生命保険の代わりにもなる「団体信用生命保険」
不動産を買ったことがある人なら、団体信用生命保険(略して団信)は一番身近な損害保険かもしれません。団信はローンを組んで不動産を購入する際に加入する保険であり、ローンの返済期間中にローンの借主が死亡したり、高度障害状態になったりして返済が困難になった場合、保険金が下りてローンが完済されるというものです。
たとえば、不幸にもローンの契約者が死亡してしまった場合、残された家族にはローンの支払いがない不動産が残ります。月々の家賃収入から必要経費のみを差し引いた分が、継続的な不労所得として得られるようになるため、生命保険と同じように残された家族を守る機能があります。
不動産を購入する際、金融機関によっては団信への加入が必須だったり、選択制だったりします。金融機関や不動産会社の担当者に相談し、加入済の生命保険の見直しも含めて、総合的な資金計画を立てるようにしましょう。
落雷や水害等の自然災害もカバーする「火災保険」
団信だけでなく、各種損害保険も重要です。マンションや一戸建て、アパートなど建物を含む不動産に投資する場合、火災や災害などで建物や設備が損傷することは十分あり得るので、そのための備えは絶対に必要だといえます。
損害保険の代表は、火災保険でしょう。火災保険は火災の補償はもちろんのこと、落雷やガスなどによる爆発、また最近注目されている水害などもカバーします。ただし、具体的な補償内容や補償対象は保険会社や保険商品で異なるため、加入する際は内容をしっかり確認する必要があります。
なお、地震保険は火災保険に含まれていないので、別途申し込む必要があります。東日本大震災は、地震の恐怖を私たちに知らしめました。以前から首都圏直下型地震の可能性も指摘されているので、保険で備えることを検討しましょう。
築年数が古い物件は必ず検討すべき「施設賠償保険」
アパートや戸建ての不動産に投資する場合は、施設賠償保険への加入も検討しましょう。施設賠償保険は、たとえばテレビアンテナなどが強風で落下し、人にケガをさせたり車などを損傷させたりして、損害賠償請求をされたときに使える保険です。
築年数が古い建物であれば、必ず加入を検討しましょう。昨今は台風も大型化しており、今後も大型台風が襲来する可能性は十分考えられます。風による建物被害やその後の2次災害には、それなりの備えが必要です。
高齢社会で需要獲得、安心を買える「家賃補償保険」
一般的な損害保険とは異なりますが、家賃補償保険というものもあります。この保険は、天災や事故などで修復工事が必要となり、その間入らなくなってしまった家賃を補償してくれるものです。入居者が部屋で亡くなって、その部屋をすぐに賃貸に出せない状況でも家賃を補償してくれます。今後さらに高齢化が進むことで孤独死の増加が見込まれるので、大家さんにとっては安心を買える保険と言えるでしょう。
これまで単身高齢者は入居審査が厳しく、なかなか賃貸物件に入居できませんでしたが、急速な高齢化や単身世帯の増加で、賃貸不動産市場も単身高齢者を避けて通れなくなりました。逆の見方をすれば、単身高齢者は年金があるため収入は安定しています。
家賃補償保険に加えて、管理会社と連携した見守りサービスなども導入すれば、単身高齢者特有のリスクは抑えられます。単身高齢者について考え方を変えれば、むしろ新しい市場が生まれつつあり、見込み客が増えるとも捉えられます。
加入保険見直しのポイント
2019年は大型台風が連続で上陸し、多くの地域で水害などの災害が発生しました。それを受けて、保険の見直しを検討されている人も多いのではないでしょうか。これから不動産投資を始める人も、加入すべき保険や費用などは気になるところでしょう。
保険を見直す際は、まず費用を抑えたいのか、それとも補償を手厚くしたいのかを明確にする必要があるでしょう。そこがクリアになっていないまま見直しを始めても考えがまとまらないため、保険外交員のセールストークに乗って無駄な契約をしてしまったり、継続しておくべきだった保険を解約してしまったりするおそれがあります。
災害リスクは、自治体が発表しているハザードマップなどである程度把握できます。そのような資料を参考にしながら、不動産会社ともよく相談して、リスクをしっかりカバーする保険を選ぶようにしましょう。