不動産会社で資産コンサルタントとして活躍する髙木弘美氏が、生活の保障のための「保険」と、資産形成のための「不動産投資」の関係性について考えていきます。

大きく4つに分類される「生命保険」

学校を卒業し、社会人としてある程度のキャリアを積み、結婚して家庭を持ち、子どもが生まれて……。ライフステージが進むにしたがって「生命保険」について、真剣に考えるケースは多いもの。もちろん、誰だって「ずっと元気に生き続けていたい」と考えているでしょうが、不慮の事故や病気などのリスクはゼロにできません。そのため、万が一のとき家族が困窮しないよう生命保険への加入を検討することは、ごく自然なことでしょう。

 

しかし、資産形成しながら金銭的に豊かな人生を歩んでいくためには、もう少し選択肢を広げて考えてみてはいかがでしょうか。

 

その選択肢のひとつとしておすすめしているのが「不動産投資」です。不動産投資で得られる家賃収入は、将来年金の代わりになりますし、不動産投資をしながら、生命保険に入ることもできます。

 

家族を守るために「保険」以外の選択肢は?
家族を守るために「保険」以外の選択肢は?

 

まず、生命保険について考えていきましょう。生命保険は、大きく4つに分けられます。1つ目は、被保険者が亡くなった際などに保険金が受け取れる「死亡保険」、2つ目は被保険者がガンなどの特定の病気やけがを負った際に保険金が支払われる「医療保険」です。3つ目は、被保険者が要介護状態になったときに受け取れる「介護保険」。

 

そして、4つ目はこれまでに挙げたものと異なり、保険期間中、何ごともなく満期まで生存した場合に、利子がついて保険金を受け取れる「死亡保障付きの生存保険」です。死亡保険や医療保険、介護保険は掛け捨て型となり、最後のものは貯蓄型ということになります。月々の保険料は掛け捨て型よりも貯蓄型のほうが高い傾向です。

 

すべての保険に入ることができれば安心ですが、そこまでする必要はないでしょう。自分の状況を確認したうえで、どの保険を利用するべきかを冷静に考えることが大切です。

保険の「金融商品」としてのパフォーマンスは?

医療費や介護費用を補填してくれるタイプの保険があります。しかし、日本は国民皆保険という制度が整備されている国です。高額療養費制度という制度があるので、どんなに医療費がかかっても保険診療の範囲内であれば、医療費は一定の範囲に収まります。つまり、よほど極端な場合でなければ、高額の費用負担は発生しないということです。

 

また、貯蓄型保険に関しては長期加入すれば、損することはありません。しかし、仮に10年以内のような短期間で保険を解約すると、解約返戻金は元本よりも少なくなる場合があります。また、満期で保険金を受け取る場合も返戻率が110~130%というものが多く、資産運用としてのパフォーマンスは、あまり高くないのです。

 

資産形成を考えるなら、不動産投資のほうが優位?
資産形成を考えるなら、不動産投資のほうが優位?

「不動産投資」をすると「生命保険」がついてくる

よく「不動産投資が生命保険の代わりになる」と耳にするかと思います。それは金融機関でローンを組んでマンションなどを買うと、団体信用生命保険(団信)という保険に加入することになるからです。団体信用生命保険は、ローンの借り主が死亡したり、失明や手足の欠損などで就業が困難な高度障害状態に陥ったりした場合、物件の所有権はそのままでローンの返済義務がなくなるというものです。

 

たとえば、表面利回り4%で3,000万円の物件を購入し、満室で年間120万円の家賃収入が得られる場合、ローンの返済期間中は家賃を返済に使うので不動産の収益はトントンか、少しマイナスでしょう。しかし、万が一死亡して団体信用生命保険が適用になれば、ローンは完済となり年間120万円の収入をそのまま得ることができるのです。もちろん、物件は自由に売却できます。死亡や高度障害状態に陥らないのが一番いいわけですが、まさに万が一に備えることができるのです。

 

平成28年度の生命保険文化センターによる生活保障に関する調査によれば、月々の保険料支払額の平均は男性が約1万9,000円、女性が約1万4,500円です。不動産投資に関係なく、これだけの費用を毎月負担しているのです。実は不動産投資家の方の多くが、団体信用生命保険とは別に生命保険を利用しています。物件を保有すると、大規模修繕費などの積み立てが必要になりますが、これを死亡保障付きの生存保険で行う方が少なくないのです。

 

保険に入れば毎月半ば強制的に積み立てをさせられることになります。銀行の定期預金よりも利回りが高いので、むしろ得なのです。しかも、何かあれば死亡保険がおります。

 

賢い方は、まず不動産投資を始めて、資産形成を行いながら修繕費など費用を用意するために生命保険を利用しているのです。

 

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本連載は、リズム株式会社が発信する「不動産コラム」の記事を転載・再編集したものです。

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