都内勤務30代会社員が「小田急線」で住みやすいのは何駅か?

どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえるだろう。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 今回、小田急線小田原線沿線のなかで、都内に勤務する単身の30代男性会社員が「住みやすい街」を考察した。交通と生活の利便性を兼ね備え、適正家賃で住める候補は7駅。はたして、単身の30代男性会社員が小田急線で「住みやすい街」とは?

交通利便性で見るなら、「下北沢」が突出

「新宿」と神奈川県の「小田原」を結ぶ、小田急小田原線。途中、東京メトロ千代田線が乗り入れる「代々木上原」、京王電鉄井の頭線との接続駅である「下北沢」、百貨店などの集積が進む「町田」など、人気のエリアが点在する。新宿近郊で勤務している場合、小田急小田原線沿いは、有力な居住地候補になるだろう。

 

再開発で一新した「下北沢」駅
再開発で一新した「下北沢」駅

 

そこで、今回は、小田急小田原線の各駅の平均家賃から、沿線の「住みやすい街」を考えていく。

 

今回想定するのは、都内勤務の30代、単身の男性会社員。厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の30代会社員の平均給与は[図表1]のとおりである。企業規模によって平均給与は異なるが、そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額は、10~99人の会社規模勤務なら30代前半で20.1万円、30代後半で22.2万円、100人~999人規模の企業規模なら30代前半で21.5万円、30代後半で23.6万円、企業規模1000人以上なら30代前半で25.0万円、30代後半で27.8万円となる。

 

出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2018 ※数値は労働契約、労働協約あるいは事業所の就業規則などによってあらかじめ定められている支給条件、算定方法によって6月分として支給された現金給与額「きまって支給する現金給与額」。現金給与額には、基本給、職務手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などが含まれるほか、超過労働給与額も含まれる
[図表1]都内勤務の30代会社員の平均給与 出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2018
※数値は労働契約、労働協約あるいは事業所の就業規則などによってあらかじめ定められている支給条件、算定方法によって6月分として支給された現金給与額「きまって支給する現金給与額」。現金給与額には、基本給、職務手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などが含まれるほか、超過労働給与額も含まれる

 

また手取り月収の1/3以内を適正家賃と考えると、都内勤務、単身の30代男性会社員の場合、6.7万~9.2万円が家賃の目安となる。この範囲で、小田急小田原線沿線の各駅の平均家賃を見ていく。

 

最寄り駅から徒歩10分圏内の1K・1DKの平均家賃は、[図表2]の通り。対象となる物件がない、または少なく数値の正確性が劣る駅は、初めから除外した。「新宿」駅を出発して、平均家賃が9.2万円を最初に下回るのは「下北沢」駅で8.07万円。以降の駅はすべてこの水準を下回る。

 

出所:所要時間の*のついている数値は速達列車利用時。電車本数の左数字は「新宿」行き電車本数、右は千代田線直通列車(「新宿」行きではない)含む列車本数 平均家賃:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会調べ(11月29日時点)、各駅より徒歩10分圏内の物件を対象とする
[図表1]小田急小田原線各駅周辺の平均家賃と、「新宿」駅までの所要時間/電車本数 出所:所要時間の*のついている数値は速達列車利用時。電車本数の左数字は「新宿」行き電車本数、右は千代田線直通列車(「新宿」行きではない)含む列車本数
平均家賃:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会調べ(11月29日時点)、各駅より徒歩10分圏内の物件を対象とする

 

次に交通面をみていこう。通勤時間帯である平日8時台、途中乗り換えなしで「新宿」まで20分以内の駅を見ていく。快速急行などの速達列車を利用する場合、ボーダーとなるのは「向ヶ丘遊園」で20分。次の停車駅「新百合ヶ丘」になると、所要時間は28分になる。次に各駅停車のみ停まる駅を見てみると、ボーダーは「豪徳寺」で17分。次の各駅停車駅は「千歳船橋」で22分となる。

 

単身の30代男性会社員が小田急線沿線で家を探す際、平均家賃と「新宿」までの所要時間から考えると、「下北沢」「世田谷代田」「梅ヶ丘」「豪徳寺」「経堂」「登戸」「向ヶ丘遊園」の7駅が、候補駅となる。

 

さらに交通の利便性で考えると、通勤時間帯の列車本数も重要だろう。平日8時台の「新宿」行きの列車本数を見ていくと、各駅停車しか停まらない「世田谷代田」「梅ヶ丘」「豪徳寺」は、1時間に6、7本で、駅での待ち時間は最大10分ほど。一方、快速急行が停まる「下北沢」「登戸」は、1時間に20本前後で、駅での待ち時間は3~4分ほど。「新宿」までの所要時間と、列車の待ち時間を考慮すると、アクセス面では「下北沢」が最も優位だといえそうだ。

日常の買い物なら「経堂」、飲食なら「下北沢」

次に生活利便性を見ていこう。男性の一人暮らしのライフスタイルを考え、駅から10分以内にある①コンビニエンスストア ②スーパー ③ドラッグストア ④ファストフード・ファミリーレストランの数をカウントした(図表3)

 

※対象店舗は駅から徒歩10分圏内とする。カウントするのはチェーン展開している店舗のみで、ドラッグストアには調剤薬局は含めない
[図表3]7駅の生活利便性 ※対象店舗は駅から徒歩10分圏内とする。カウントするのはチェーン展開している店舗のみで、ドラッグストアには調剤薬局は含めない

 

一つひとつの駅を見ていこう。

 

「下北沢」は、古着、演劇、音楽など、サブカルチャーの街として知られるが、京王電鉄井の頭線と接続し、「渋谷」や「吉祥寺」といった人気エリアにもアクセスでき、交通利便性でも魅力的なエリアだ。個性的な店が集積する一方で、一人暮らしを支えてくれる店も多数点在し、生活利便性も抜群。また現在、小田急小田原線「下北沢」駅の地下化に伴い再開発が進行中で、商業施設や宿泊施設が開業する予定だ。“シモキタらしさ”を残しながら、さらなる発展が期待されている。

 

「世田谷代田」駅の周辺は基本的に住宅地で、目立った店舗の集積はない。しかし隣の「下北沢」まで徒歩10分。エリアによっては、「下北沢」のほうが日常使いの駅になるだろう。

 

「梅ヶ丘」は、梅で有名な羽根木公園の最寄り駅で、シーズンには多くの観光客でにぎわう。駅前には23時まで営業の「OdakyuOX 梅ヶ丘店」や、24時間営業の「ワイズマート 梅ヶ丘店」のほか、小規模な商店街があり、生活利便性を兼ね備えた落ち着いた住環境が人気だ。

 

「豪徳寺」は、東急電鉄世田谷線「山下」駅と乗り換え可能で、「下高井戸」や「三軒茶屋」にアクセスができる。駅を挟み南北に小規模な商店街が形成され、コンビニやスーパー、ファストフード店等も、比較的、駅周辺に集積している。

 

豪徳寺といえば、招き猫発祥の地
豪徳寺といえば、招き猫発祥の地

 

周辺に教育機関が多く点在する「経堂」。駅前は再開発で大きく印象が変わり、商業施設「経堂コルティ」には、スーパーマーケット「Odakyu OX」など約50店舗が入る。また多くの商店街が点在し、特に380mほどの通りに飲食店など150店ほどが並ぶ「経堂農大通り商店街」は、多くの学生が行きかい、常に活気に満ちている。一方で、喧騒から一歩外れると閑静な住宅街が広がり、活気と落ち着きが同居するエリアとして、近年人気が高まっている。

 

高架化に伴い整備された、「経堂」駅前広場
高架化に伴い整備された、「経堂」駅前広場

 

多摩川を渡り、神奈川県に入った最初の駅である「登戸」。多摩川沿いに「立川」と「川崎」を結ぶ、JR南武線と接続する。駅北エリアは長らく雑多な雰囲気だったが、長年、停滞していた区画整理が進みだしている。いまは更地が広がっているが、5年ほどで新たな街並みが形成される予定だ。隣の「向ヶ丘遊園」は徒歩8分ほどの近さで、その周辺は店舗の集積が進んでいる。普段の買い物は「向ヶ丘遊園」のほうが便利だろう。

 

2000年代前半まで近隣に遊園地があった「向ヶ丘遊園」は、専修大学や明治大学の生田キャンパスが近く、駅周辺には、学生をターゲットにしたリーズナブルな店が多く点在する。また広大な緑が広がり生田緑地には、「藤子・F・不二雄ミュージアム」や「岡本太郎美術館」などの施設もあり、最近は、外国人観光客の姿も目立ち始めている。

 

川崎北部地域の中心でもある「向ヶ丘遊園」エリア
川崎北部地域の中心でもある「向ヶ丘遊園」エリア

 

生活利便性で見ていくと、「日常の買い物」の面では、駅前に比較的大きな商業施設があり、スーパーマーケットの多い「経堂」が優位だが、「食」の面では「下北沢」が優位だといえるだろう。ただどの駅の周辺にも、単身者が住むには十分な店が揃っているので、「生活が不便」ということにはならないだろう。

交通と生活、双方の利便性を兼ね備えたエリアは?

以上のように、7駅を見てきたが、交通と生活の利便性から、おすすめしたい、ふたつのエリアが見えてきた。

 

まず、「世田谷代田」の東側の地域。「下北沢」の交通、生活双方の利便性を享受できるうえ、平均家賃6.66万円とリーズナブルなエリアだから、同じ予算でも、ワンランク上の物件を選択できる可能性が高い。

 

もう1つが、「向ヶ丘遊園」の東側の地域。日常使いの駅は、交通利便性の高い「登戸」を利用し、普段の買い物は「向ヶ丘遊園」周辺で済ませる。平均家賃は「登戸」6.24万円より安い5.81万円なので、ここでもワンランク上の物件を選択できる可能性が高い。

 

「梅ヶ丘」「豪徳寺」「経堂」は、朝の通勤時間帯で「待ち時間10分」が、交通利便性を優先する傾向の強い単身者には、少々ネックだといえる。この点を気にしなければ、特に「経堂」は駅周辺に飲食店をはじめ店舗が多く、平日も休日も、充実したものになるだろう。

 

GGOとは、GENTOSHA GOLD ONLINE(幻冬舎ゴールドオンライン)の略称。『あなたの財産を「守る」「増やす」「残す」ための総合情報サイト』を掲げ、企業オーナー・富裕層を主要読者ターゲットとして運営している(写真は編集長の立本正樹)。

著者紹介

連載データから紐解く「住みやすい街」

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