騒音にクレーム鬼電…「モンスター入居者」は加害者か被害者か

騒音トラブル、ゴミ問題、家賃滞納…マンションにまつわる問題は、いつの時代も止みません。そこで本記事では、不動産販売・管理事業を手掛ける、株式会社アズ企画設計・代表取締役の松本俊人氏が、「難あり物件」について解説します。※本記事は、『「ワケあり物件」超高値売却法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋、再編集したものです。

「騒音モンスター」か、「クレームモンスター」か…

◆隣人・ご近所トラブルを抱えている物件

 

当然ですが、アパートやマンションなどの共同住宅では、隣人との関係が非常に重要になります。どんなに他の条件がよかったとしても、隣に迷惑な入居者がいるような物件に住みたいと思う人はいません。

 

迷惑な隣人の代表は騒音を出す人です。隣人の騒音に関する相談は、マンションの管理組合でも自治体でも町内会でも、決して珍しくありません。騒音問題の難しいところは、それが本当に規制すべき騒音なのか、それとも被害を訴える人が神経質なだけで、よくある生活音の範囲内なのかの判別がつきにくいところです。

 

昨今は、管理会社やオーナーの間で「モンスター入居者」という言葉も使われるようになりましたが、騒音問題の場合は、加害者が騒音モンスターなのか、それとも被害者がクレームモンスターなのかが、ただちにはわからないので厄介です。

 

しかし、いずれにせよ被害を訴えている人がいる以上、騒音問題は存在することになりますから、売却を考えているオーナーにとっては放っておけません。

 

騒音問題と似ているものに、臭いの問題もあります。騒音と違って悪臭の場合は、被害を証明しやすいので解決は容易ですが、悪臭の原因となっている本人にあまり自覚がないので、対応には注意を要します。

 

悪臭でいえば、ゴミ問題もバカにはできません。集合住宅の入居者のマナーが悪く、ゴミ捨て場が荒れていると、物件自体が荒れているように見えて、価値が下がってしまうのです。

 

これらはいずれも共同住宅における入居者・隣人に関する問題といえます。ここでは、不適切かもしれませんが「モンスター入居者」とまとめさせてもらいましょう。

とにかくクレームしまくる「モンスター入居者」の皆様

私たちも、地主さん、オーナーさんからいくつかのアパート管理を任されていますが、だいたい10人に1人くらいの割合で「モンスター入居者」がいます。ここで「モンスター」というのは、定期的にクレームの電話をかけてくるなど、管理会社にとって手がかかる面倒な入居者という意味です。

 

クレームの内容は、隣人への苦情や敷地内のゴミなど正当なものではあるのですが、定期的にかけてくるので、まるで粗探しをされているような気分になりますし、他の入居者が気にしないようなことにもクレームを入れてくるので、その人自身に問題があるかのようにも感じられてしまうのです。

 

ある物件は、もともとオーナーさんが自分で管理をしていたのですが、あまりにも「モンスター入居者」からのクレームが多いために、私たちに管理を頼みたいと言ってこられたものでした。また、ある物件では「モンスター入居者」というわけではないのですが、外国人の方が増えたために、ゴミ出しのルールなどが守られず、敷地内にゴミが散らかるなど荒れてしまったこともありました。

 

変わった事例では、隣人が新興宗教の熱心な信者で、毎日お経のようなものを唱えているのが気持ち悪いというクレームもありました。しかし、日本には信仰の自由がありますから、まさかやめさせるわけにもいきません。

 

これも広い意味では、騒音問題の一種といえるでしょう。しかし、私の考える「モンスター入居者」の最たるものは、家賃滞納者です。滞納をする人の場合、全般的に腰は低いのですが、まるで確信犯のように家賃を払ってくれませんし、こちらからの連絡にも応えてくれません。

 

そのほか、入居にあたって取り決めたルールを平気で破る人にも困らされました。たとえば、ペット禁止の物件でこっそりとペットを飼っていたり、夜10時以降はピアノ禁止の物件で夜中に堂々とピアノを弾いていたりとか、自己中心的でわがままな人は「モンスター入居者」といって差し支えないでしょう。

 

このような入居者、隣人の問題は、売却にあたってことさらに知らせる必要はないのですが、買い手が管理会社などに質問をするなどして、ちょっと調べればすぐにばれてしまいます。管理会社も、新しいオーナーになるかもしれない人に対して嘘はつけないからです。ですから、入居者トラブルがある物件の場合は、できるだけ解決してから売りに出したほうが、売れる確率は高くなるでしょう。

高速道路よりも「ファミレス」「コンビニ」に注意?

◆立地に難のある物件

 

立地といえば、まず頭に思い浮かぶのが駅から遠いか近いかといった交通の利便性ですが、それ以外にも価格を左右する条件がいくつかあります。

 

一つは近隣に嫌悪施設があるかないかです。どんなに閑静な住宅街でも、隣に反社会的勢力(暴力団)の組長の自宅があって、毎日のように暴力団員が列を作って並んでいたり、玄関の監視カメラが道路をじっと見張っていたりするようなところでは、落ち着いて暮らせないと感じる人が多いでしょう。

 

あるいは、近くに葬祭場があって、毎日のようにお葬式の行列が目の前を通るようなところも、嫌がる人が多いです。ここでいう葬祭場とは、火葬場のことではなく、ただ葬式をあげる式場というだけですが、それでも敬遠する人は少なくありません。

 

最近の火葬場は技術の進歩で煙害などはほとんどないのですが、心情的にご遺体の近くで暮らすのは嫌だと感じる人はまだまだ多いのでしょう。同様に、お寺や墓場も嫌われることが多いです。

 

ゴミの処理場もまた、あまり好かれない施設の一つです。以前、私たちが購入した物件の一つは、資源ゴミの処理場が近くにあったために、価格が相場よりも安くなっていました。

 

資源ゴミというのは、雑誌や古新聞などで、いわゆる生ゴミの臭いなどはあまりしないのですが、処理や運搬の過程で紙の切れ端などが舞い散るために、いつも埃っぽく空気の悪いところでした。トラックが一日に何台も目の前を通過していくのも、環境としては決していいものではありません。

 

同じ理由で、高速道路や国道に面した敷地も、住居には向いていません。私の知人は以前、高速道路に面したマンションに住んでいたことがあったのですが、窓を開けると排気ガスが入ってくるために、昼でも窓を閉めっぱなしで暮らしていると言っていました。しかも、窓の外側はいつも埃で黒く汚れていたそうです。

 

道路が近いと、騒音もまた悩ましい問題になります。ただし、高速道路に面したマンションの場合は、たいていは防音の二重ガラスなどで対策を施していますし、高速道路の側も防音壁などで近隣に配慮しているので、想像するほどうるさいわけではありません。むしろ、窓を閉め切っていると静かすぎるほどです。

 

それよりも、ファミリーレストランやコンビニなど、商業施設の隣の物件のほうが、夜中でも人が集まるのでうるさいかもしれません。コンビニやレストランがテナントとして1階に入っているマンションなどは、若い人が暮らすには便利かもしれませんが、年を取ってくると敬遠したくなります。

 

ちなみに、隣に高層マンションが立っていることも、日当たりや景観などの問題で一戸建てや低層マンションの方には不愉快に感じられるようです。

 

高層マンションも含めて、嫌悪施設の建設計画が立ち上がると、近隣住民の反対運動などがよく起きます。自分たちの持つ不動産の価値が下がってしまうのが嫌なのでしょう。原発の立地場所も含めて、一般住民の持つ「NIMBY」(Not In My Back Yard:必要なのはわかるけど、ウチの近所にだけはやめて)精神には、根強いものがあります。

 

嫌悪施設以外の立地条件では、風水害の被害を受けやすい低地や、川や海のそばの物件も嫌われるようになってきました。東日本大震災で何度も映像として放送された津波の恐怖が、人々の心の中にまだしみついているのでしょう。

 

それ以前からもともと、低地は「下町(したまち)」、高地は「山手(やまのて)」と言われて、地価には大きな差がありました。下町に庶民的なイメージがあり、山手が高級住宅街といわれるのは、決して理由のないことではありません。高地のほうが自然災害の被害を受けにくいことは、昔からよく知られていたわけです。

 

さらに時代の流れを加味するのであれば、人口減少地区の物件も、価格が下がっています。人口減少地区とは、都市の中心部から遠く、開発が行われない地区のことです。多摩ニュータウンのように、過去に開発されて、いっせいに子育て世代が入居したために、現在では年寄りばかりになってしまった地区などがそれにあたります。

 

そのほか、たとえこれまでは栄えていたとしても、大学や工場が移転してしまったなどの理由で急激に寂れる地区もあります。

殺人事件発生後、わずか数カ月で入居者が全員退去

◆自殺や殺人などがあった事件・事故物件

 

そのほか、売れない物件にはありとあらゆる理由が考えられます。たとえば、一つは事件や事故のあった物件です。ここでいう事件・事故とは、業界用語であいまいにぼかしていますが、端的にいえば、殺人や自殺や犯罪など、人の死にかかわるような事件や事故のことです。

 

「人が集まらない物件」には必ず理由がある。
「人が集まらない物件」には必ず理由がある。

 

以前、私たちの管理するアパートで殺人事件が起きたことがありました。アパートの住人はあくまでも被害者で、アパートに忍び込んだのは外部の知人ですから、犯罪者が住んでいたわけではないのですが、事件が起きて数カ月のうちに、それまでの入居者が全て退去していきました。

 

アパートの防犯体制に不安があったのかもしれませんが、どちらかといえば、殺人事件が起きた場所というケガレのイメージを嫌ったものだと思います。オーナーさんにとってはいい迷惑で、それから再び満室にするまでには、リフォーム代などを含めて大変な費用がかかりました。犯罪というのは、自分にまったく非がなくても巻き込まれてしまうことがあると言いますが、まさに「巻き込まれてしまった」事例です。

 

逆に、入居者自身が犯罪者になってしまうこともあります。その場合でも、住所や住んでいたアパートの詳細が明らかにされることはありませんが、テレビなどで映されてしまうと、同じアパートに住んでいる人や近所の人には丸わかりです。

 

そうでなくても、警察や報道陣が聞き込みに回りますから、隣人が何らかの犯罪に関与してしまったらしいことはすぐに噂として広まります。「人の噂も七十五日」といって、放っておけばそのまま平穏な日々が戻ってくるのですが、入居者の中にはその前に引っ越ししてしまう人もいます。

 

そして、収益物件で退去者が増えると、収益率が下がりますから、売りたくてもなかなか売れなくなってしまいます。

 

犯罪とは種類が違いますが、自殺もまた、忌み嫌われる要因です。まず、自殺する人は、幸せとはいえないでしょうから、その物件や部屋に対して、そこはかとなくネガティブなイメージがつきまといます。また、すぐに発見されればよいのですが、そのまま死体が放置された場合には、床や部屋の中に体液や臭いが染みついてしまいます。自殺ではなくても、老人の孤独死の場合も発見が遅れて、悲惨な状況になることが多いようです。

 

自殺であっても事故死であっても、いずれも「死」という事実に対する人間の本能的な恐れがありますから、物件のイメージや評価を下げてしまいます。

株式会社アズ企画設計 代表取締役

東京都渋谷区に生まれる。実家は渋谷区神宮前で鰻屋を経営。 中央大学を卒業後、複数の不動産会社に勤務し、1993年にアズ企画設計を川口市に設立。 「空室のない元気な街を創る」を経営理念として、賃貸、売買、ビジネスホテルなどのビジネスを幅広く手がける。

著者紹介

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