外貨の売買に伴う流動資産の変化を抑える「不胎化介入」を繰り返してきたスリランカの財政当局。今回は2009年以降の国際収支危機に、どのように対処しようとしてきたかを概観します。

ここ5年間の金融政策を振り返ってみると・・・

現在の状況を理解するために、過去にさかのぼってみましょう。2009年スリランカに国際収支危機があり、5月、危機から脱出するためにルピーの為替レート操作を行いました。

 

それまでは、短期国債を買い取ることにより貨幣が供給されていました。 市中からルピーを中央銀行に吸い上げる外貨売り介入の影響を「不胎化する」か無効にするために、短期国債を購入することが必要だったからです。これは不胎化外貨売り介入と呼ばれています。

 

不胎化外貨売り介入が始まると、変動為替制度や利上げを伴わずに国際収支危機から抜け出すことは非常に困難です。 2009年5月、ルピーは為替レート操作を受け、不胎化外貨売り介入を止めることができました。介入が止まると、流動資産不足が解消し、差を埋めるためのお金を供給する必要がなくなりました。 

「外貨売り介入」から「外貨買い介入」へ

5月以降、それまでと正反対に、流動資産を創造しながらドルを買い、不胎化又は流動資産を吸収するため、中央銀行のポートフォリオにある短期国債を売却するという操作が行われた時期がありました。これは、不胎化外貨買い介入とよばれます。

 

このような不胎化外替買い介入が行われると、ドル準備は増加しますが、生成されたルピーの流動資産は消え、使うことができなくなります。

 

その結果、外貨は交換されず外貨準備として動かせなくなります。 2010年、中央銀行はドルを買い戻し、同時にルピーも以前の価値へ戻りました。 2011年後半、中央銀行は不胎化外貨買い介入をやめ、流動資産を増加させました。 流動資産は数ヵ月増減しましたが、不胎化介入は行われませんでした。 この時期は非不胎化介入の時期でした。 非不胎化外貨売り介入と非不胎化外貨買い介入があり、流動資産は増減しました。これは、国際収支と経済が同期していることを意味しています。

 

次回は中央銀行が犯してしまう最悪のオペレーションについてお伝えします。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」2015年7月号に連載された「Sri Lanka Knocks Hard at BOP Crisis Door」を、翻訳・編集したものです。

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