英ポンド…支持率通り保守党政権が再選ならば「さらに下落」も

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英国議会は夏季休暇明けから不透明な動きが想定されます。合意なき離脱など、英国混乱の可能性が高まると下落する傾向があるポンドは16年6月の国民投票後の水準となっています。今後のシナリオを考えると、ポンドが反転するのは「合意による離脱」など可能性が高いとはいえない選択肢に限られそうです。

英国EU離脱問題:3日に英国議会再開、合意なき離脱阻止へ正念

場英国議会は夏季休会を終え、2019年9月3日から再開しますが、与党・保守党議員の一部が野党議員とともに、英国が欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」を回避するため、離脱を延期する法案を準備しています。

 

この超党派グループが2日に公開した法案によると、ジョンソン首相に①10月19日までに「EUと新たな離脱協定で合意を成立させる」か、②「議会で合意なき離脱の承認を得る」かを求めています。仮に期限内に①、②のどちらも達成できなければ、EU離脱期限を現在の離脱期限である19年10月31日を3ヵ月延ばして2020年1月31日とするようEUに要請するとしています。

どこに注目すべきか:英国議会、安全策、協議、内閣不信任、選挙

英国議会は夏季休暇明けから不透明な動きが想定されます。合意なき離脱など、英国混乱の可能性が高まると下落する傾向があるポンドは国民投票後の水準となっています(図表1参照)。今後のシナリオを考えると、ポンドが反転するのは「合意による離脱」など可能性が高いとはいえない選択肢に限られそうです。

 

日次、期間:2016年1月4日~2019年9月2日 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]英国ポンド(対ドル)レートの推移 日次、期間:2016年1月4日~2019年9月2日
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

ジョンソン首相は、英領北アイルランドの国境管理問題が解決するまで英国が関税同盟にとどまるとした「安全策」が削除されるよう、EUとの新たな合意を模索する姿勢を表向きは維持しています。10月のEU首脳会議を目処に、EUと協議を続ける方針を示唆しています。

 

しかし、EUは新たな合意に消極的で、協議に応じるかも不透明です。また、そもそも「合意なき離脱」を辞さないと公言してはばからないジョンソン首相が、EUと本格的な交渉を行うのかも疑問です。

 

そこで、「合意なき離脱」に反対する勢力が、10月末が期限となる離脱を阻止するには、内閣不信任案か期限延期を求める法案が主な対抗手段となります。

 

 

ただ、過半数が求められる内閣不信任決議には、保守党の中の「合意なき離脱」の反対勢力の賛成が必要ですが、始まったばかりの内閣に対する不信任は時期尚早で、議論をする前からではハードルが高いように思われます。

 

今回の超党派グループによる離脱を延期する法案は、とりあえず10月末の離脱を阻止する手段として提案されたと見られます。ただ、ジョンソン首相はこの法案に賛同する与党・保守党の議員らに厳しい処分を示唆すると共に、総選挙の実施をちらつかせています。

 

 

そこで政党別の支持率を見ると、足元、保守党はやや回復しています(図表2参照)。過半数に近い英国民が、合意が無くても離脱を支持するという調査もある中、保守党が伸びたと見られます。成果を示す前の総選挙は回避したいところでしょうが、総選挙は単なる脅しでなく、選択肢にあるようです。また、総選挙で支持率通り保守党政権が再選となれば「合意なき離脱」の方針が強まり、ポンドの下押し圧力となることが見込まれます。「合意なき離脱」に反対する勢力の手段が豊富でない中、英国議会の再開を迎えていることが、現在のポンドの水準を示唆していると見られます。

 

時点:2019年8月28~29日 出所:英国調査会社YouGovのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]英国の主な政党の支持率(総選挙の投票先) 時点:2019年8月28~29日
出所:英国調査会社YouGovのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『英ポンド…支持率通り保守党政権が再選ならば「さらに下落」も』を参照)。

 

 

(2019年9月3日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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