内戦終結以降、着実に観光客数を増やしてきたスリランカですが、増加数に対して質の向上が見られないと指摘もされています。スリランカの観光産業が取り組むべき課題について、ツーリズム専門家であるShaun Mann氏のインタビュー記事をお届けします。

まずは既存の訪問客への「価値」を高める

スリランカの観光業界は、どのような国際的なパートナーやブランドをスリランカに引き込みたいかを検討する必要があります。パートナーには、より深くまた新規のマーケットを開拓できる相手を選ぶべきとして、重要なのは提携するパートナーやブランドが、スリランカのサービスの質を高め、観光プロダクツの多様化に寄与してくれるかどうかです。

 

素早く実現できる成果があるかについてお尋ねですが、それは新しく観光客を呼び込むことよりも、既にスリランカを訪れている観光客への価値を高めることにあるでしょう。それにはスリランカの観光商品やサービスの質を高めて種類も増やすこと、そして、これらの商品とサービスの情報が消費者に届くよう、パッケージ化してマーケティング戦略を練ることが必要になります。これは観光産業セクターの成長につながるポテンシャルの大きな分野でありながら、今まできちんと顧みられてきませんでした。

観光客「数」よりも大切な指標とは?

標的デスティネーション・マーケティングは数字を伸ばすのに効果的な手法である一方で、より重要になるのはその数字のもつ質です。この観光客たちはどのくらいの期間滞在するのか? どのくらいお金を落とすのか? 満足して帰国するのか? 使ったお金の分だけの価値を得られたか? また訪れてくれるのか? 友達に薦めてくれるか? これらが重要になってくるため、ただ単にデスティネーション・マーケティングを実施することは、最初の基礎的な一歩に過ぎないのです。

 

より重要となってくるマーケティングは、それぞれの観光地の特徴を活かした商品やサービスを提供できるように、それらを供給することができる民間企業などと連携していくことです。そのためには、それぞれの市場のセグメントに対する、より深い理解が必要となります。特にインドと中国からの旅行者に対しては、彼らが求めているものに対する深い知識が必要になります。

 

次回は、スリランカに不足している国家ブランド戦略についてご紹介します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年2月に掲載した記事「THE LONG VIEW ON TOURISM」を、翻訳・編集したものです。

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