※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2020年3月26日に公開されたものです。

 

世界同時株安は現在も続いています。3月19日時点で日本株、米国株ともに株価指数は30%超の下落となっています。この間に個人投資家が取った行動は4タイプ。どのタイプが優位だったのでしょうか。みなさんもどのタイプに当てはまるか考えてみてください。

あなたの投資行動はどのタイプ?振り返ってみましょう

4つのタイプの投資行動を筆者なりに分析をしていきます。多少の独断と偏見はあるかもしれませんが、20年以上株式投資を続け、生き残ってきた身としてのコメントですから、決して間違ったことは言っていないと思います。

 以下にそれぞれのタイプごとの行動と、それに対する評価を記していきます。

タイプ1:株価下落の初期段階で保有株を売却した

このタイプは、いわゆる「順張り」の投資家です。株価が下落に転じたら、株を売却して保有しません。筆者も「順張り」を徹底しています。

 

例えば、筆者の場合は、保有株が25日移動平均線を割り込んだら売却するので、下落の初期段階で売却することが可能です。

 

この方法は、株価が大きく下落するときに、非常に高い効果を発揮します。実際、筆者も今回の株価下落の前には、かなり大きな買い持ちがありましたが、25日移動平均線を割り込んだ銘柄から順次売却することで、小さな損失で撤退することができています。

 

結論を先に伝えると、筆者は株価の大きな下落から自分の財産を守るためには、この方法が最も適していると考えています。

タイプ2:下落が進んだ後、慌てて売った

このタイプは、売却のルールを決めていない場合がほとんどです。株価下落の初期段階では、それほど下落が気にならずに我慢できるのですが、株価の下落が大きくなってくると、損失の拡大に耐えることができず、パニックになり投げ売りしてしまうのです。

 

ただ、株価はこうした慌てて売ってしまうタイプの投資家が我慢できず「投げ売り」をしたところで底打ちすることが往々にしてあります。

 

パニックにならないように、事前に「どうなったら持ち株を売るか」というルールを明確にすることが大切です。そのルールをしっかり守り、売却することで、株価急落局面でも大きな損失を回避することができます。

タイプ3:株価下落を逆に買い向かった

この株価下落局面で株を売らず、逆に買い向かった個人投資家も少なくありません。彼らの投資手法は「逆張り」と呼ばれます。

 

株価が値下がりしているのを、逆に買い向かうのが逆張りの特徴です。

 

実はこの逆張り、株価が上昇している局面では威力を発揮します。一時的な株価下落を買い向かうことで安く買うことができるからです。

 

ところが、株価が天井をつけて下落局面になると、一転して大失敗の原因となります。なぜなら、「一時的な株価下落」と思って買い向かったところ、さらに株価が下落して含み損を抱えてしまうからです。

 

今回の株価下落で最もダメージを受けたのは、このタイプ3ではないかと思います。特に、「さすがにそろそろ下げ止まる」と信用取引などを使って全力で買い向かった後、全財産を失った…という事例もあるのではないでしょうか。

 

逆張りは、上昇トレンドでの成功を、下降トレンドで全て吐き出してしまうリスクがあります。筆者としてはあまりお勧めできません。

タイプ4:何も動かなかった

今回の株価の急落の際、特に何も動かなかった、という方も少なくないと思います。これはさらに2つのタイプに分類されます。

 

1つは、長期保有(バイ・アンド・ホールド)を決め込んでいて、株価が下がろうが特に何も動かない、とあらかじめ決めている人です(タイプ4-1)。このやり方は、長期的に株価が大きく上昇する株を持ち続けるのであれば有効ですが、逆に株価が下落してしまう株を持ち続けると、多額の含み損を抱えるリスクがあります。

 

銘柄選びの巧拙(こうせつ)により、将来の結果が大きく異なる点をよく理解し、実行するようにしてください。

 

ちなみに筆者は、自分自身で選んだ銘柄が長期的に見て必ず上昇すると自信を持っては言えませんので、この方法は取っていません。

 

もう1つは、あまりに株価下落が急すぎて、パニックになって何も動けなかったという方です(タイプ4-2)。

 

株価が短期間に急落すると、上記のタイプ2のようにパニックになって投げ売りをする人と、このタイプ4-2のようにパニックになって何も動けなくなる人がいます。

 

どちらも良くないのですが、タイプ2の方が、タイプ4-2より結果が出せると筆者は考えます。

 

なぜなら、株価の急落で投げ売りした後、さらに株価が下落した場合、タイプ2は何とか生き延びることができる可能性が高いです。しかし、タイプ4-2は、株価がさらに下落してもおそらく持ち続けてしまうので、含み損を抱えた塩漬け株だらけになってしまいます。

 

したがって、株価急落となってもパニックにならないように、あらかじめどうなったら売るかのルールを決めておくことをお勧めします。

 

今回の株価下落で「失敗した」と感じている方は、ぜひご自身の行動を振り返ってみてください。そして、今後改善すべき点は改善し、次からの株価下落局面では大きな損失を出さないようにしていきたいものです。

 

 

足立 武志

足立公認会計士事務所代表 公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー

 

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2020年3月26日に公開されたものです。

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