独立しても患者がついてくる!成功する医師のキャリアパスとは

無事にクリニックの開業にこぎつけたとしても、院長は常に「経営者」の立場にあることを忘れてはなりません。そして、 安定運営を続けるには、経営の基礎知識はもちろんですが、収益源としての「集患」の筋道をつけておくことも不可欠です。本記事では、これらを実現するキャリアの積み方を解説します。

開業を志したなら、早い段階で「経営の基礎」を学べ!

無事に開業でき、診療所の経営が軌道に乗った後も、開業医は医師であると同時に経営者でもあるのだと意識し続ける必要があります。

 

高性能の医療機器を導入したり、優れたスタッフを雇用し続けたりするためには、持続性の高い安定的な経営が必須です。責任を持って地域の医療を支え続けるためには、経済的な基盤の安定が欠かせないのです。

 

診療所は一つの事業所であり、さまざまな機能で成り立っています。レセプトを基に診療報酬を請求するためには医療事務が欠かせません。看護師や事務員などの人材を雇用し育成する人事、医療機器や物品の購入等お金の使い方を管理する財務、納税に関わる税務など、診療所が円滑に経営され続けるためには、多様な業務が適切に行われることが不可欠です。

 

もちろん、医師がすべてを自身で手がける必要はありませんが、経営者である以上、適切に遂行されるように監督する責任があります。ところが医学部や勤務先の病院では、医療以外の事柄を学ぶ機会がほとんどないため、医師の多くは経営について素人です。

 

開業を志したら早い段階で経営の基礎を学び、税理士や会計士等、支えになってくれる人脈を確保することが大切です。

 

また私の場合は、開業前に医療事務の講座を受け、医療点数などについて学びました。このことは医院の経営を考える上で、その後おおいに役立ちました。

開業を目指すなら、勤務先は「戦略的に選択」する

勤務医はたいてい、いくつかの病院を渡り歩きます。医局に属している人は指示に従って系列病院の中を巡ることが多く、勤務先を自発的に選択するケースはあまり見られません。

 

地域の医療事情を平準化するためには、ある程度意味がある人事の在り方ですが、開業医を目指すならその目標に役立つよう、戦略的に勤務先を選ぶことを私は勧めます。特に、勤務医として最後に赴任する病院は、開業につながるよう選ぶと在宅医療で成功する確率が高まります。

 

開業資金を貯めるため、給与をより多く得られる病院を選ぶのも一つの策ですが、開業を考えている地域の病院に勤務するという手法も有効です。

 

私の場合は偶然でしたが、勤務医として働いていた病院の近所で開業したため、開業当初から集患には困りませんでした。元々私が開業を決意したのは、10年間勤務してきた病院の身売りが決まったためです。国立病院だったのが、大学に買い取られることになったので、そのまま勤務することはできません。半ば背中を押される形での決断でしたが、それまでも勤務医の限界を感じることがしばしばあったので、いわば「渡りに船」でもありました。

 

総合病院の勤務医は専門とする診療科しか診ることができません。特定の病気が治ったら、その患者は来なくなってしまうため、最後まで責任を持って寄り添うのは不可能です。

 

患者の健康に責任を持ち、人生をまっとうする日まで見守り、支援する医療を提供したい──開業を検討する中で、私はそんなふうに考えていました。その理想を追求するなら、勤務医として診ている患者たちを放り出すわけにはいきません。そこで私は働いていた病院のすぐ近くで、開業しようと思い立ったのです。

 

前述のとおり、診療所を開業した直後はほとんどの場合、集患に苦労します。患者のことを思って真面目に診療を続ければ、やがては必ず良い口コミが広がり、患者が患者を呼んでくれますが、そうなるまでにはある程度の歳月を要します。

 

しかしながら、地元で勤務医として働いていた私に、その苦労はほとんどありませんでした。勤務医として診療していた患者が、開業直後から新しい診療所にやってきてくれたからです。開業から1年の間に、勤務医として担当していた患者の約6割が来院してくれました。自分を信頼してもらえたという喜びはもちろん大きなものですし、開業して間もないクリニックの経営にとって彼らの存在は非常に大きなものでした。

 

集患という面以外でも、将来的に診療所を設けたい地域の近所で勤務医として働くことは、医師と患者の双方にとってメリットをもたらします。私もそうでしたが、医師の側は開業後も患者に来てもらえるよう、日頃の業務に一層力を入れて励みます。自分の専門外の分野も、自分が診れる範囲であれば自分で診療していました。退院した患者の診療で分かりにくいことがあると開業医から連絡が入った際は、休みを利用して一緒に診療したこともありました。

 

開業後は勤務医時代に診てきた病歴等を知っているため、診療所にやって来た患者に対して、不要な検査等をオーダーすることもなく、すぐに適切な医療を施せます。またお互いの信頼関係ができているため、在宅医療が必要になった際に、円滑に移行できることも医師、患者双方にとって大きな利点といえるでしょう。

 

 

嶋田 一郎

嶋田クリニック院長

 

嶋田クリニック 院長

大阪市立大学医学部卒業後、大阪市立大学医学部附属病院第2内科に入局。その後、長野県佐久市立国保浅間総合病院内科にて内科医として地域医療に従事。さらに(旧)国立泉北病院・神経内科にて約10年間勤務を経て、1996年に嶋田クリニックを開院。
勤務医時代から通院できなくなった患者を訪問診療し、開院後はさらに医療と地域との連携を考えた医療を実践し続けている。
大阪市立大学医学部非常勤講師、大阪府保険医協会副議長・地域医療対策部部長、泉北医師協議会会長、「三つ葉の会」(堺市南区周辺の多職種連携推進の会)会長、大阪府介護支援専門員(ケアマネージャー)協会堺支部南区地区顧問、堺市認知症サポート医。高齢者の在宅医療、またパーキンソン病をはじめとする神経難病と認知症に対する専門診療・保健活動も行い、通院が困難な患者の訪問診療に注力している。
日本内科学会・総合内科専門医。日本神経学会・神経内科専門医。

著者紹介

連載40歳からの勝ち組ドクター戦略…高齢化社会を支える「町医者」という選択肢

医師は40歳までに「病院」を辞めなさい 超高齢社会に必要な町医者のススメ

医師は40歳までに「病院」を辞めなさい 超高齢社会に必要な町医者のススメ

嶋田 一郎

幻冬舎メディアコンサルティング

本書では、これからの医師に必要な緩和ケアや終末期医療の知識や技術、QOL向上を目的とした医療処置がどのようなものか、事例を取り上げて解説しています。また、これから開業を目指す医師に向けて、外来診療と訪問診療をミッ…

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