金価格が高騰している。取引価格(田中貴金属・税込小売価格)は2015年1月以来の最高値を更新、16日に1グラム=5,638円まで上昇した(19日現在、5,595円)。「有事の金」とも呼ばれる金は、世界経済のリスクが高まると価格が上昇する傾向がある資産だ。老後のために資産形成を考えている人は多いだろうが、手堅く思える投資信託への長期投資なども未曾有の経済危機まで想定すると紛れもないリスク商品だ。言うまでもなく「円」での銀行預金も完璧な安全資産とは言い切れない。これらを踏まえて金投資を考慮すべきであろうか。検証する。

消費税が上がれば「金価格」も上がる

投資商品としての「金」を考えたとき、「インカムゲインがない」「手数料が高い」などは有名であるが、もうひとつ、売買に「消費税がかかる」という特徴がある。どういうことか。

 

購入する際は消費税分を支払い、売却する際は消費税込みの価格を受け取ることになる。納税義務がなければ益税として手元に残るので、消費税が8%のときに購入し、10%のときに売却すれば、その差が得になると考えることもできるであろう。

 

10月の消費増税を控え、「それならば」といますぐにでも購入したくなるかもしれないが、冒頭にも述べたように、現在は2015年1月以来の高値圏にある。消費増税分以上の下げを記録する可能性は十分にあるので注意したいところだ。

長期積立投資は有効か

それでは長期で積立投資をしていく方法はどうか。定額を買い増しすることで、価格の変動を平均化する方法は、金投資においても有効である。期間が長く取れるほど有効な投資法であるので、将来、上がると思うならば今日始めてもいいだろう。

 

長期の積立投資を行うならば、消費増税に関しては、8月からスタートして翌々月の10月に増税が行われても、その先、10年20年30年と買い続けていくわけだから、その影響は本当に微々たるものだ。

 

注意したいのは、手数料の高さである。積立投資は取引の回数が多くなる投資法だから、金投資において特に「純金積立」などを選択した場合、手数料はネックとなるだろう。

 

手数料の負担を減らしたいのならば、現物としてコインやのべ棒を購入する以外に、金価格と連動するETF(上場投資信託)に投資する方法があるが、この商品が「金」なのか「投資信託」なのか、金の安全資産としてのメリットを考えた際に意見は分かれるかもしれない。

高値圏の今、購入しても「損」にならないか?

2015年1月以来の高値圏にある「金」。世界的な財政破綻や恐慌に備え、リスクヘッジとして購入しておきたいが、今買うと「高値掴み」してしまわないかと躊躇する人も多いだろう。

 

結論から言うと、一括でドカンと買ってしまうのではなく、長期的に積立投資をしていくのであれば、今すぐに買い始めても問題はない。短期的には上がり下がりしながらも、価値が伸びていく資産であれば、長期の積立投資は効果がある。「金」をその種の資産と考えるのであれば、検討してみよう。

 

金の積立投資は有効なのか?

 

積立投資をする際の注意点は、価格が下がった局面において、狼狽してやめてしまわないことだ。毎回、同じ金額を購入するのだから、価格が下がった分だけ「安く(多く)買える」期間と考え、コツコツと続けることが重要である。

「円高ドル安」で利益が薄くなってしまうことも

投資について基本的なことを学んでおけば、この先、価値が上昇する(と自身が考える)資産の所有量を、定期的に増やし続けていく長期積立投資で、少なくとも銀行預金以上の利回りを達成することは、比較的容易である。どういったことを知っておくべきなのか?

 

例えば、資産形成のために「金」を長期積立投資していくならば、手数料を考えると金ETFが有利と考える人は多いが、為替の影響には注意しておきたい。ドル建ての運用の場合、金価格が上昇しても、円高ドル安の局面では利益が薄くなってしまうからだ。

 

「日本円」も「金」と同様、市場のリスクが高まっているときに価値が上昇する傾向があるため、上の局面は、比較的起こりやすい。金ETFには為替ヘッジがついている商品もあるので、検討してみるのもいいだろう(手数料は高くなるようだが)。

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