ケース1:土地の共同相続人が20人以上いた…
父親が死亡し、同居していた土地の相続手続きを行おうとしたところ、実際には曽祖父の所有だったことが発覚しました。曽祖父の代から一切相続手続きがなされていない状態でした。
同土地上に家を建て替える関係もあり、同土地を依頼者の単独所有としたかったため、遺産分割調停を共同相続人らに申立てることにしました。
曽祖父の相続開始から、かなりの年数が経過してしまっていたため、既に死亡した方を除いても、本件土地の共同相続人は20人以上になっており、高齢者で認知症を患っている方もいました。
また、古い戸籍等については、既に保管期間を過ぎたものや、第二次世界大戦により焼失してしまったものなどもあり、戸籍が追えない、実際に生存が確認できない法定相続人もいました。
共同相続人のうち、遺産分割調停申立て前に交渉できる方々に対しては、あらかじめ事情を説明の上、手続内で依頼者に対し相続分の譲渡をしてもらいました。
また、生存が確認できない法定相続人については既に死亡し、その方の相続人も存在しないであろうことを裁判所に説明した上で、調停の当事者から外すこととしました。
その上で、認知症を患っている方については成年後見の申立てをお願いし、選任された成年後見人から相続分の譲渡を受け、その他交渉が出来なかった方々には代償金をお支払いすることにより、本件土地を依頼者の単独所有とする遺産分割調停を成立することができました。
ケース2:「その遺言書は偽造されたものである」
被相続人は、第一相続が実父、第二相続が実母、相続人は3人という事案で、遺産は預貯金・土地・建物という事案に関与しました。
この事案では、相続人の一人(相手方)から出された、実母が作成したとされる遺言書が第一の争点となりました。その遺言書には、実母の財産は相続人の一人に全て相続させる旨が記載されており、当初、その他の相続人はこの遺言書が偽造されたものであると主張していました。
しかし、依頼者には偽造を証明できるだけの証拠がなかったため、この遺言書を前提に遺産分割調停を進めていくことにしました。
この遺産分割調停では、第二相続(実母の財産の相続)については相手方である相続人の一人が全財産を取得することになりましたが、第一相続は法定相続分以上のものが取得できたので、結果的には、法定相続分とおりの相続に近い金額での遺産分割協議が成立しました。
ケース3:遺産分割後に「新たな土地」が発覚
被相続人は父、相続人は2人という事案で、遺産は土地という事案に関与しました。実は本件は、被相続人が亡くなった際に遺産分割調停がなされていたのですが、その遺産分割の際に、今回の土地だけがなぜだか漏れてしまっていた、という非常に珍しい事案です。
この場合には、遺産分割の無効などを主張することも理論的には可能なのですが、非常に煩雑な手続きになってしまうことと、すでに代償金などの支払いを終えていたため金銭精算が必要となることから、新たに見つかった土地についての遺産分割調停をすることとしました。
調停自体はそれほどもめず、土地を取得した方がもう一人の方に代償金を支払うことで、円満に遺産分割調停は成立しました。