たとえば売上規模であったり、管掌組織規模が大きいことに自負心を持つからだ。

 

そして、機能的な組織に反して、自身の責任範囲を拡大し、組織を拡大したがる。それに加えて、マネージャーはモチベーションが高まり、リーダーシップという名のもとにチームをまとめようとする。実はそこに落とし穴がある。

 

それぞれのマネージャーは自己顕示欲を見せはじめ、自分のチームを守り始める。マネージャーは一目置かれたいし、自分のチームを他より良くしたいし、良く見られたいし、チームを固め始める。それがセクショナリズムに発展する危険性をはらんでいる。実は、私にも同じことが起きていた。

 

ハードライン事業本部を統括していた時もチームビルディングの一貫として組織文化を作り上げ、そこに達成感を持った。その後、セラーサービス事業本部に移動しても組織規模やビジネスサイズに自負心を持ち、自己顕示欲が芽生えた。

 

気が付けば、社内に対し、キチンとしたバリューが出せていたのか、他部門とシナジーを持って最大のパフォーマンスを出していたのか、内向きのマネージメントではなかったのかと自問した。常にトップでいたい、なりたい願望があり、お山の大将的な私らしい。しかし一方で、それが時には自分の成長の邪魔をすることに気が付いたのであった。

 

急速に拡大している会社では、いろいろなファンクションが増え、効率的な組織を作るため分割されていくべきだと考える。それぞれが、チーム、組織が機能別にならざるをえないのは企業が成長していく上で避けられない。

 

完璧な組織、会社はない。アマゾンも組織上のリスクは抱えている。しかし、機能別組織が増え、各マネージャーが自己顕示欲を見せ、セクショナリズムが発生しそうになっても、「Customer Obsession――顧客中心の判断基準は妥協するな」を軸とする「リーダーシップ・プリンシプル」がアマゾニアンの最後の拠り所として、そして是正機能としてはたらくのだ。

アマゾン、ジェフ・ベゾスの驚きの報酬は?

ちなみに、報酬制度については、基本給と「RSU(Restricted Stock Units)」と呼ばれる制限付き株式報酬に分かれる。トップパフォーマーや成長性が高いと評価されたメンバーには、基本給の昇給だけではなく、2〜4年間に分けてamazon.comの株式が付与される。

 

仮に翌年に退職すればその株式はもらえなくなるが、2〜4年勤務すれば約束された株式が付与される。それが「Retention plan(リテンションプラン)」と呼ばれる優秀な社員の引き止め施策である。

 

社員によっては、基本給の年棒の何倍ものRSUを付与される者もいるし、現在までアップダウンはあるもののアマゾンの株価は上昇し続けており、社員が財産形成をできる仕組みになっている。

 

下世話ではあるが、興味深い情報として、2019年に米国 Security&Exchange Commission(証券取引委員会)に報告されたamazon.comのExecutive Officerの2018年の給与額のデータがある。Andrew R.JassyとJeffrey A.Wilke、2名の年間報酬が約20億円というから驚きだ[図表]。

 

※ AMAZON.COM,INC. PROXY STATEMENT ANNUAL MEETING OF SHAREHOLDERS To Be Held on Wednesday,May 22, 2019

 

米国Security&Exchange Commission(証券取引委員会)
[図表]amazon.comのExecutive Officerの2018年の給与額のデータ 米国Security&Exchange Commission(証券取引委員会)

日本企業よ革新的であれ!

ここまで12回の連載で読者に何か伝わったであろうか。

 

私がアマゾンジャパンに在籍していた10年間は、アマゾンが世界的企業へと躍進を遂げていく期間でもあった。日本においても、顧客中心主義戦略で低価格と効率化を徹底したアマゾンは、消費者の生活に利便性をもたらし、生活スタイルをも変化させてきた。

 

一方、既存のプレイヤーを含む抵抗勢力からは、その徹底的な戦略に対して感情的な批判をぶつけられることも多かった。しかし、ますますグローバル化が進む世界で、精神論は通用しない。なぜなら、世界のスタンダードはプラットフォーム化が加速し、従来の日本の「普通」は残念ながら陳腐化しているからだ。

 

素晴らしい技術力を持っていても、それを世界のスタンダードとしてスケールさせることができず、ガラパゴス化してしまうのはなぜか? それは、拙書『amazonの絶対思考』やこれまでの連載記事の内容から推断できるのではないだろうか。

 

アマゾンが躍進する一方で、日本企業の多くは平成の30年間で成長が止まってしまったといわれる。ちょっと古臭いが、大和魂をもつ日本人として、非常に残念に思う。

 

昨今は、ラグビーワールドカップや、東京オリンピックの影響もあり、海外からのビジターが日本のおもてなしに感謝し、日本の安全性や利便性は素晴らしいと伝える賞賛の声が強調されている。また、多くのメディアでも、海外からの旅行者が日本の文化や技術・商品などに感銘を受け、「日本はこんなに素晴らしい国だ」と、あたかも世界中の人から思われていると自画自賛するテレビ番組や情報が溢れている。

 

素晴らしい文化に自信を持つこと、これ自体を否定するつもりもない。確かに素晴らしい。でも、この極端な自画自賛が「井の中の蛙」、「世間(この場合は世界)知らず」で、日本は素晴らしいからこのままでいいやという雰囲気をさらに醸成してしまっている。

 

私は、1989年から海外で20年間在住し、日本に帰国後も10年間外資系企業に身を置き、この合計30年の間、世界における日本のプレゼンスが低下しているのを肌身で感じ、体験してきている。危機感を煽(あおり)すぎるのも縮こまってしまうので良くないが、この状況で、必要以上に国民の自尊心、自負心を煽る雰囲気は非常に残念に思う。

 

経済記事などでよく引き合いに出されていることだが、1989年には世界の企業時価総額のトップ20に14社もの日本企業がランクインしていたのに、2019年8月末時点のランキングではトヨタ自動車がようやく43位。トップ50にそれ以外の日本企業の名前はない。日本的な精神論や方法が世界に通用しなくなっていると断じていいだろう。

 

ちなみに、1位はマイクロソフト、2位がアップル、3位がアマゾン、4位がアルファベット(グーグル)、5位がフェイスブックだ。すべてがプラットフォームを作り上げ、それを強みとしている。GAFA(あるいはGAFAM)の勢いはまさに今世界を席巻し、最近はこの5社が株価変動によって順位を入れ替えながら、鎬(しのぎ)を削っているのが現実だ。

 

1989年から20年近く海外6ヵ国で仕事をしていた頃、特に90年代は、バブルがはじけたといっても、日本の企業に勢いがあった。海外で営業をしていても「Made in Japan」が高品質の代名詞となり、海外の顧客はその品質を求めていた。私も鼻高々であった。

 

日本の製品の品質が悪化したわけではないが、中国などの急速な技術革新で、時には品質だけではなく、斬新なアイデアにより後塵を拝することもある。また、世界を席巻するような製品、サービスなど、特にディファクトスタンダード(公的な機関によって標準として認定されていないものの、使いやすさなどにより市場で評価され、事実上その業界で標準となったもの)化、プラットフォーム化への技術的開発、マーケティング及び販売戦略が遅れた。

 

日本企業の停滞というと、国そのものの政策や勢いに原因を求めがちだが、企業のビジネスはいうまでもなく「個人」によるアイデアと具現化の積み重ねだ。会社を支え、社会を構成する、個人、一人一人にまだ改善、成長できる余地がありながらも、それが足りていないことが停滞の根本的原因なのではないだろうか。

 

さらに経営者や管理職の意識が、世界に通用しなくなった日本的な「普通」=常識に縛られていることが、日本企業からかつての隆盛を奪い取った深刻な病巣だといえる。本来なら、経営者が強いリーダーシップを振るい、Innovativeなアイデアがどんどん出てくる、それを具現化する仕組みを持っている、そこで力を発揮したいという優秀な人が世界中から集まってくる、そんな強い企業文化を作り上げていかなければならない。

 

拙書『amazonの絶対思考』では私自身が仕事をする中で感じ取り、自らの栄養にしてきたアマゾンの「基準」を列記してきた。世界のトップ企業に成長したアマゾンの「基準」にこそ、この停滞の中で疲れ果てた私たち日本が学ぶべき点が数多く秘められている。

誰かが一歩を踏み出さない限り、何も始まらない

拙書でも、これまでの連載記事でも、さまざまな側面からアマゾンの「基準」である「絶対思考」を語ってきたが、最後に、私が特に強調しておきたい「ヒント」を抜き出して挙げておく。

 

・シンプルで普遍的なビジネスモデルとメカニズム

事業の根幹となるビジネスモデルがシンプルで普遍的だからこそ、長い時間のスパンで、全社員の力を結集させ続けることができる。そして、自動化のメカニズムの構築で長期的にビジネスをスケールさせる。

 

・顧客中心主義とイノベーション

常に顧客目線でサービスを構築し、イノベーションに投資を惜しまず革新性を提供し続ける。顧客の満足度向上が企業の成長につながるという信念を持ち妥協しない。

 

・強烈な企業文化の醸成とガバナンスの徹底

社員を引きつけ、革新的なアイデアが溢れてくるような、そして危機感を持ってチャレンジし続ける企業文化をリーダーが自ら率先して醸成する。あらゆる場面で社員の指針となる力強い規範を作り、それを洗脳するように植え付ける。明確なヒエラルキーとガバナンスの徹底で無駄を排除し、ビジネスを細部までコントロールすることに怯まない。

 

・データは真実を語る

定性的な情報も重要視しつつ、定量的な数、データで現状を理解し、そして判断する。判断する経験則が不足している場合は、深堀りして細部まで把握する。

 

いずれも、心あるビジネスマンであれば「そんなこと、言われなくてもわかっているよ」と感じることばかりかと思う。でも、もう一度冷静に問いかけたい。「わかってはいても、実践できていますか?」と。

 

2000年にアマゾンが日本に参入し、オンラインのみで販売を開始したときに、多くの小売店(百貨店、スーパーマーケット、量販店など)がオンライン化を加速させるなどの行動を起こさなかった。いくらでもチャンスはあったのに。数年経っても、なお腰を上げる会社は少なかった。

 

そして現在、圧倒的な差がついてしまっている。普通と異なるものが入ってきた時に、ただ批判するのではなく、それを徹底的に分析し、自分たちの普通も変化させていかなければならないのに、それができなかった結果である。

 

また、アマゾンに対して「低価格競争で競合を潰して利益を独占しようとしている」といった批判をよく目にする。批判している人たちも日々の暮らしの中では、より低価格な商品やサービスを選んでいるのではなかろうか。かつての日本にも、欧米で発明された商品をより低価格かつ高品質にすることで成長してきた歴史がある。このような商品やサービスを提供する者が顧客から信頼を得るのは必然であり、世界中で暮らす人々にとっての正義なのである。

 

もちろん、世の中には価格に左右されないブランド価値を貫くビジネス戦略もある。とはいえ、それもまた、ブランドを支持する顧客の期待に応えるシンプルで強靱なビジネスモデルであってこそ成功できる。残念ながら、現在の多くの日本企業による戦略はどちらにしても、世界の顧客に支持されるまでには至っていないということだ。

 

企業は中小企業から大企業まで、製造業からサービス業まで多様だ。拙書『amazonの絶対思考』ではあくまでもアマゾンというスケールを追求し、成長を持続するビジネスモデルの成功から抽出したエッセンスを解説している。

 

すべての企業が規模を拡大し成長を目指しているわけではなく、社会的意義を別に見出している場合もあるだろう。よって、どんな企業にもそのまま当てはまるものではないし、成功のセオリーはこれだけではない。ただ、成長を目指したほうが、また、成長している企業に身を置くほうがワクワクするのではないだろうか。先にまとめた4つのヒントに、規模や業界は関係ない。共感いただけるのであればぜひ試していただきたい。

 

私たちの会社を継続し成長させるには、医師が患者の病状や個性に合わせて治療法や薬の処方をアレンジするように、企業活動を支える一人一人が、自らの仕事と自らの会社に合わせた処方箋をまとめ、実践することが必要だ。簡単なことではないだろう。でも、誰かがどこかで一歩を踏み出さない限り、何も始まらない。

 

私がアマゾンを辞してコンサルティングの世界に身を投じたのは、10年間、急成長するアマゾンジャパンでのビジネスを第一線で経験し、経営幹部であるリーダーシップチームの一員ともなり、その体験から知り得た考え方や方法論が、閉塞感の立ちこめた日本社会や日本企業のカンフル剤として微力ながらも役立てることができるのではないかと願ったからである。

 

これまで12回の連載でアマゾンの強み、弱みをビジネスモデル、企業文化、人材、リーダーシップなど多角的に分析してきたが、これを持って最終回となる。

 

そして、この3ヵ月にわたる連載中に自分自身のキャリアに変化があり、有機野菜などを中心としたEコマースを運営するオイシックス・ラ・大地株式会社のCOOに就任し、新たなる活動を始めることになった。この会社とアマゾンの類似性について、あと2回、追加連載をさせていただきたい。

 

 

星 健一

kenhoshi & Company 代表

 

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