その「割安株」のリスクは大丈夫?――割安株投資の落とし穴(その2)

※本記事は、2019年6月27日に楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で公開されたものです。

 

個人投資家が「割安株」だと思っている株が、実は割安ではない可能性があります。そして、本当に割安な株であっても、値下がりする中持ち続けるのは、とてもリスクが高いのです。

その「割安株」のリスクは本当に大丈夫?

前回は「その「割安株」本当に大丈夫?――割安株投資の落とし穴(その1)」として、個人投資家が「割安株」だと思って投資している銘柄の中には、本当は割安とはいえないものが含まれている可能性があること、そしてその理由についてお話ししました。

 

では、プロのように銘柄分析をして、本当に割安な株を厳選して投資すればよいのではないかと考える方もいるかもしれません。しかし、そもそもプロと同レベルの銘柄分析を個人投資家が行うのは極めて困難な場合があり、仮にプロレベルの銘柄分析を行って本当に割安な株を買うことができても、それでもリスクは残るのではないかと筆者は考えます。

過去のバブル崩壊で、日経平均株価がどれだけ値下がりしたか?

この行為に対して非常にリスクが高いと筆者は感じています。なぜなら、「今後、株価が大きく値下がりしたときに多額の損失を被る」可能性が高いからです。

 

2019年6月現在は、日経平均株価が2万1,000円近辺ですが、もしも今後バブル崩壊や金融危機が起こると、日経平均株価が1万円を割り込む可能性も大いにあります。

 

そうなれば、現時点で割安な状態の銘柄であっても、さらに大きく株価が値下がりしてしまうリスクが生じるでしょう。株価が割安だろうが何であろうが、株を保有していること自体がリスクと投資家が感じることで、ほとんどの銘柄が大きく売られてしまうのです。

 

一方、すでに買いポジションが100%近くに達している場合は、さらに株価が値下がりしても買うことができません。また、保有株についても、株価がさらに下がるとより割安にみえるため、売却せずに保有し続けることになるでしょう。その結果、多額の含み損を抱えた塩漬け株ばかりになってしまう可能性が生じてきます。

 

このように書くと、「さすがに日経平均株価1万円割れはないだろう」と思う方も多いかもしれません。でも、過去のバブル崩壊時における日経平均株価の推移をみれば「あり得る」と考えを改める方もいるでしょう。

 

<過去のバブル崩壊時における日経平均株価の推移>

 

◯1989年12月3万8,915円→1992年8月1万4,309円(下落率63.2%)

◯2000年4月2万833円→2003年4月7,607円(下落率63.5%)

◯2007年7月1万8,261円→2009年3月7,054円(下落率61.4%)

◯2018年10月2万4,270円→???

 

もし上記のうち、最も下落率が小さかった時と同じく61.4%株価が下落したとしても、2018年10月高値2万4,270円から計算すると、9,368円になります。

 

ですので、日経平均株価1万円を割る可能性も、絵空事ではないことが想像いただけるのではないでしょうか。

「どうせ戻るはずだから」は都合の良い言い訳

もちろん、一時的にそのような塩漬け株ばかりの状況になったとしても、その後株価が反発に転じれば、含み損は解消できるかもしれません。

 

でも、株価が値下がりしている時には手を出さず、株価が反発したら買うようにすれば、今買うよりもっと安い株価で買うことができます。その方がトータルで見ると利益が大きくなる可能性が高くなります。

 

現に、2012年11月から始まったアベノミクス相場、特に2013年前半までの半年間は、非常に利益を得やすい状況にありました。しかし多くの個人投資家は、上昇の初期段階で、すでに含み損を抱えた塩漬け株ばかりを保有していたため、資金を投入することができず株価の大きな上昇の恩恵を受けることができなかったのです。

 

そしてより怖いのは、株価が大きく下落することで、実体の経済も悪化してしまうことです。そうなると、もともと割安株だった銘柄の業績も落ち込んで割安株ではなくなってしまいます。実際、2008年のリーマン・ショックの時は、そうした現象が随所に見られました。

 

割安株の業績が悪化し、その後業績が回復しなければ、株価も低迷して買値まで戻らず、いつまでも塩漬け株を抱えてしまうことになるでしょう。

 

なので、割安だと思って買った株を、株価が値下がりしても「どうせそのうち戻るはずだから」と保有を続けるのは、非常にリスクの高い行為なのです。

擬似的な「割安株」を買わないようにするには?

割安株投資で最も注意したいポイントは、割安株のようにみえて、実はそうではないという「擬似的な割安株」を買わないようにすることです。そのためには、株価が値下がりしている最中に逆張りで買い下がることは避けたほうが安全でしょう。

 

前回ご説明した通り、株価が値下がりしているということは、外国人投資家やプロ投資家がその株を売却している可能性が高いわけです。

 

そして彼らが売却しているということは、その株に対して「割安」ではなく「割高」と判断している可能性が高いことを意味します。そして、ご自身が選んだ株が本当に割安株であったとしても、やはり考え方は同じです。

 

そもそも、本物の割安株かどうかを冷静に確認して行動した方がよいでしょう。

 

株価下落が続いて、本当にその株が割安になったと外国人投資家やプロ投資家が判断したならば、値下がりしていた株価が反転して、上昇トレンドに転じる傾向が多々あります。それを確認した後に、私たちが買うほうが、はるかにリスクが小さいと思いませんか?

 

◎まとめ

いつ株価が大きく下がってもおかしくありません。実際にそうなったとき、大きな損失を避けること、そして、その後にやってくる大きな上昇相場でしっかりと利益を得ることが、株式投資で成功するために必要なことだと筆者は思います。

 

 

足立 武志

足立公認会計士事務所

 

※本記事は、2019年6月27日に楽天証券の投資情報メディア「トウシル」 で公開されたものです。

 

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