ビジネスにおいて本格的なAI革命が進行中
「企業も個人も生死を分けるAI格差」(2019/2/10週刊ダイヤモンド)
「「日本はAI後進国」「早く自覚してほしい」ソフトバンク孫社長が憂慮」(https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1907/18/news101.html)
「みずほ、10年間で1.9万人削減検討ITや店舗統廃合で=関係筋」(https://jp.reuters.com/article/mizuho-restructuring-idJPKBN1CX07R)
「損保ジャパン、4000人削減=ITで効率化、介護分野などに配転」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2019062401063&g=eco)
最近、AIに関する(働く側にとっては比較的ネガティブな)ニュースが世の中を賑わせています。
実際AIは指数関数的に性能を上げてきているといわれています。AIによるリストラは5年後に本格的に始まり、10年後にはかなりの仕事がAIによって失われてしまうと主張する専門家もいるほどです。
これは冒頭のニュースにある日本を代表する大企業のみならず、中小企業にとっても待ったなしの天災レベルの地殻変動といっていいでしょう。
今回は、本格的なAI革命が進行する中、いかに対応するかで生死が分かれる「AI格差時代」の到来と中小企業の生きる道について話を進めていきます。
本題に入る前に、まずAIの定義を確認します。AIとは「Artificial Intelligence」の略であり、第四次産業革命 (Fourth Industrial Revolution、4IR)(※)に含まれる技術革新の一つです。
※ 第四次産業革命とは18世紀の最初の産業革命以降の4番目の主要な産業時代を指すものであり、人工知能、ロボット工学、ブロックチェーン、ナノテクノロジー、量子コンピュータ、生物工学、モノのインターネット、3Dプリンター、自動運転車などの多岐に渡る分野における新興の技術革新が特徴です。
皆さんは「人工知能」の名称の方が馴染みあるかもしれません。
正確には「ビッグデータとよばれる膨大なデータベースをもとに、コンピュータがヒトの知的ビヘイビアを自ら判断する仕組み」と定義されます。なお、本記事におけるAIとは、AIに関連するキーワード、つまり、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、ドローン、VR(バーチャル・リアリティ)、深層学習(ディープラーニング)、機械学習(マシーンラーニング)、自動運転、自動言語処理、などを含めても同様の結論が導き出させることから、これらを一括りにAIと呼びます(広義のAI)。
AI時代の到来を脅威に感じている企業の方が多い⁉
次に、教科書的にいうと、AI時代の到来はPEST分析のT=Technology(技術)という外部環境の変化に該当します。そして、これは、大企業であろうと、中小企業であろうと、さらには個人レベルにおいても、抗いようのない変化で、そのインパクトはとてつもなく大きなものです。
外部環境の変化は、企業によって「好機」か「脅威」かの捉え方は分かれます。このAI時代の到来は、全容が見えづらいゆえの漠然とした不安などから、脅威に感じている企業の方が多い気がします。
そこで中小企業に焦点を当てて考えてみると、下図表に整理している通り、大多数の中小企業にとって、AI化は残念ながら「弱み」であり「脅威」と考えられる場合が多いでしょう。
ただ、ごく少数の中小企業(主としてスタートアップ)においては全く正反対で「強み」かつ「好機」と捉えている場合があります。今、スタートアップのピッチイベントに顔を出すと、“既存のビジネスモデル+AI技術の導入”の図式で勝負しようとしている企業がごまんと存在します。中小企業特有の小回りが効くことと、属人的な強み(高度な技術スキルを有しているなど)を武器に急成長を目指しているのです。
話を戻して、スタートアップ企業以外の大多数の中小企業の弱みについて、例えばITリテラシーが低い部分は頑張れば何とか解決できそうな気もします。ただ、AIなどの最先端テクノロジーの開発に不可欠な高度デジタル人材に関しては、大企業でさえそのような有望な人材の確保に四苦八苦している状況であるため、中小企業にとってはなおさら厳しい状況であるのといえるかもしれません。
そして、AIを活用した諸々の開発体制はこのような高度デジタル人材が備わっていることが前提であるため、これもどうしようもありません。
したがって、AI時代の到来に伴い、非常に危険な状況に陥りつつあることは問題意識として強く持っているものの、どうしていいのかわからない、実際にアクションに移したくても移しようがないと悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。
以上のように、冷静に整理してみると、大多数の中小企業にとってはいわば踏んだり蹴ったりの未来予想図といってもいいかもしれません。
では次回以降、この状況下でどのように中小企業は生きる道を見出していくのか、できる限り明るい未来図を描けるよう話を進めたいと思います。