形成過程によって異なる「地盤」の固さ
将来の年金不安などから資産運用に取り組む人が増加するなか、不動産投資に高い関心が寄せられています。もしこれから不動産投資を行うのであれば、もともと人口が多かったり、人口流入が続いて人口が増加していたりする東京や首都圏で不動産投資を行うことがおすすめです。ただ、不動産投資をする際に、きっと頭をよぎることの1つが地震など自然災害のリスクではないでしょうか。
2011年に起きた東日本大震災の衝撃は、いまだに忘れることができない人も多いかもしれません。関東エリアでの大規模地震の可能性を指摘する専門家もいます。こうした自然災害の可能性について注意することは必要ですが、怖がるあまりに何もできなくなるのは考えものです。そこで、不動産投資においての備えである「保険」について、考えていきましょう。
まず、地震が起きるとしばしば取り上げられる「地盤」とは何なのか、知っていますか? 一般的に地盤とは、地表から深さ100メートルくらいまでの部分を指し、建物を建てる際は、この部分に基礎を埋めて、建物全体を支えます。この地盤は形成過程などが異なると、固さが変わります。言い換えると、場所によって固さに違いが出るのです。
当然、建物は固い地盤の上に立てたほうが安定しますし、地震の揺れも震源地からの距離が同じでも、地盤の固さで変わり、地盤が柔らかいほど揺れが大きくなる傾向にあります。特に水分含有量が多く、軟弱な地盤の場合、強い揺れによって地盤が固体から液体の性質を示す「液状化現象」が起きることがあります。その影響で、建物が沈んだり、倒れたりする場合があります。三角州、埋立地、旧河川跡などの土地は、そうなる可能性が高いので注意が必要です。
「地盤の良し悪し」を調べる方法
地震が起きても震度が違ったり、地盤沈下や液状化現象が発生したりするなど、建物の被害の程度は大きく変わります。日本は、地震大国といわれるぐらいに地震が多いので、日本で不動産投資をする場合、地盤の問題は重要です。土地ごとの地盤の良し悪しは、東京都の場合、東京都建設局が「東京の地盤(GIS版)」という詳細なリポートを発行しています。
ただ、かなり専門的で図や値の読み方が難しいので、不動産の初心者には、同じ東京都の都市整備局が発行している「地震に関する地域危険度測定調査」というリポートがおすすめです。このリポートでは、地盤に加えて建物の密集度や築年次なども踏まえ、地域ごとの倒壊の可能性などに言及しており、わかりやすいものになっています。
建物の倒壊可能性以外に、火災の危険度や総合的な危険度の分析を行われているため、不動産投資家に限らず、東京で暮らしている方は、ぜひ一度見てください。東京以外の方は、内閣府が各自治体の防災情報を提供しているHPで「ゆれやすさマップ」というものを出しているので、参照にしてみましょう。
震災に弱いエリアでも「保険を活用」してリスクヘッジ
すでに所有している物件や、現在、購入を検討している物件が、災害の危険度が高い地域にあった場合のことを考えてみましょう。その場合でも、対象の物件が即座に危険ということではありません。なぜなら、建物も十分な耐震性を持って建築されているからです。ただ、絶対に安心できるかといえば、そういうことでもありません。そのため、保険を活用してリスクヘッジすることをおすすめします。
多くの方が火災保険には加入されているはずです。東日本大震災以降、徐々に増えていますが、地震保険の加入者は、まだあまり多くありません。地震保険は地震による建物の倒壊はもちろんのこと、地震が原因の津波や火災、地盤沈下などによる損害も補償してくれます。なお、火災保険は地震が原因で起きた火災の場合、損害は補償してくれません。
2018年6月に政府の地震調査委員会が全国各地の地震発生確率をまとめた「全国地震動予測地図」という資料があります。この資料によると、今後30年以内に震度6弱以上の地震が発生する確率が首都圏で一番高かったのは千葉市で85%、2位が横浜市で82%、3位が茨城県水戸市で81%でした。首都圏で大きな地震が起きる可能性は十分にあるのです。
地震は起きてからでは遅いです。東日本大震災で被災された人たちの中に、地震保険に入っていなかったために、苦労された方が少なくありません。地盤が弱いエリアに不動産をお持ちの方は、火災保険と一緒に加入しておくことをおすすめします。