投資家たちは何を目的に不動産投資を行おうと考えたのか、それに対して不動産会社はどのような提案を行ったのか…。本連載では、実際の事例をもとに、不動産投資の成功の極意を探っていく。今回は投資事例からは離れ、相続対象の築古マンションをどうすべきか、決断に迫られたシニア女性を紹介する。

亡くなった「妹のマンション」を相続したが…

今回紹介するのは、関東にお住いの70代のN様です。自身の妹様から相続されたマンションをどうすべきか、と相談がありました。その後、N様はどのような決断をしたのか、見ていきましょう。

 

[T様のプロフィール]

年齢:70歳(当時)

性別:女性

未婚/既婚:夫と死別

職業:無職

金融資産:200万円

 

N様の妹様は、病気で他界してしまい、相続人もN様自身しかおらず、困り果てた様子でした。N様が相続したマンションは、以下のような物件です。

 

【ご相談物件】

立地:埼玉県

築年数:築35年

広さと間取り:40m2/2DK

 

こちらのマンションは直近まで妹様が住んでいたということもあり、設備は傷み、リフォームが必要な状態でした。それに加え、妹様の家財道具もすべて残っており、相続登記もまだ終わっていない状況でした。そのような現状を確認したあと、N様には下記3つの提案をしました。

 

(1)現状のままで売却する

(2)リフォームをして賃貸物件として貸し出す

(3)現在の自宅から当該物件に引越し

 

なぜ、このような提案を行ったのか、それぞれのポイントを見ていきましょう。

 

(1)現況のまま売却

マンションの築年数が古く、設備も傷んではいますが、リフォームなどまったくせず、残置物撤去もしない状態での売却を提案しました。なぜならば、

 

●リフォーム費用

●残置物撤去

 

などの費用は買主が負担するカタチになるため、N様の負担が大きくなるからです。リフォームなど何もせずに売却する場合、買主から値引き交渉されますので、売買代金は安くなることが予想されますが、まったく費用をかけなくていいというところが、自己資金がないN様にとっては一番のメリットだといえるでしょう。

 

(2)リフォームをして賃貸物件として貸し出す

2つ目の提案としては、リフォームをして賃貸物件として貸し出すことです。N様にオーナーとして不動産経営をしてみては、という提案です。しかし、物件の現状を確認したところ、リフォーム、そして残置物撤去費用の見積もりが約300万円かかります。この物件を賃貸に出した場合、

 

●管理費

●積立金

●固定資産税・都市計画税

 

などの諸経費を差し引いたあとに、年間家賃収入が約33万円と見込まれます。こちらの提案では、リフォームや残置物撤去費用などの初期費用はかかりますが、その後の賃料収入が見込めるのがメリットです。

 

(3)現在の自宅から当該物件に引越し

3つ目の提案としては、N様に現在住んでいる所からこちらの物件への引越しを提案しました。メリットとしては、家賃を支払う必要がないため、現在住んでいるマンションよりもランニングコストが安くなります。

リフォームが必要なマンションを売るには?

N様は高齢で一人暮らしということもあり、長年住んでいる地元を離れて、新しい土地で新しい生活をスタートさせることにネガティブでした。また「やったこともない不動産運用に対して不安がある」と、不動産活用にも後ろ向きでした。最終的にはお金をかけることなく、安心・安全に当該物件を売却することを希望されました。

 

当該物件は築年数が古く、瑕疵担保責任を負うリスクがありました。そのため一般的な不動産販売業者に売却するのではなく、購入した物件をリフォームし付加価値を高めてから販売する「リフォーム再販業者」に売却することにしました。最終的に、N様はコストをかけることなく、瑕疵担保責任を負うこともなく、リスクがない状態で売却することができました。幸い売却益もでて、N様も喜んでいました。

 

 ◆まとめ◆ 

N様のように、相続でマンションを取得したものの、そのマンションをどうすべきか、悩む方を多く見てきました。状態がいいマンションであれば、賃貸マンションとして運営し家賃収入を得るという方法もいいでしょう。しかし状態が悪く、何をするにしてもコストがかかる、という物件を相続された場合、所有するべきか、売却するべきか、悩むところです。

 

またその選択は、自身の属性によっても異なってきます。不動産投資・不動産運用にはリスクは付きものです。所有するにしろ、売却するにしろ、自身がどれほどのリスクを負えるのか、冷静に判断をするべきです。決して焦って対応するのではなく、一度専門家に相談することをおすすめします。

 

本連載は、株式会社エワルエージェントが運営するウェブサイト「Estate Luv(エステートラブ)」の記事を再編集したものです。今回の転載記事はこちら

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