近隣住民に問題がありすぎる場合は、購入見合わせも
【ケース5】近隣施設事由
物件を建てようとする近くに、墓地や霊園、火葬場、変電所などがある場合、そこでも値段交渉が可能です。
これは事前に地図などで確認すればわかることなのですが、事前調査をしておくことで、近くに何があるのかを詳しく知っておくべきです。
墓地や霊園、火葬場が近隣であれば、将来的な空室のリスクもあります。また墓地が物件の近くにある場合、その墓地がどれぐらいの大きさだったのかを調べることも重要です。もしかしたら、あなたが今買おうとしている土地も、昔は墓地の地域だった可能性があります。解体工事や基礎工事をしているときに、墓地の名残などが出てきた場合、問題になる可能性もあります。また近隣の墓地も管理がしっかりされていないと、猫やカラスなどが発生する場合がありますので、衛生上よくありません。
また火葬場が近くにあるのであれば、臭い問題は深刻な問題になります。風向きによっては火葬場の煙がダイレクトに流れてくる場合もあります。
変電所が近くにある場合も、上空には高圧線が走っていますし、場所によっては変電設備から低いノイズ音が聞こえる場合もあります。送電線・変電所からの磁界が健康に悪影響を及ぼすことはないと考えられていますが、過敏な人にとっては大きな問題なのです。
値引き交渉ももちろん大切ですが、後々のクレームを回避するためにこのパターンの場合は、購入を避けるのもひとつの選択と言えるかもしれません。
【ケース6】境界確定事由
土地を購入する上で、土地の範囲を知ることはとても大切です。
なかでも境界線があいまいになっている土地は、注意が必要です。
土地の境界線がどこにあるのかが明記されているのが測量図です。ただ、この測量図の重要性がわかっていない買主がたくさんいます。測量図で境界線が明確になっていないと、その土地の面積が変わってしまうこともあり、場合によっては数十㎡も小さくなり、土地の価値が落ちて、金額にすると数百万円も無駄に支払ってしまうことになりかねません。
境界線が不明確だと設計士も、その土地を最大限に活用する設計ができなくなり、部屋の延べ床面積も狭くなってしまいます。買主は不利な条件で土地を購入することがないように勉強し、できるだけ有利な条件で価格交渉を行うべきなのです。
簡易測量図や法務局に登記された地籍測量図は、その土地の境界線を保証するものではありません。だからこそ、後々のトラブルを回避するために境界確定測量図を作るべきです。
これは国家資格を持つ土地家屋調査士に依頼することが一般的です。もちろん当該敷地に接する隣人の数が多くなるほど作成費用が高額になります。土地家屋調査士が隣人と話をして測量図を作成し、署名や捺印をもらう必要があるのです。また現地に境界杭や境界鋲がない場合はその設置費用も必要です。
その費用には50万円~150万円ぐらいを想定しておいてください。その分の経費を、土地値からの値引き分として交渉することができるのです。
【ケース7】近隣住民事由
例えば、購入予定地の近くにゴミ屋敷があったりすると、それだけで満室にならない場合があります。
また、少しの時間、道に車を停めただけで警察に通報されるなど、近隣住民に問題があると、実際に施工する段階でいろいろとトラブルが発生してきます。
もちろん、物件が完成してからも問題が発生しないとは限りません。
実は、その近隣住民情報をそれとなく調べる方法があります。
地域には大概、お話好きのご婦人が住んでいます。現地調査の時に、偶然会ったふりをして、「この近くに土地を買いたいのですが、住み心地はどうですか?」などの会話から、近隣住民の情報を引き出す方法もあります。あまりにも問題が大きいようなら、その土地の購入は見合わせたほうがいいのかもしれません。
買主は賃貸併用物件を建てるので、自分もその地域に住むつもりで根掘り葉掘り調査するのが重要です。
あまりにもトラブルが多いのであれば、それを理由に値引き交渉をすることもできます。こういった地道な調査が、住みやすい賃貸物件を作り出し、ひいては満室率にも影響してくるのです。