日経平均株価の季節性

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●日経平均は年末から翌年の春先にかけて上昇し、8月から9月にかけて下落する傾向がみられる。
●過去7-9月期に大きな危機がよく発生、海外投資家も8月は買い越し減、9月は売り越しの傾向。
●ダウ平均も格言通り8月から9月にかけて下げやすく、これらの要素が日経平均の季節性に影響か。

 

 

日経平均は年末から翌年の春先にかけて上昇し、8月から9月にかけて下落する傾向がみられる

 

8月の株式相場は、「夏枯れ相場」といわれることがあります。これは、日本では夏になるとお盆休みなどで市場参加者が減るため、相場があまり動かなくなるという格言です。また、市場参加者が少ないと、悪材料に対する株価の下げ幅は大きくなる傾向があります。実際、トランプ米大統領が8月1日に対中制裁関税第4弾の発動を表明すると、日経平均株価は7月末比で、一時5%以上下落するなど、軟調に推移しています。

 

そこで今回のレポートでは、他の月でも日経平均株価に特徴的な動きがみられるか、確認してみます。具体的には、日経平均株価について、1959年から2018年までの過去60年間のデータを用いて、月間騰落率の平均値を算出します。その結果は図表1の通りです。日経平均株価は、年末から翌年の春先にかけて上昇し、8月から9月にかけて下落する傾向がうかがえます。

 

 

過去7-9月期に大きな危機がよく発生、海外投資家も8月は買い越し減、9月は売り越しの傾向

 

7-9月期は、過去に大きな危機やショックがよく発生した時期でした。具体的には、ニクソン・ショック(1971年8月)、欧州通貨危機(1992年9月)、アジア通貨危機(1997年7月)、ロシア危機(1998年8月)、同時多発テロ(2001年9月)、パリバ・ショック(2007年8月)、リーマン・ショック(2008年9月)、チャイナ・ショック(2015年8月)などが挙げられます。

 

このような危機やショックに、当時の日経平均株価は大きく下落しました。その結果、日経平均株価は8月から9月にかけて下げやすい傾向が生じたとも考えられます。なお、日本株の動きに大きな影響力を持つ、海外投資家の月間平均売買代金も、図表1に表示しました。取得できるデータは過去25年間と、日経平均株価の過去60年間よりも少ないのですが、やはり8月は買い越し額が少なく、9月は売り越しになっていることが分かります。

 

 

ダウ平均も格言通り8月から9月にかけて下げやすく、これらの要素が日経平均の季節性に影響か

 

次に、ダウ工業株30種平均に目を向けます。日経平均株価と同様に、1959年から2018年までの過去60年間のデータを用いて、月間騰落率の平均値を算出します。その結果は図表2の通りです。ダウ工業株30種平均も、年末から翌年の春先にかけて上昇し、8月から9月にかけて下落する傾向がうかがえます。日経平均と異なるのは、5月と6月は下落し(5月はわずかに下落)、7月と10月は上昇している点です。

 

この季節性をみる限り、米ウォールストリートの有名な格言、「5月に売って市場から立ち去れ。そしてセント・レジャーズ・デイ(すなわち9月第2土曜日)まで市場に戻ってくるな(Sell in May and go away, and don’t come back until St. Leger’s day)」は、有益と思われます。以上より、夏場の日経平均株価の下落傾向は、7-9月期が、①危機やショックが起こりやすい時期、②海外投資家の買い意欲が低減しやすい時期、③ダウ工業株30種平均が下げやすい時期、であることが影響していると推測されます。

 

(注)日経平均株価のデータは1959年1月から2018年12月。過去60年における月間騰落率の 平均値。海外投資家のデータは1994年1月から2018年12月。過去25年における現物の 月間売買代金の平均値。金額は東京・名古屋2市場、1部、2部と新興市場の合計。 (出所) Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]日経平均株価の月間騰落率など (注)日経平均株価のデータは1959年1月から2018年12月。過去60年における月間騰落率の 平均値。海外投資家のデータは1994年1月から2018年12月。過去25年における現物の 月間売買代金の平均値。金額は東京・名古屋2市場、1部、2部と新興市場の合計。
(出所) Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)データは1959年1月から2018年12月。過去60年における月間騰落率の平均値。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]ダウ工業株30種平均の月間騰落率 (注)データは1959年1月から2018年12月。過去60年における月間騰落率の平均値。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『日経平均株価の季節性』を参照)。

 

 

(2019年8月21日)

 

市川雅浩

三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 シニアストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介


調査部は、総勢25名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの高度な分析を行い、それぞれの見通しを策定、社内外に情報発信しています。三井住友DSアセットマネジメントの経済・金融市場分析面での中枢を担っている他、幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約1,000本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2018年度実績)。

著者紹介

連載【市川雅浩・シニア ストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧