前回は、民泊のニーズが高い理由について説明しました。今回は、不動産オーナーにとっても新しい価値観を提供するAirbnbの魅力を見ていきます。

ホテル不足の今だからこそ需要がある「Airbnb」

Airbnbの特性の1つとして、「利用者はプライスレスな価値に重きを置く傾向が強い」というものがあります。

 

Airbnbはホテルに比べて宿泊料が安いので、読者の中には「ホテルに泊まるだけの予算的余裕がない外国人が、代わりに日本人の自宅に安く泊まりに来るのだろう」と思われる方がいるかもしれません。そうなると、客層が良くないのではないかという心配も出てくることでしょう。

 

たしかに価格は魅力の1つですが、たとえば8月に東京都心に宿泊しようとしても、そもそも予約がいっぱいで泊まれるホテルがないことがあります。そんなとき、Airbnbを見ると空いていることが多いため、価格に関係なく宿泊先として選ばれているケースも多くあります。

外国人観光客は「ごく普通のアパート」を求めている!?

また、Airbnbならではの魅力は、価格の安さや予約の取りやすさだけではありません。それらと同じくらいに利用者を惹きつけているのが、「日本人の素の生活が体験できる」という点です。ホテルのような専門の設備ではなく、日本人が普段から生活している部屋に泊まることで、日本人の暮らしを体験できることがプライスレスな価値として認知されているのです。

 

とは言っても、いわゆる「和風」と言われるような、純日本的な民家で、畳があり、床の間と仏間があり、キッチンは大正時代から残る囲炉裏・・・といった文化的なものを彼らが求めているわけではありません。

 

彼らは、おあつらえ向きの「外国人観光客向けに用意された、いかにも観光地的なもの」にはあまり興味を示しません。驚くかもしれませんが、ただの「アパート」「マンション」の、普通の単身用の部屋こそが魅力的に映るのです。

 

分かりやすい例を挙げれば、浴室の材質です。日本人が住む一般的なマンションの浴槽の材質をとっても、外国人の視点から見ると興味の対象です。平成築マンションの浴槽の多くは、FRPと呼ばれる素材でできているのですが、外国人からすれば「宇宙船のようだ」という感想を持つようです。

 

伝統的な純和風住宅よりも、平成築の鉄筋づくりのマンションに泊まりたい彼らは、あえて旅行会社が組んだ「パッケージのツアー」には参加せず、各自で自由に予定を立てた上で日本を訪れます。

 

わざわざお金をかけて日本風につくり替えなくても、ありのままの部屋に魅力を発見してくれる点は、利回りが低下して多くの経費をかけられないオーナーにとって、ありがたいことに違いありません。

 

不動産オーナーにとってメリットや魅力の多いAirbnbですが、「実際にそんなにうまくいくのか」と懐疑的になる方もいるでしょう。これまでの不動産経営を考えてみても、どれも思うように収益アップや節税に繋がらない対策ばかりだったことと思います。そういう苦い経験をしてきた人にとっては、Airbnbはまさに夢のような話に思えるはずで、にわかには信じられないという気持ちはよく理解できます。

 

ただ、現実の話として、Airbnbで空室アパート、マンションを再生させたオーナーがいます。それも1人や2人ではありません。

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    本連載は、2015年12月11日刊行の書籍『中古アパート・マンションが生まれ変わる airbnb空室物件活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    小沢 吾亘・町田 龍馬

    幻冬舎メディアコンサルティング

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