経済産業省の取り組みにより注目が集まる「健康経営」。健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することと定義され、「国民の健康寿命の延伸」を目的として、企業の取り組みが期待されている。本記事では、ボディスタイルプロデューサー・社員自走型健康経営アドバイザーである田中素美氏が、次世代リーダーを⽣み出すカギともいえる「体のマネジメント」について解説する。

今の「次世代リーダー育成」とは?

◆「健康経営」と並⾏する「キャリア形成」

 

厚⽣労働省は、キャリア形成支援普及の一環として実施している活動に「グッドキャリア企業アワード」があります。2018年には、⼤賞に5社、イノベーション賞に5社(最⼤10社)が選出されています。ここでいうグッドキャリアとは、「各企業における経営上の課題等に対応し、また、変化する経済社会の⽅向性を踏まえて、従業員が⾃らのキャリアビジョンを明らかにし、その実現を図るため、⾃律的・継続的に⾃らのキャリア形成に取り組んでいる状態」と定義しています。

 

「⾃律的・継続的なキャリア形成」というところに、ポイントがあるでしょう。いまや、男性⼥性に関わらず、外国⼈にも平等に管理職への道があります。企業を悩ませる⼈材確保には、この積極的なキャリア形成⽀援が不可⽋となっているのです。

 

各企業のなかには実際に、次世代リーダーを目指す意欲のある社員に対し、応募制や選抜制などを通して、キャリア形成⽀援を⾏っているところも多いでしょう。しかし、まだまだキャリア形成支援は普及しているとはいえず、厚生労働省が「グッドキャリア企業アワード」といった活動を行い、国全体として次世代リーダーの育成に取り組んでいるのです。

 

◆次世代リーダーは「ビジネスアスリート」

 

次世代リーダーは、ビジネス上での「アスリート候補⽣」といえます。リーダーになった際には、膨⼤な情報や⼤きな責任、そして増⼤する決裁事項など、瞬時に決断をせまられる⽴場になります。スポーツ界のトップアスリートたちと同様、即時の判断が勝敗を分けるのです。

 

トップアスリートたちも、次世代リーダーと同じように、いきなりトップになったわけではありません。訓練、練習、体験、イノベーションなどを繰り返し、本物のアスリートとなり、勝ち進んでいくわけです。とりわけ、体を作っていく過程は、⼀⽇やそこらではできません。

 

ビジネス上でも、まったく同じです。リーダー候補生を「ビジネスアスリート」として育成するためには、キャリア形成、能⼒開発、技術取得だけでなく、体や健康のマネジメントの仕⽅を⾝につけることが、とても重要となってくるのです。

 

次世代リーダーは「ビジネスアスリート」
次世代リーダーは「ビジネスアスリート」

 

◆「健康経営」の実践はシャワー効果がベストな理由

 

現時点で「健康経営」に取り組んでいる企業でも、全社員を対象とした活動とすると、健康診断や健康系アプリによる啓蒙、社員⾷堂でのメニューの取り組みなどに留まります。もちろん、これらの活動も重要ですが、⾃分の健康をマネージメントできるほどにはなりません。

 

⼤企業の⽅とお話すると、「全社員となると対象人数が多すぎて、なかなか取り⼊れにくい」といわれます。その気持ちはよく理解できますし、すべての社員に健康でいてほしいという気持ちに嘘はないでしょう。

 

そのため、実際に「健康経営」を取り⼊れるときには、⼀部の社員から始めてみましょう。まず、「次世代リーダー育成プログラム」のなかに「健康マネージメント」を取り⼊れてみてはいかがでしょうか。なぜなら、リーダー候補生たちには向上⼼があり、指導者になろうという積極性があります。しかも、この先の⼤海原に出ていくわけですから、体⼒がなかったり不健康では、どんなに能⼒が⾼くてもまったく⻭が⽴たなくなってしまうからです。

 

30代・40代で、いけいけドンドンで頑張ってきた人が、50代になって急に体調を崩すことはよくあることです。おそらく、あなたの周りにもいらしたのではないでしょうか。

 

将来的に、「体のマネジメントもできるリーダー」こそが、全社員にとって最⾼の⾒本となります。彼らが部下や他の社員たちによい影響を及ぼし、また、社員たちの体や⼼の健康⾯も理解できるのでよりよい指導ができます。この「シャワー効果」が、結果的に全社員へよい影響を与えていくのです。

アスリートは「体のマネジメント」抜きには勝てない

◆30代・40代から「⾒た⽬を気にする」ことで差をつける

 

欧米では、「健康をマネジメントできる人は、仕事のマネジメントもできる」と認識され、体のマネジメント力が高い人は、ビジネス上でも高く評価されています。日本においても、その傾向が見られつつあります。

 

次世代リーダー層にあたる30代・40代は、「見た目」を気にすることで、他候補生との差をつけましょう。⾒た⽬が⼤事なのは、それが健康の証だからです。体型も肌艶もエネルギーも、すべては内側の健康から来ています。体の健康はそのまま⼼の健康なので、ビジネスアスリートは⼼もタフで⾃信もあるというわけです。体の健康があっての、心の健康なのです。

 

◆迷ったら「⽣活習慣三本柱」に立ち返る

 

三⼤⽣活習慣は、⾷事・運動・睡眠です。⽣活習慣はこの他にも7つほどあります。時間をかけて基礎を⾝につけるという点は、語学や⾳楽、スポーツと同じロジックです。しかし、⽇々の⽣活は待ったなしですので、忙しいなかでも、生活習慣改善に取り組むヒントを見ていきましょう。

 

「⾷事」は、毎⽇の体の材料仕⼊れです。バランスの悪い⾷事をとれば、バランスの悪い体になり、下手をすると病気へと向かっていきます。3回の⾷事で栄養バランスをとるのですが、⼤事なのは「⾎糖値を急激に上げない」⾷べ⽅をすることです。⾷事の順番や糖質のコントロールを気にするのは、そのためなのです。

 

「運動」は、その負荷で筋⾁と⾻という⼟台を強化し、⼼肺機能を向上させます。どんなによい⾷事をとっても、運動しなければ代謝は上がらず、エネルギー変換が衰えます。⼆本⾜で⽴っている⼈間は、⾜の筋⾁が弱いと体液の循環が悪くなります。便利さと引き換えに、現代⼈は日々の運動がおろそかになっていますので、週2、3回の自主的な運動は必須です。ストレス発散に⼀番効果的な習慣でもあります。

 

「睡眠」は、細胞の修復再⽣と内臓の休息による体⼒の回復です。質のよい睡眠は、起きている間の⾏動で決まります。遅い時間の⾷事は、内臓への残業です。また運動不⾜も、体と⼼にストレスをためさせてしまい、睡眠の質を下げることにつながります。

 

⾃分の体という実体がある限り、必ず生活習慣を⾝につけることはできるのです。

 

これからの企業の価値向上は、⾃分で体のマネジメントができる社員の数にかかっているのかもしれません。まず、全社員に生活習慣を見直させるところから、始めてみてはいかがでしょうか。

 

 

田中素美

ボディスタイルプロデューサー/社員自走型健康経営アドバイザー/ジェロントロジスト/Origin&Beauty代表

 

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