観光産業競争力で世界63位に位置づけられたスリランカ。観光産業が更なる発展を遂げるためには、どのような戦略を持つ必要があるのでしょうか。スリランカのツーリズム専門家であるShaun Mann氏のインタビュー記事をお届けします。

海外からの旅行客は「地方」に変化をもたらす

――雇用が生み出されることの他、観光産業の成長は地方にどのような利点をもたらすでしょうか?

 

観光産業が成長すれば、国の経済には多くのお金が流れ込みます。これによって様々な分野において商品やサービスの需要が生まれます。また観光客によってもちこまれた現金の一部は国庫に入り、それがインフラ開発などの公共投資に使われることになります。

 

また、地方は観光客が直接落とすお金で潤うでしょう。地方は観光客が買いたい、あるいは体験したいと感じる商品やサービスを提供することを考えればよいでしょう。海外から絶え間なく旅行者が訪れるということは、「閉鎖的」になりがちな地方の社会や考え方を「開かれた」ものにします。外の世界とつながることは、発展への大きな恩恵を受けることになります。

2015年、観光産業競争力ランキングでは世界63位

――スリランカは、2015年の世界経済フォーラムによる旅行・観光産業競争力報告書に挙げられた141ヶ国の中で63位と11ランクアップしました。この主な理由は何でしょうか?また、このランキングでは、4つの観点から評価をされていますが、今後スリランカが順位を上げるために注力するべき分野はどれでしょうか?

 

残念ながら、そのような類の二次情報を集めた情報にはあまり関心がありません。ただ、ツーリズムに対する明確な政策およびヴィジョンの欠如、観光セクターに対する緩い統制、地方ツーリズムの未発達、そして国際および国内航空網の未整備、これらがスリランカの順位が上がらない理由なのでしょう。

 

――スリランカの観光産業は何を目的にするべきでしょうか?どの要素がスリランカの観光産業に悪影響を及ぼしているのでしょうか?

 

それについては、短絡的な考え方が多く、長期計画がないという問題を指摘してきた中で、部分的に回答できていると考えます。

 

――観光産業における長期戦略の柱となるべきものは何でしょうか?

 

・観光客一人あたりの利益を増やすこと(観光客の数だけで成功を判断するのをやめる)
・観光セクターの原則にサステナビリティ(持続可能性)を掲げること
・人材育成
・製品およびマーケットの多様化

 

――スリランカはデスティネーション・マーケティングにおいて、どのような戦略を取るべきか?

 

民間セクターとの協働を深め、市場調査を更に進め、エコツーリズム、文化ツーリズム、MICE(国際会議や見本市等)などのテーマに焦点を当てるべきでしょう。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年2月に掲載した記事「THE LONG VIEW ON TOURISM」を、翻訳・編集したものです。

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