相場の転換点を暗示するローソク足が現れた!年末まではドル安?ドル高?

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2019年11月6日に公開されたものです。

10月のドル/円は、始値と終値がほぼ同じ水準

10月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では予想通り3回目の利下げを決定しました。

 

声明文では「景気拡大の維持に向け、適切に行動する」との文言が削除され、「経済情勢の実績と見通しを評価していく」という表現にとどめました。「適切に行動する」とは利下げを意味していたため、この文言の削除は今後の利下げ打ち止めとマーケットは理解し、ドル買いが強まり1ドル=109円30銭近辺まで買われました。

 

ところが、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は記者会見で、状況次第で今後の利下げの可能性も排除しないと発言したことから、米金利が低下し、ドル安、株高となりました。ドル/円は、108円台後半に押し戻されました。

 

そして、FOMCの翌日31日には、「中国側がトランプ政権との長期的な貿易通商合意に懐疑的」とのヘッドラインが流れると、米中貿易協議の楽観ムードが後退。不透明感から1ドル=108円割れとなり、上値の重い地合いのまま10月は108円に乗せたところで終りました。

相場の転換点を暗示するローソク足とは?

10月末の終わり方は、月末ということもあり買い上げたポジションの調整(売り)によって1円以上押し戻された形となりましたが、10月の月足を見ると興味深い形となっています。

 

10月の値幅は3円弱ありましたが、始値と終値がほぼ同じ水準の108.05円近辺となっています。月前半は円高方向に約1円50銭の「行って来い」相場となり、月後半は円安方向への「行って来い」相場となりました。

 

「行って来い」相場とは、円高に行っても元に戻る相場のことです。これが円高方向にも円安方向にも起こったため、月間の動きでは月初めの始値と月末の終値とがほぼ同じ水準になりました。このような動きは、始値、終値、高値、安値という4つの値で表す「ローソク足」の中で「寄引同時線」(よりひきどうじせん)と呼ばれています。

 

このローソク足は、相場の転換点を暗示すると言われています。相場の高値圏で出現したときは下落へ、安値圏で出現したときは上昇へ転換することを暗示している可能性が高い足型と言われています。

 

一方で、買い方と売り方のパワーが拮抗(きっこう)しているときに、このような足型が出現することから、相場の勢いが小休止して一時的な均衡状態にあることを示唆しているとの見方もあります。その場合、相場の分岐点ではあるが、その方向を探る綱引きがしばらく続くということになります。

 

10月の前半は、米経済指標が悪化したため円高に動き、その後は米中貿易協議やBrexit(ブレグジット:英国のEU[欧州連合]離脱)の交渉などの政治イベントの進展期待から円安に。終盤には日米欧の金融イベントがあったことから上下に激しく動きましたが、結局、相場の方向付けをするまでには至らなかったということになります。

 

11月に入ると、米雇用統計やISM製造業景況指数が良かったこと、米中通商協議の進展期待が高まったことから、NYダウ平均株価が高値を更新。この米国株高を受けて、連休明けの日本株も年初来高値を更新しました。

 

そして、ドル/円はこの株高から108円台後半まで上昇しました。5日には英FT(フィナンシャル・タイムズ)紙が、米国による対中関税の一部撤回の可能性を伝えると、株は日米とも一段高となり、ドル/円は109円台前半まで上昇しました。果たして、108円の分岐点を上振れしたのでしょうか。それとも10月末の動きのように再び押し戻されるのでしょうか。

1ドル=108円が意味すること

1ドル=108円というのは、今年の年間値幅約8円強の半分当たりの水準です。半値というのは買い方と売り方の勢力が拮抗している水準ですから、今年の動きの中でも108円が分岐点の水準ということになります。今年も残り2カ月となりましたが、2カ月かけて110円、もしくは112円に上昇する可能性はあるのでしょうか。

 

11月は日米欧の金融政策委員会が開催されないため、米中貿易協議や景気動向が相場材料となります。米中貿易問題やBrexitの政治リスクが後退していることからドル買いの安心感がありますが、10月でかなり織り込まれたため一段高には、より強い材料が必要となります。

世界市場を左右する米中貿易協議の行方は?

英FT紙の「対中関税一部撤回」報道は、9月に第4弾として15%の追加関税をかけた中国からの輸入品1,120億ドル相当が検討対象という内容です。撤回のために、米国も農産物の購入などを交渉しているとあり、まだ流動的のようです。11月中旬の米中首脳会談でまとまれば好材料ですが、FTの記事によって市場にすでに織り込まれたことから強い材料とはならないかもしれません。ただ、12月15日に予定されている第4弾の残り1,600億ドルの追加関税も見送りとなれば、相場を動かす強い材料になりそうです。さらに中国が要望している発動済み関税の全廃が合意に達すれば、米国や中国経済の好転だけでなく、世界経済にとっても大きなプラス材料となり、株高、ドル高の一段高が期待されます。

 

そうなればドル/円は、112円を目指すかもしれませんが、米大統領選挙が1年後に控えていることから、トランプ大統領は一気に好材料を出さないことが考えられます。

 

そして、米景気で重要なクリスマス商戦が控えていることから、9月の15%追加関税は撤廃せず、クリスマス商戦に影響する12月15日の第4弾の残りについては見送りとのシナリオも想定されます。この場合、マーケットは好感するでしょうが、相場を動かす大きな材料にならないかもしれません。

 

米中貿易協議も大詰めに近づいていますが、11月中旬の米中首脳会議での合意までは事態はまだ流動的になりそうです。そして合意内容によっては10月のレンジ(106円台半ば~109円台前半)を抜け切らず、110円は遠い水準になるかもしれません。このままクリスマス相場に入ることもシナリオの一つとして考えておいた方がよいかもしれません。

 

余談ですが、10月の出来事で驚いたことがあります。東京五輪のマラソンが札幌に突然変更になったことと、APECのチリ開催が中止になったことです。国際的なイベントが突然変更になることは初めて聞きました。突然変更せざるを得ないような事態が起こった、あるいは起こるかもしれないと考えると、環境問題と社会格差問題は来年2020年の大きなテーマになりそうです。

 

 

ハッサク

 

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2019年11月6日に公開されたものです。

 

 

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