新型コロナでも「東京オリンピック中止」の可能性は1%未満か

一向に収まる気配のない新型肺炎の流行ですが、収束の兆しはいつ頃見えてくるのでしょうか。そして、この新型肺炎の流行によって、今年開催予定の東京オリンピックが中止に追い込まれる可能性はあるのでしょうか。これまでの歴史的な事象をもとに、会計学の教授が今後の見通しを予測します。

ところで「米中貿易摩擦」はどうなった?

 Q  新型肺炎は、今年の夏頃には収束に向かうと思いますか? また、新型肺炎の流行によって、東京オリンピックが開催中止になる可能性はあるのでしょうか? 

 

まず、新型肺炎の流行についてです。仮に、新型肺炎が今年の夏頃までに収束に向かわなかったとしても、今年の夏頃より前に、「話題にはのぼらなくなっている」と思います。

 

そういえば、「米中貿易摩擦」は、どうなったのでしょうね? いまだに米中間の関税は残存しています。「北朝鮮のミサイル問題」はどうでしょう? いまでもミサイルは北朝鮮から発射されています。「BREXIT問題」も同様です。イギリスは先月末(2020年1月末日)に、実際にBREXITしました。

 

いずれも、旬なときにあれだけ騒いでおいて、いまはシレ~ッと無視されています。そして現在「コロナウイルス一色」。おかしいと思いませんか? だから「コロナ」も夏前には「無視」されるに違いありません。

 

今回のコロナウイルスの問題は疫病問題であり、重篤な症状になられた方が多いだけでなく、尊い生命が失われているという由々しき事態であり、決して軽んじているわけではありません。

 

ただ、目下、連日のようにマスコミ報道が「コロナ問題」でかまびすしいですが、それに翻弄されることなく、冷めた目で冷静に考えてみる必要があるのではないかと思うのです。そうしますと、いつまでもマスコミがこの問題にかかりきりではないだろうと思えてならないのです。

 

コロナウイルスの件は、人命に関わる重要な問題ですが、留意すべきは、事件の重さのいかんではなく、むしろ「マスコミ報道のあり方」にあるのです。衆目を集めるような問題が発生すると、それまでに発生していた問題はほったらかして(サッと無視して)、新規性のある問題に異常なほどに執着し、さんざん騒ぎ、大衆が飽きてきたとみるや、一斉に引いてしまう。「マスコミ報道のあり方」はいつもそんな風なので、マスコミ報道に踊らされることなく、冷静に考えることが大切です。

 

「コロナ問題」以外にも、色々な問題が大きく取り上げられて世界中が大騒ぎをしても、時が過ぎれば「話題にはのぼらなくなっている」ことばかりではないでしょうか。今回のコロナ・ショックも、まあ、そういった経緯を辿るのではないでしょうか。

 

もしくは最悪の場合、2007年夏に始まった「サブプライム問題」がこじれにこじれて、「リーマンショック」に発展した、みたいに、コロナ・ショックも、こじらせると別のショックを呼んでしまうかもしれませんが。まさに「風邪」をこじらせると「肺炎」になる、みたいな…。

 

あああ
「米中貿易摩擦」「北朝鮮のミサイル問題」「BREXIT問題」は解決したの?

第二次世界大戦級の事変でもない限り、開催は実現する

東京オリンピックが開催されない可能性は「ない」と思っています。少なくとも、コロナ・ショックだけでは開催中止にはならないでしょう。きっと、遅くとも(東京オリンピック開催前の)6月頃には、マスコミの情報管理によって、コロナ・ショックのことは(たとえ感染が完全には終息していなくても)報道が収まってしまい、そのほかの話題や、「いよいよオリンピック!」みたいな明るいニュースが満ち溢れ、こちらもシレ~ッと開催される可能性が99%以上だと思っています。

 

ちなみに、「感染が怖くて、大規模なイベントが開催できない」なんていいだしたら、「じゃあ、それはいつまで?」っていうことになりますよね(で、その答えは、きっと、「夏前まで」なんですよ)。

 

オリンピックは国策ですし、利害関係者(=主にオリンピックで利益を得る人)が多すぎますし、世界が見ています。すでにかけてしまった費用も、天文学的な数字です。

 

よほどのことがない限り、開催するでしょう。まさに「国家の威信にかけても」という感じですよね。

 

実は、1940年に「(幻の)東京オリンピック」というのがあったのをご存じですか? 1940年は、筆者が生まれる21年も前ですが。詳細はコチラを参照ください。

 

1940年に開催予定だった「東京オリンピック」ですが、日中事変から第二次世界大戦ムードになったため、開催されなかったという事実があります。これは「不開催」が現実のものになった歴史的真実です。

 

ですから、「リーマンショック級」どころではない「第二次世界大戦級」の事変になったら開催されなくなるでしょう。

 

でも、現在のコロナ・ショックだけでは、不開催までにはならないでしょう。先述したように、「こじらせて、別のもっと大きなショックを呼び起こしてしまう」という最悪のシナリオ(これを「連鎖的拡大」と名付けます)にさえならなければ、ですが。ただし、そのようになる(=不開催になるほど大規模な「連鎖的拡大」になってしまう)可能性はかなり低いと思います。

 

今回のコロナ・ショックは、SARSのときよりも被害が大きいです。それはひとえに中国の経済レベルと国際化レベルがSARSのときと比べて10倍くらいになっているからです。

 

でも、さすがに今回のコロナ・ショックが「第二次世界大戦級」かといえば、その足下にも及びません。なお「連鎖的拡大」になったら、すごく大きなショックにつながる可能性はありますが、それにしても、相当な規模の事変にならないと、オリンピックの不開催まではいかないと思います。

 

筆者が知る限り、過去30年間で「連鎖的拡大」になったのは、「サブプライム問題→リーマンショック」だけです。

 

ちなみに、リーマンショックの真っ最中だったとしても、もしその時に東京でオリンピックがあったら、開催していたと思いますけれど…。


というわけで、オリンピック不開催の可能性は、いまのところは限りなくゼロに近い「1%未満」だと思っています。

 

 

榊原 正幸

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科教授

 

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科教授

専攻は会計学。1961年、名古屋市に生まれる。1984年、名古屋大学経済学部卒業。1990年、名古屋大学大学院経済学研究科博士課程修了。1997年、東北大学助教授。2001年、レディング大学よりPhDを授与される。2003年、東北大学大学院教授を経て、2004年から現職。

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