「管理費」と「管理修繕積立金」の違い
投資用区分マンションを購入すると、毎月「管理費」を支払うことになります。決して小さな金額ではありません。それではこの管理費、いったいどんな用途に使われているのでしょうか。納得して支払うためには、まず内容をよく知ることです。もしも適切に使われていない場合は、管理費の使い方について改善するよう、管理組合に働きかける必要があります。
そもそもマンション管理費と聞くと、一般的に建物のエントランスや共用廊下の電気代、電球交換費用、清掃費用、共用部分で発生する水道料金など、日常的なメンテナンスを思い浮かべる人が多いでしょう。これに12~15年周期で行う大規模修繕のための積立金の「管理修繕積立金」を加えた費用が発生します。つまり「モノ」に対する費用です。
また、物件を安定的に運営していくためには、「ヒト」すなわち入居者を管理していくことも求められます。家賃滞納者が出たり、入居者どうしがトラブルを起こしたりすることは、賃貸経営につきものですが、本業を持つサラリーマン投資家にとって、こうした面倒ごとを自分で処理するのは大変です。そこで、手数料を支払うことで、管理会社に家賃の回収、滞納者に対する督促、契約更新手続き、クレーム対応などを代行してもらうことができます。さらに退去者が出た場合は、入居者の募集もしてくれます。これを「管理委託手数料」と呼びます。
管理委託手数料の目安は5%程度とされ、管理修繕積立金と合計すると、家賃の1~2割を毎月支払うことになります。「モノ」にしても「ヒト」にしても、管理に不手際があれば、その分、資産価値は下落します。入居者に家賃滞納者やトラブルメーカーが多いという噂が立てば、それだけで入居希望者は減りますし、ボロボロで殺風景になっていくマンションに住みたいという人もいないでしょう。管理費は、家賃を安定的に得ていくために必要なコストなのです。
管理費や管理修繕積立金に、納得がいかない場合は?
ところが、最近は管理費が不足していたり、必要になったときに修繕積立金が不足していたりという問題を抱えているマンションも多いようです。そもそも管理費は建物の劣化を防ぎ、よい状態で維持するために欠かせない費用ですし、修繕積立金も長期修繕計画に基づき、そのために必要な資金を逆算しながら徴収されています。
しかし、マンション分譲時に、少しでも売りやすくするために、管理修繕積立金をわざと低く設定して売り出すことがあるのです。入居者が増えたあとに、値上げをすればいいという考え方が根底にあると考えられますが、値上げすることができず、なし崩し的に据え置いて、年月が経ち、積立金不足に陥るのです。
一方、管理委託手数料の場合、管理員の勤務形態や清掃作業の内容や範囲、メンテナンスの内容など、委託している内容と費用が見合っていないことがあります。管理委託手数料を出し惜しみして、管理がずさんになってしまうケースもあるようです。
自分が実際に住んでいないと、管理組合との付き合い方が希薄になってしまうかもしれませんが、大切な資産であることに違いはありません。だからこそ価値の変化には敏感であるべきです。資産価値が下落してしまうと入居者が見つからず、結果的に家賃を下げなければならなくなり、売却するときに安くしなければ売れないという負のスパイラルに陥ります。もし問題があると思ったときは、管理組合の総会や管理会社に問い合わせるなどして、積極的に改善するよう働きかけましょう。
管理費は、入居者から「共益費」で回収
賃貸物件の管理費は、「共益費」といった名目で入居者から集めることになります。共益費の回収方法は、「家賃7万5,000円、共益費5,000円」のように家賃と共益費を別々に徴収するか、「家賃7万円、共益費なし」のように、家賃に含まれるようにするかのいずれかです。敷金や礼金は家賃額を基準としているので、前者であれば初期費用が軽減されることになり、後者であれば負担増ということになります。初期費用を抑えたいと考えている入居希望者には、共益費をわけて設定すると効果的でしょう。なお、共益費の相場は家賃の5〜10%程度が一般的なようです。
今回は管理費について調べてみました。管理費は安定的に家賃収入を得ていくために欠かせないコストです。その金額は合理的なものでなくてはなりませんし、費用に見合った使い方がされていないといけません。適切でないと感じたときは、管理組合や管理会社に積極的に働きかけましょう。