営業にすすめられるまま、マンションを2戸購入
今回紹介するのは、愛知県にお住まいの50代男性のK様。ご相談を伺っていくと、十数年前、頭金をほとんど入れずに区分マンションを2戸購入したが、収支が悪いのでどうにかしたい、という状況が見えてきました。
[K様のプロフィール]
年齢:50代(当時)
性別:男性
年収:700万円
金融資産:500万円
もともと、K様は不動産投資に興味はなかったというのです。しかし、押しの強い不動産投資の営業マンにすすめられるがまま、区分マンションを2戸購入したとのことでした。当時は、金融機関も不動産投資に対して積極的に融資を行っていた時代。業界自体が上昇機運にあったので、興味がないというK様も、資産が増えるのであればと、軽い気持ちで不動産投資を始めた……というのが、事の発端でした。K様は、下記のような物件を2部屋購入していました。
[K様が購入した物件]
●借入金:約2150万円
●借入年数:35年
●金利:3%台
●最寄り駅:東武東上線「練馬駅」徒歩10分圏内
●専有面積 :20m2
●間取:1R
●築年数:10年
●賃料:85,000円/月
所有物件は収支がマイナス…早急の対策が必要
K様の月々の家賃収入は2部屋合計17万円と、新築時から変わっていませんでした。しかし、家賃収入から管理費・修繕積立金や融資への返済、賃貸管理費などの諸経費を差し引くと、毎月約13,000円のマイナスが発生していたのです。
収支がマイナスの場合、すぐ対策が必要です。対策としては物件の売却のほか、収支がプラスの物件を買い増しして全体収支を改善させるというように、所有を続けながらの対策方法もあります。
ちなみに売却をするなら、原則、投資用区分マンションの専門業者に任せるのがベストです。なぜなら、投資家の顧客を多く抱えている会社や、投資用の区分マンションローンを扱っている金融機関と提携している会社でないと、買手がつかないからです。
上記の状況を踏まえて、筆者は3つのプランを提案しました。まず「売却をするプラン」。築年数十年の物件なので、リフォームなどは一切せず、持出しが出ないような形での売却プランです。
2つ目は「繰上げ返済をするプラン」。K様は500万円の現金資産を持っているので、各物件250万円ずつ繰上げ返済をして、集金代行契約の解除を提案しました。繰上げ返済をすることによって、月々のキャッシュフローがよくなり、約7,000円のプラス収支にすることができる提案でした。
3つ目は「現金500万円で区分マンションを購入するプラン」。ちょうど諸費用込みで500万円で購入できる物件がありました。そちらを購入し、既存物件の収支改善を目指すプランです。新しく購入する物件では、管理費・修繕積立金を差し引いた手取り賃料が約40,000円となり、既存の2物件と合わせると、3物件のキャッシュフローは約14,000円のプラスになりました。
K様は、「もともと興味がなかったのに、不動産投資を始めたのがいけなかった」と、最初のプラン、所有物件の売却を希望されました。
投資用の区分マンションを高く売却するためには、いくつかのコツがあります。まず、投資用の区分マンションを扱っている業者に任せること。不動産業者にも得意・不得意があり、特に投資用区分マンションは専門的な知識が必要になります。売却は投資用区分マンションを扱っている業者に任せることが絶対条件だといえます。
また、今やWEBで売買情報を広報することが当たり前です。買手の間口を広げる意味で、露出を増やすことも非常に重要なのです。
さらに、売買価格の設定も重要です。相場より少し高めに売買価格を設定するのがコツです。不動産の売買において、値引き交渉されるケースが多いため、それを前提として、ギリギリのラインに対して少し高めの価格設定にしておくことが大切です。相場より大きく離れると、問合せにつながらないので、併せて注意してください。
K様の場合、売却情報を出したところすぐに何組か声がかかり、最終的にK様は1円の持ち出しもなく、不動産会社に売却することが決まりました。
まとめ
不動産投資には向き・不向きがあります。興味や関心がないまま、断ることができずに投資をし、後悔をする人は結構います。マイナス収支の場合、何か手を打たないとマイナス幅が拡大していく可能性が高まるので、一刻も早く対策を講じることをおすすめします。
そして何よりも、不動産投資は信頼できるパートナー(=不動産のプロ)と出会えるかが重要です。その人がどのようなライフプランを目指しているのか、どれくらいのリスクをとれるのか、そもそも不動産投資に興味や関心があるのかを、きちんと把握して共に歩んでいけるパートナーが必須となります。このようなパートナーと出会えたときが、不動産投資の始めどきではないでしょうか。