変動相場制に基づく国内アンカーと、変動金利に基づく国外アンカーの、二つのアンカーをやりくりすることは第三世界の中央銀行が一般的に犯す誤りだとされます。

二重アンカーの問題

表面上でどれほどインフレ指数が減少したとしても、水面下ではスリランカの信用システムは崩壊寸前になっていました。

 

二つのアンカーをやりくりすることは第三世界の中央銀行が一般的に犯す誤りです。そのために長期間、第三世界から抜け出せないのです。ブレットン・ウッズ体制は誤ったイデオロギーであるこの問題によって崩壊しました。

 

為替レートをターゲットにすると、金融システムは為替レートと通貨ペッグをアンカーにするしかありません。したがって同時に、消費者物価指数である国内アンカーをターゲットにして、利下げやお金の発行を行うことはできず、国際収支問題を回避することができなくなります。 金利と為替レートを同時にターゲットにすると、通貨は崩壊します。

 

そのため、中央銀行を根本的に改革する必要があります。 もしくは、中央銀行を廃止し、1951年以前に存在したカレンシー・ボード制を再形成する必要があります。 中央銀行に経済を不安定にさせないためには、アンカーは1つでなければいけません。 変動相場制に基づく国内アンカーか、変動金利に基づく国外アンカーかのどちらかです。国際収支危機という現在の状況において、中央銀行はレポ取引により一時的に制限された流動資産を放出していました。これは、量的金融緩和政策の一種でした。

 

放出された流動資産が、輸入を増加させる政府や民間部門によって使用されると、外貨準備は減少していきました。不胎化外貨売り介入を国際収支危機の特徴とするならば、これは本当の意味での国際収支危機ではありません。なぜなら、流動資産売りがドル防衛より先に起こるからです。理論的には、中央銀行はいつでも停止させ、さらなる危機を防ぐことができます。 しかし、流動資産が放出され続けると、市場における金利上昇は遅くなります。

 

経済への影響は、不胎化外替売り介入と同じでした。 金利は抑えられ、外貨準備は減少しました。 4月の利下げはこの状況下で起きました。この利下げは、2011年1月の利下げと象徴的な類似点があり、流動資産の放出は以前と同じ影響がありました。

為替介入の4つの方法

ここで為替介入についておさらいをしておきましょう。財務当局は為替市場に以下の4つの方法で介入を行います。
 

非不胎化外貨売り介入:
為替レートが下がるのを防ぐため、国内通貨と引き換えに、中央銀行はドルを売ります。マネタリー・ベースや預金が縮小し、ルピーは市中から消え、金利が上がります。 経済活動と輸入は失速します。 カレンシー・ボード制は、非不胎化介入のみを行うでしょう。

 

非不胎化外貨買い介入:
中央銀行やカレンシー・ボード制ではドルを買い、 ルピーの価値の上昇を防ぎます。新しいルピーが供給され、 マネタリー・ベースは膨張し、金利は低下します。 新しいお金が直接または信用を通して費やされ、輸入が増えます。 為替レートは上昇しません。

 

不胎化外為買い介入:
中央銀行はドルを買い、 ルピーの供給量上昇による価値の下落を防ぎます。 金利が下がるのを防ぐため、中央銀行は短期国債のような国内資産を売り、ルピーを買い戻すことも行います。 為替レートは、上昇基調のままです。

 

非不胎化外貨売り介入:
中央銀行がルピーの価値が下がるのを防ぐため、ドルを売ります。ルピーは吸収され、金利を上昇させる流動性の不足が生じます。貨幣供給のため短期国債を買い、金利上昇を防ぎます。為替レートは下降基調を保ちます。

 

次回は妥当な外貨準備高についてご説明をします。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」2015年7月号に連載された「Sri Lanka Knocks Hard at BOP Crisis Door」を、翻訳・編集したものです。

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