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中国国家統計局が公表した8月の製造業PMIは49.5となり、4ヵ月連続で景気判断の目安となる50を下回りました。財新の製造業PMIは8月、堅調な生産活動を反映して市場予想を上回りましたが、持続性に懸念も残ります。一方、内需を示すサービス業PMIは比較的底堅い動きとなりました。中国経済は当局の景気刺激策頼りの展開が想定されます。

中国製造業PMI:政府系の製造業PMIは市場予想を下回る

中国国家統計局が2019年8月31日に発表した8月の製造業購買担当者景気指数 (PMI)は 49.5と、市場予想(49.6) 7月(49.7)を下回りました。一方、非製造業PMIは53.8と、7月の53.7から上昇しました。なお、PMIは50が拡大・縮小の目安となります(図表1参照)。

 

 月次、期間:2016年9月~2019年8月 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国の2つの製造業PMIと新規輸出受注PMIの推移月次、期間:2016年9月~2019年8月
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

財新伝媒が9月2日に公表した8月の中国製造業PMIは50.4と、市場予想(49.8)、前月(49.9)を上回りました。

どこに注目すべきか:製造業PMI、的を絞った政策、新規受注

中国国家統計局が公表した8月の(政府系)製造業PMIは49.5となり、4ヵ月連続で景気判断の目安となる50を下回りました。財新の製造業PMIは8月、堅調な生産活動を反映して市場予想を上回りましたが、持続性に懸念が残ります。一方、内需を示すサービス業PMIは比較的底堅い動きとなりました。中国経済は当面の間、政府の景気刺激策頼りの展開が想定されます。

 

今回の政府系と財新のPMIに、中国経済の厳しい現状が映し出されています。ただわずかながら改善点も見え隠れします。

 

まず改善点のひとつとして、中小企業の動向を反映するといわれる財新製造業PMIが改善しました。また、政府系についても、企業規模別指数を見ると、大企業、中堅企業は8月低下した一方で、中小企業指数は改善しました。可能性として、当局が進めてきた、中小企業に的を絞った景気刺激策(預金準備率引き下げや 中期貸出制度)が効果を発揮したのかもしれません。

 

 

消費などを反映しやすいサービス業PMIが50を超えています。財新のサービス業PMIは4日に発表予定ですが市場予想は50を上回っています。内需に底堅さも見られます。なお、解釈にはまだ慎重ですが、27日に米国の会員制量販大手が上海に1号店をオープン、中国人客が殺到したと報道されました。米中の政治的緊張などどこ吹く風ですが、量販大手の打ち出した大幅値下げに飛びついただけなのか、それとも、意外と中国の消費は根強いのか見極めが必要です。仮に中国の小売売上高の回復が鈍い背景が自動車ならば、当局の対応は自動車がメインとなるのかもしれません。

 

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それでも、PMI全体を見るとやはり懸念が先立ちます。例えば、製造業PMIの構成指数を見ると、拡大・縮小の目安を超えたのは生産などに限られ、先行きを示す新規受注系の指数は50を下回っています。特に米中貿易戦争の先行きが不透明な中、輸出向け新規受注は低迷したままです(図表2参照)。米中貿易戦争は長期化の可能性もあり、当面は当局の景気刺激策が求められる展開を想定しています。

 

月次、期間:2019年7月(左)、2019年8月(右) 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国(政府系)製造業PMIの主な構成指数の推移 月次、期間:2019年7月(左)、2019年8月(右)
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

ただ、中国の景気刺激策も無限に打ち出せるわけではなく、以前に比べ政策の自由度が低下している点に注意は必要です。例えば、中国の不動産市場には過熱感も見られ、幅広い金融緩和を控え、的を絞った金融政策を主体としているように思われます。財政政策にも制約がある中での景気刺激策では、底割れ回避の可能性はあったとしても、爆発的な回復は見込みがたいように思われます。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国PMI、一部に改善は見られるも前途多難』を参照)。

 

 

(2019年9月2日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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