日本の旧政府専用機ボーイング747-400型機(1991年製)が約30億円で売りに出されたとCNNが報じた。同機種の価格は、燃料費の高騰から使用10年でも約28億6,000万円(ブルームバーグ調べ)と下落しており、最高レベルのメンテナンスがされてきたとはいえ、約30年前の機体にどれほどの価値があるのか? 本記事では、中古航空機の資産価値について紹介する。

古い「ジャンボ」に需要はあるのか?

ボーイング747-400は大型の機体であり(いわゆる「ジャンボ」)、いくら安く買えるとしても「誰が買って、何に使うのだろう?」と不思議に思う人も多いのではないか。特にボーイング747-400は、ANAやデルタ航空でのラストフライトも過去に報道されているので、一般の人にも「古い機体」のイメージが大きいかもしれない。

 

とはいえ、ブリティッシュ・エアウェイズやKLMなどの航空会社では、まだ現役で運航しており、旅客機として全く需要がないというわけではない。現在、新型のボーイング737MAXが2件の墜落事故を起こし運航停止になっているが、旅客機市場において、古い機体は不具合も出尽くしており、安定した運航が期待されるため、一定のニーズがある。また、貨物機市場においても、大きな機体を活かした貨物機としての需要もあるようだ。

 

旧政府専用機はどこへ?
旧政府専用機はどこへ?

 

現在の航空機市場において、ボーイング747-400のような大型機の需要は決して高くはないが、ゼロというわけではなさそうである。

中古航空機が「魅力的な資産」であるワケ

中古航空機全般の資産価値について目を向けてみよう。前述した通り、航空機は不具合の調整などを考えると、10年経過くらいの中古機体のほうが安定した運航が期待でき、ニーズは高い。つまり、経年による資産価値の減少が比較的少ない「優良な資産」といえる。

 

中古航空機を資産として保有するメリットは、インカムゲインにもある。航空会社などにリースをして収入を得ることが可能だ。航空会社にとっても、航空機は非常に高額な資産であり、経営の安定のためにもリースの活用は一般的なものとなっている。

 

また、中古市場も発達しており、売却が比較的容易にできることも魅力のひとつだ。とはいえ人気の機体、不人気の機体という差は存在する。また、貨物機に改造する売却手法もあるが、貨物機市場は旅客機市場と比べて売却価格の変動が大きいので、注意が必要だ。購入の際にリース需要も含めて戦略的に選定する必要があることは、他の投資商品と変わりはない。

 

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エンジンなど「部品」のリースや売却も可能

エンジンなど部品だけのリースや売却もできる。とくにエンジンのリース料は、場合によっては航空機のリース料に勝ることもあり、高い収益が期待できるものだ。

 

もちろん、部品を取られる側の機体は解体されるわけで、それなりの古い機体となるので、同機種がどれくらい現役で運航しているのか、その需要との兼ね合いが難しい部分はある。中古部品市場に部品が出回るということは、すでにその機種でスクラップとなり始めている機体が出ているということであり、同機種の退役が増加するならば、その中古部品の需要も加速度的に減少してしまうわけだ。

極めて短期間に、高額を償却できる

最後に、中古航空機の「耐用年数」におけるメリットをあげておこう。航空機の法定耐用年数は5年〜10年である。これに対し、経済的耐用年数、つまり実際に使用できる年数は30年〜40年といわれる。つまり、法定耐用年数に近い、もしくは超えた中古航空機を購入した場合、極めて短期間に高額を償却できる。

 

利益の大きく出た期に中古購入機を購入、経費として計上し、リース料と売却益を後から回収することで、税の繰り延べをすることが可能となる。

 

企業のホームページをよくみると、まったく関係のない事業を本業で営んでいるのに、「航空機リース業」などと書かれていることがあるが、実はそういった事情があるのだ。

 

 

 

 

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