高齢者の「家賃滞納」問題。法律に基づき退去させることも可能だが、財産の少ない高齢者への強制執行に、苦しむオーナーも少なくない。そこで本連載では、章(あや)司法書士事務所代表・太田垣章子氏の書籍『老後に住める家がない!』(ポプラ社)より、高齢者の賃貸トラブルの実例を挙げ、その実態に迫っていく。

250万円の家賃滞納を「手紙」で言いくるめる老夫婦

◆訴訟手続き中に高齢者が死亡

 

古い戸建ての賃貸で、トータル3年分くらいの滞納となっていました。家主側は督促していなかった訳ではありません。毎月きちんと書面を出しても、その度に賃借人の加山聡さん(76歳)の妻幸代さん(75歳)からの手紙が届くのです。

 

その内容は、かれこれ30年ほど住んでいるということ(だからそれなりに情もあるでしょう?)、一生懸命に資金繰りをしているということ(それなりに誠意があるでしょう?)、資金の目処は立っている(だから後少しでしょう?)といったものでした。

 

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毎回、自筆で数枚にも及ぶ手紙は、家主を憂鬱にさせるものでした。自己を正当化する主張が延々と続くと、「話し合っても噛み合わない」という印象を抱くことになり、そして「これじゃ、言い負かされてしまう」という落胆に繋がっていきました。向き合うのは、かなりのストレスだぞ……そう思うと、そこからの一歩が踏み出せなかったのです。

 

その思いのために、家賃7万円だというのに滞納額は250万円を超えてしまっていました。自分の手に負えないとしても、このままでは滞納状況が改善されるとは思えません。これは専門家に任せるしかない、そう思い事務所に来られたのです。

 

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