「株式投資は難しくない」と言えるワケ
みなさんは株式投資にどんなイメージを持っているでしょうか?
元々筆者は、株式投資といえば勝てば人生バラ色、負ければ人生終わりになるものだと思い込んでいました。と同時に、株式投資で利益を出すのは至難の業で、深い専門知識がなければ到底できないとも思っていました。
どうやらこの考え方は、ごく一般的なものだったようです。
2018年に日本証券業協会が実施した証券投資に関する全国調査によると、株式を購入しなかった理由の第1位は「興味がない」、次いで第2位は「十分な知識をまだ持っていない」でした。このデータからは株式投資を難しく考え過ぎていることが理由で、興味が持てず、十分な知識の自信も持てないのではないかと筆者は考えました。
実際、「株式投資 = 難しい」というイメージを持っている人はいまだに多くいます。しかし、よく考えてみるとそうではなく、資産を増やすだけなら実は比較的簡単にできる投資法です。なぜなら、株式投資はプラスサムゲーム(参加者全体の利益と損失を合わせてプラス)になるからです。
短期的な売買の場合は自分の利益がそのまま相手の損失になるので、ゼロサムゲーム(参加者全体の利益と損失を合わせてゼロ)だといえます。しかし、株を長期保有する場合は別です。その場合は投資した企業の利益から定期的に配当金が手に入るため、株主である投資家全員が儲かる仕組みになっています。
たしかに、株価の下落によって含み損を抱えるリスクは否定できません。
ただ、完全に持っていないものと考えられるお金で長期的な株式投資をすればどうでしょうか。株価が下落して含み損になっても問題ない余裕資金のため、あまり気になりません。そして、感覚としては定期的に配当金が手元に入ってきて勝手にお金が増えていくのと同じようになります。
さらに、長期投資であるほどリスクは小さくなり、結果的に安定した値上がり益も期待できるようになります。現に日本をはじめ、米国や英国などでは長期的にみれば株式市場のチャートは順調に右肩上がりなのです。
このように長い時間をかけてゆっくりと投資していけば、株による資産の増加はそこまで難しいことではありません。
また、どんなに損失が出たとしても、現物株式なら資産価値が0円になって終了するだけです。FXや先物などのように借金を背負うリスクがまったくない点もより難易度を低くしているのではないでしょうか。
感情に任せて誤った選択をする個人投資家
難しくないとは言いましたが、実際のところ個人投資家の8割が株式投資で負けていると言われています。株式投資は投資家にとって有利な性質があるにもかかわらず、なぜそこまで負けてしまうのでしょうか。その最も大きな理由が「感情に身を任せた行動をしてしまうから」です。
その代表例としては以下のようなものがあります。
・淡い期待を持ってなかなか損切りできず、利益が出てもお金欲しさに早い段階で利確する(プロスペクト理論)
・根拠が薄いにもかかわらず、待てなくて投資を実行してしまう
・ちょっとした失敗で挫けて改善せず、途中で諦めてしまう
上記のどれもが感情に左右されやすい個人投資家によくある敗因です。では、なぜ個人投資家の多くは感情に影響されて非合理的な選択をしてしまうのでしょうか。それは、「心のどこかで投資に対して甘えた意識をまだ持っているから」です。
甘えた心が残っているゆえに事前に決めたルールを破ったり、なんとなく取引して自分の感情に負けてしまう――。「自分ならなんとかなる!」と思っているときほど危険なのです。
とはいえ、個人投資家は資金力・分析力・調査力などあらゆる面で不利であることに変わりありません。感情に負けずに株式投資で勝ち続けられる者も、実際はひと握りしかいないのです。また、人間である以上やはり感情を完全に捨てきることは難しいでしょう。これらは厳しいですが、受け入れなければいけない事実なのです。
そのうえで我々個人投資家はまっすぐ投資に向き合い、意識を変えていく努力をすることが必要です。
たとえば、株式投資において、次のようなことが大切になります。
・勉強として惜しまず投資をしてみる
・トレードを学ぶための時間を優先的に取る
・決めたトレードルールは決して破らない
・資金管理を徹底する
「個人投資家はひたむきな努力の末に株式投資で勝てる」という意識を持っておくのは必須事項です。最初のうちはどうしても感情が表に出て、焦って売買してしまうでしょう。しかし、失敗と反省を繰り返していくうちに、だんだんと自信がついてきて冷静なトレードができるようになります。
意識を変えるだけなら、今からでもできます。この瞬間から、今までの意識を変えていきましょう。