賃貸経営が「空室」で損失500万円…「満室」にした対策とは?

投資家たちは何を目的に不動産投資を行おうと考えたのか、それに対して不動産会社はどのような提案を行ったのか…。本連載では、実際の事例をもとに、不動産投資の成功の極意を探っていく。今回は、不動産会社の営業主任として、日々不動産投資家に対し収支改善の提案などを行っている川越明日菜氏が、空室に悩む不動産オーナーがどのような投資を行ったかを紹介する。

所有する5棟の物件のうち、1棟の収支がマイナス

区分マンション投資と比較して、一棟物件投資の魅力はやはりキャッシュフローといえるでしょう。しかし空室リスクを回避するため、区分マンション投資であれば様々なエリアで複数所有することができるのに対し、一棟物件投資の場合、立地を変えることができないため、空室対策はなかなか取りづらいものです。今回紹介するT様も同様で、所有する物件の空室に悩んでいました。T様がどのように空室対策を行ったか、具体的に見ていきましょう。

 

[T様のプロフィール]

年齢:36歳(当時)

性別:男性

未婚/既婚:既婚

職業:鉄道業

年収:1,100万円

 

T様は引継ぎで筆者が担当することになったお客様です。5棟の物件を所有していましたが、色々話を聞いていくと、

 

「5棟のアパートを所有しているが、そのなかの1棟がどうしても入居者がつかず、マイナス収支が続いている。家賃を下げてしまうと収支はさらに悪くなるため、家賃は下げたくないのだが……」

 

と悩みを打ち明けられました。

高い家賃、未修繕、募集広告なし…空室の3つの要因

T様は5棟物件を持っているので、入居率が悪い一棟だけの収支を改善するのには限界があるため、5棟全体の収支を把握し、全体の収支バランスを見て必要な改善を行うことを提案しよう考えました。そこで具体的に改善提案をする前に、まずT様が所有している物件の管理状況を確認しました。

 

■T様の賃貸経営全体の状況

稼働率: 5棟のうちの4棟は平均「92~93%」

家賃収入:2年間で微増している

平均家賃:約4万円

空室状況:ずっと同じ部屋が空室で、空室期間は平均して10ヵ月、空室数からして「約500万円」の損失をしている

 

■最も空室で悩んでいる物件の状況

エリア:神奈川県川崎市、最寄駅から徒歩2分

戸数:10戸(14m2ロフト付き)

平均稼働率:50%

想定家賃:6.0万円

空室状況:同じ部屋で空室が続き、その空室期間は平均して10ヵ月。この物件だけで「300万円」の損失をしている

 

T様は、大小合わせて5棟の不動産を所有していましたが、管理会社はすべて違う会社が行っていました。本業で若くして管理職につき精力的に働いていたこともあり、物件ごとの空室数こそ把握していらっしゃいますが、それ以上の空室期間、空室対策などの詳細情報や対策については、それぞれの管理会社に任せっきりでした。

 

そこで、管理会社にどのような空室対策を行ってきたのか問合せをしたところ、T様が空室で最も頭を抱えていた物件に関していえば、以下3つの理由から、何も対策されずに放置されていました。

 

①家賃が相場よりも高い新築当時のままで設定されていた

②そもそも3部屋は入居募集がされていなかった

③広告費が設定されておらず、家賃も高かったため、地元仲介会社から顧客への紹介がされていなかった

 

他の4棟についても管理会社に確認したところ、収支は黒字であるものの、空室が1年以上続いている部屋が合計5部屋ほどあり、なかには以前の入居期間が長く、修繕費用が50万円ほどかかるため、放置していたという部屋もありました。前出の1棟と合わせると、合計500万円近い損失が出ている計算になりました。

 

上記の状況を踏まえて、T様と「①もし家賃を下げた場合、1年で減ってしまう家賃金額はいくらなのか」「②入居者をつけるには先に修繕を行い、早急にインターネット募集を行うことが重要である」「③入居者をつけるには、広告費が必要である」の3点について十分に話し合い、

 

周辺相場まで家賃を引き下げ、広告費や修繕費用を捻出する

 

という対策方針を決定。必要な修繕を行い、空き物件の賃貸条件を変更したその日に、まず1部屋問合わせと物件案内が入りました。そして1ヵ月を経過したところ、3部屋が契約まで至りました。

 

賃貸管理で重要な「繁忙期」である12月〜3月より前に、打ち合わせを行うことができたことによって、募集条件を変更して2ヵ月後に、空室をすべて埋めることができました。

 

 ◆まとめ◆ 

今回、T様は、空室を埋めるために、広告やそれまでは入居者が決まってから行っていた修繕など、一時的に約100万円という大きな出費が発生してしまいました。しかし、全体的な収支で見た際に、空室が続いた場合にT様が回収できなかったであろう損失金額500万円の「1/5」の金額で、空室を埋めることができたと考えることもできます。

 

複数の物件を所有する場合、一般的には管理会社をまとめるオーナーが多いです。しかしT様の場合、5物件とも別々の管理会社だったこともあり、空室が発生していることは知りえても、詳細までは把握しておらず、損失が拡大するばかりでした。また管理会社にしても、修繕費や広告費、家賃の値下げなど、一時的でもオーナーの収支をさらに悪くするような提案はとてもしづらいものです。物件の管理を任せていても、オーナーの依頼なしには、出費が伴う空室対策はなかなか実現しません。

 

不動産投資をしていると、空室が続くことによる心理的ストレスは相当なものになります。T様の場合、他の物件の運用が比較的うまくいっていたため、改善が必要な物件に集中的に投資。一時的な負担はありましたが、空室率改善が実現しました。

 

株式会社NewCity 営業部主任

首都大学東京経営学部卒業後サービス業勤務を経て、25歳の時念願だった語学留学へ。不動産取引の活発なアメリカ西海岸留学中に不動産取引に興味を持ち、帰国後不動産会社に就職。

入社後は営業と並行してセミナー講師を担当。10人~300人規模のセミナーを実施している。セミナーでは他の投資商品と違い、不動産投資は市況に左右されることが少なく、取り組み方次第で不動産投資家は成功をつかむことができることをわかりやすく伝えている。

物件購入後の管理・コンサルティングを最も得意とし、既存顧客以外からの収支改善提案を依頼される機会が増加している。これらの経験と知識を活かし今の会社の立上げメンバーとして参画し、最近では記事の連載を開始。多くの方に好評いただいている。

著者紹介

連載事例から学ぶ「不動産投資の極意」

本連載は、株式会社エワルエージェントが運営するウェブサイト「Estate Luv(エステートラブ)」の記事を再編集したものです。今回の転載記事はこちら

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