先行き不透明なイタリア連立政権、国債利回りの変動に懸念も

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

イタリア連立政権の先行きの不透明感を受け8日の伊国債市場で10年国債利回りは0.1%を越える利回り幅の上昇が見られました。もっとも、世界的な金融緩和による利回りの低下傾向は、政局不安のイタリアであっても今のところ変化は見られません。

イタリア連立政権:同盟のサルビーニ伊副首相の選挙呼び掛けで連立政権維持に疑問

イタリア政党同盟を率いるサルビーニ副首相は2019年8月8日、連立政権はもはや議会で過半数の支持を得ていないと述べ解散総選挙の「速やかな」実施を求めました。

 

総選挙は、ポピュリスト連立政権を担う同盟のサルビーニ氏が、反エスタブリッシュメント(既存勢力)を掲げる政党「五つ星運動」との連立を解消する意向を表明したもので、政局の不透明感を受け、イタリア国債利回りは上昇(価格は下落)しました(図表1参照)。

 

日次、期間:2018年8月8日~2019年8月8日 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]イタリア国債利回りの過去1年の推移 日次、期間:2018年8月8日~2019年8月8日
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:イタリア、連立政権、信任投票、総選挙

イタリア連立政権の先行きの不透明感を受け8日の伊国債市場で10年国債利回りは0.1%を越える利回り幅の上昇が見られました。もっとも、世界的な金融緩和による利回りの低下傾向は、政局不安のイタリアであっても今のところ極端な変化は見られません。ただ、次の点について確認する必要があると思われます。

 

やや情報が錯綜している点もありますが、まずサルビーニ副首相は声明で、議会の解散と総選挙の実施を求めています。同盟と五つ星運動の連立政権は発足して1年余りですが早くも、解消の危機に直面しています。

 

 

同盟が連立解消も辞さない方向へ舵を切り始めたきっかけは、同盟が推進するイタリアのトリノとフランスのリヨンを結ぶ高速鉄道計画に五つ星運動が反対し、イタリア上院で7日に五つ星が高速鉄道計画を阻止する動議を提出したためです。同計画は既に承認されていますが、サルビーニ副首相はこの採決を五つ星による侮辱的行動が浮き彫りになったと述べています。対立は根深いと見られます。

 

そもそも、右派政党の同盟と、左派の五つ星運動が結びついたのは、昨年のイタリアの総選挙で過半数を獲得する政党が無い中、第1党の五つ星運動と第2党の同盟が手を結んだという経緯です。路線に相違点も多く、連立に無理も見られます。そのような中、足元の支持率を見ると、同盟は移民政策への厳しい対応などから人気を集め、4割程度の支持率を獲得する一方、第1党の五つ星運動の支持率が低下傾向です(図表2参照)。同盟は個人と法人の成立の一律化(フラット税制:この税制による歳入不足から財政懸念もあるとされる)を目論むなど、財政政策を巡り左派の五つ星運動とは路線が異なります。同盟の政策の実現に連立解消が選択肢として浮上してきたと思われます。

 

時点、時点:2019年年初(左)、2019年8月月初(右) 出所:Politicoのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]イタリアの主な政党の支持率の年初来の変化 時点、時点:2019年年初(左)、2019年8月月初(右)
出所:Politicoのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

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なお日程をみると、イタリア議会は現在休会中で、信任投票の実施は来週以降、選挙は秋との見方が台頭しています。ただ政治的なイベントゆえ、日程は流動的です。

 

イタリア国債利回りは昨年後半に比べれば、世界的な利回り低下を背景に低下しています。しかし、わずか1年前には総選挙後の政治空白と、ポピュリスト連立政権の財政政策による欧州連合(EU)との対立などで利回りは高水準でした。仮に同盟単独政権となれば、イタリアで繰り返される不安定な連立政権運営からの脱却というプラス面は期待されますが、やはり当面は不透明感による変動が懸念されます。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『先行き不透明なイタリア連立政権、国債利回りの変動に懸念も』を参照)。

 

(2019年8月9日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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