武蔵小杉の一件以降、何かと話題になっている「タワーマンション」。庶民にはうらやましく感じられていたその暮らしですが、実情はもっと複雑なようです。株式会社未来投資不動産代表取締役社長・川嶋謙一氏が、「タワマン」の実情について解説します。

タワーマンション=「バブルの申し子」?

日本で超高層タワーマンションといえば、大阪のザ・キタハマ、別名「北浜タワー」(54階)、関東ではパークシティ武蔵小杉・ミッドスカイタワー(59階)、新宿のザ・パークハウス西新宿タワー60(60階)などです。

 

商業施設である池袋のサンシャイン60ができたときには60階という高さにびっくりしたものですが、今では60階建てのマンションまで建つようになっています。ちなみに東京ミッドタウンや六本木ヒルズ森タワーは54階です。

 

都心部ではなかなか土地がなく、限られた面積に多くの住居を作ることが求められるため、超高層マンションは理想の形といえるのです。それでも地上50~60階建てともなれば、何百坪もの敷地面積が必要ですし、地中に杭を打ち基礎を作らなければいけません。大変な大工事になるのです。

 

ところが都心には商業ビルやマンションなどが密集していて、その土地やビルの権利関係はとても複雑で、簡単にまとまった土地を確保したり、ビルやマンションの入居者を追い出すこともできません。さらに、2020年までは地価が上昇すると多くの人が考えている現在、地上げは困難を極め、立ち退き料などが桁違いに必要になっています。

 

予定地のほとんどが地上げできても、真ん中あたりの土地が残ってしまえば、虫食い地上げ地となって計画が行き詰まり、地上げに投資した立ち退き料などの金利負担が重くのしかかってきます。建設もできず、引くに引けない最悪の事態を招いてしまうのです。

誰も知らない不動産屋のウラ話

誰も知らない不動産屋のウラ話

川嶋 謙一

幻冬舎メディアコンサルティング

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