観光客の数を増やすことよりも、既存観光客の観光体験を分析し、その一人ひとりの満足度を更に高めるアプローチが必要だとMann氏は指摘しましたが、続けてスリランカの観光資源のPR方法にも改善が必要だと話します。スリランカのツーリズム専門家であるShaun Mann氏のインタビュー記事をお届けします。

「国家ブランド」の確立を目指す

――スリランカには美しい景色、歴史そして自然があり、それらを売りにしてきましたが、他の多くの国でもこれらの魅力を強調しています。スリランカどのように差別化を図れるのでしょうか?

 

総合的に見て、スリランカが抱える一番の問題点は「国家ブランド」戦略を練っていないことです。景色、歴史そして自然以外にも、観光客を惹きつける要素は、まだまだたくさんあります。たとえば宝石、食、文化、宗教、紅茶、シナモン、米、ココナッツ、スポーツなどが挙げられます。これら以外にも様々なものを含めて、スリランカの独自性をアピールし、国家ブランドを創り上げていく必要があるのです。

 

これが行われなければ、スリランカでの休暇というプロダクツも凡庸なものになってしまい、お金という物差しだけで取引されてしまう危険があります。そうなると(ある程度は既にそうなっているのだが)差別化を図るのは骨の折れるプロセスになるでしょう。

「ここでしかできない体験」に質と価値を加える

差別化を図るためのポイントはいくつかあります。まずは、スリランカほど容易に多様な(自然、歴史、文化そして社会的な)体験をできる国はほとんど存在しないという点です。スリランカは、一つの小さな島とは思えない多様性と豊穣さを秘めています。

 

またクジラと象が一日で楽しめたり、トリンコマリー沖でクジラが一堂に会し、一斉に水面から体を出す様子が堪能できることなども挙げられます。これらは世界有数の観光資源であり、差別化をすることができる土台となりえます。

 

スリランカに必要なことは、これらの体験に質と価値を加えることです。ホエール・ウォッチングや豹を見ることができるなどの自然での体験に対し、スリランカのサービス供給者はきちんとした品質管理を行っていません。ホエール・ウォッチングはもはやホエール・チェイシング(追跡)になってしまっており、豹に関しても同じことが言えます。これでは消費者にとっても動物そのものにとっても、持続性が低いものでしょう。


次回は、景色、歴史や自然以外のスリランカの観光資源をご紹介します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年2月に掲載した記事「THE LONG VIEW ON TOURISM」を、翻訳・編集したものです。

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