給料足りないのか?サラリーマンが「不動産投資」を始めるナゾ

黒い噂が多い不動産業界。詐欺まがいの投資物件を勧められて賃貸経営を始めた結果、大赤字になってしまった…というドキュメンタリー番組も放映され、「よくわからないけど胡散臭い」というイメージがついている人も少なくありません。一方、投資である以上、「成功した事例」があることも確かな事実です。念願の不労所得を手に入れる人と、そうでない人の違いは、一体何なのでしょうか? 収益不動産を通じ、購入から運用・売却まで一貫した資産形成をサポートしている大和財託株式会社の代表・藤原正明氏が解説します。

不動産投資の「目的」と「手段」をはき違えていないか

会社を継続させるためには利益が不可欠ですが、利益を出すことが会社の目的ではありません。会社には理念があり、それを実現するための手段として利益があるのです。目的と手段をはき違え、利益をあげること自体が目的になると、利益さえ出れば何をしてもいい、という間違った経営判断をしかねません。これは不動産投資・賃貸経営でも同じです。

 

不動産投資に興味のある方の話を聞いていると、買いたい病とでも言いましょうか、物件を持つこと自体が目的となっている人がいます。ですが会社経営と同じように、賃貸経営で物件を保有するのはあくまで手段であり、それによって生み出した利益で「何がしたいのか」「どうありたいのか」という本当の目的をはっきりさせる必要があるのです。

 

何を目的に不動産投資に取り組むのかは、投資家一人ひとりによって異なるでしょう。昨今の社会情勢から、サラリーマンの方、医師の方、中小企業経営者の方など、職業や置かれた状況は異なりますが、端的に言えば将来の経済的不安を払拭することを目的とする方が多いと思います。

 

例えば当社に相談に来るサラリーマンの方の多くは、「仕事は続けながら10年程度のスパンで現在の給料と同じくらいのキャッシュフローが得られる状態にしたい」という希望を持っています。今の会社で働きつつ、給料とは別の「第2の収入」の柱を打ち立てたいというものです。

 

あるいは何らかの理由で会社を退職することになっても困らないよう、「収入が安定している今のうちに不動産投資に取り組みたい」と考えている方、将来の起業を見越して、「現在のサラリーマンの属性を利用して融資を受けて、事業が軌道に乗るまでの生活基盤を家賃収入で賄いたい」という方もいました。

 

サラリーマンの方のなかでも40代後半から50代の方は、私的年金作りを目的にしていることが少なくありません。年金の支給開始年齢は現在65歳ですが、少子高齢化による社会保障費の急増を考えると、将来的に支給年齢がさらに引き上げられたり支給金額が減額されたりする可能性が現実味を帯びています。

 

今後、定年年齢が延びる可能性はありますが、収入減は避けられません。一定の生活水準を維持するために、不足部分を家賃収入で補うことを目的とした不動産投資ということです。サラリーマンの方の目的で総じていえるのは、いつまでにいくら貯めるという「貯蓄」ではなく、「安定収入」を重視している点でしょう。

 

何を目的に不動産投資に取り組むのか
何を目的に不動産投資に取り組むのか

高額所得者にとって不動産投資は「節税の手段」

また医師や士業など高収入の方は、資産形成と節税を目的としている方が多い印象です。平成25年度の税制改正では贈与税や所得税の増税が決まり、毎年の社会保険料も上昇。高所得者にとっては、将来に向けた資産形成の方法を具体的に模索しなければ、苦労して築き上げた資産が吸い上げられてしまう時代です。そのため、自分で築き上げた資産を守ろうと不動産投資に取り組む方が増えているのです。

 

同じく高収入の方でも中小企業経営者の方の場合、社長個人の資産運用および節税と、会社の事業として賃貸業に取り組みたいという希望が多いようです。会社の事業については、新規事業に取り組んで収益源を多角化し経営を安定させるというのがその狙いです。キャッシュフローで月に100万円もあれば、従業員数人の人件費に充当できるので経営が安定する、そう考えているのです。

 

あるいは、一定以上の純資産(現預金・有価証券等)や土地などを保有している富裕層の方では、将来の相続税対策として収益物件の活用を検討したいというニーズもあります。

 

このように、不動産投資・賃貸経営の目的は一人ひとりの人生設計と密接にリンクしているケースが多いものです。検討している方は、自身のライフプランをよく考え、不動産投資・賃貸経営の目的を明確にしたうえで取り組んでほしいと思います。

 

目的と同時に必要なのは、「いくらの自己資金を投じて」「いつまでに」「どの程度のキャッシュフローを得たいのか」を明確にすることです。それによって不動産ポートフォリオ(組み合わせ)が変わってくるからです。

 

ポートフォリオの参考として実例を紹介しましょう。

 

Eさん(仮名)は、5年後に年間税引後キャッシュフロー500万円が目標でした。当然、借入がある状態での一時的な数値目標ではあります。すでに区分所有で税引後キャッシュフローが50万円程度出ていたので、残り450万円をどうするかについて考えました。物件の取得順序については、その時々で希望条件に合う物件が出てくるかどうかで違ってくるため、まず最終ゴールを提示しました。

 

●Eさん(会社員)

年収:1,500万円 金融資産:1,000万円 保有不動産:区分所有3戸

 

〈最終ゴール時の不動産ポートフォリオの例〉

(1)S造(鉄骨造)5,000万円

(2)S造1億円

(3)木造5,000万円

トータル投資規模:2億円

 

(1)と(2)はキャッシュフローを稼ぐことが目的の物件で、(3)は給料収入と(1)、(2)の家賃収入を減価償却で損益通算し、節税を図ることが目的の物件です。このポートフォリオであれば、トータルで税引後キャッシュフロー500万円程度は達成できます(当然、物件利回り、融資条件によります)。

 

先の例ではかなり簡略化してお伝えしています。この方の場合、土地値の木造物件の情報がタイミングよく入ってきたため順番は異なりましたが、節税用物件として購入いただきました。

 

「利回りが高いから」「RC造で融資が長期で組めるから」などの理由だけで物件を買い進めるのではなく、不動産投資・賃貸経営の目的と目標から逆算して不動産ポートフォリオ戦略を策定し、購入する物件がポートフォリオ上どういう位置づけなのかを明確にして、物件を1棟、さらに1棟と買い増しすることが大切です。

大和財託株式会社 代表

昭和55年生まれ。三井不動産レジデンシャル株式会社を経て、収益不動産に特化した事業を展開する武蔵コーポレーション株式会社で収益不動産の売買仲介および賃貸管理業務についての実務経験を積む。
平成25年に独立して大阪市内に大和財託株式会社を設立。
収益不動産を通じて、購入から運用・売却まで一貫した資産形成をサポートしている。
特に、物件情報をすべて数値化し、資金調達、物件購入、管理運用から売却までを視野に入れた収支シミュレーションに定評がある。
管理物件の平均入居率は98パーセントを誇る。

著者紹介

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