個人投資家の方とお話しすると、「ここを改善すべきだなあ」と感じる行動をしている人が数多くいらっしゃいます。今回は、著名投資家のツイッターなどを参考に売買している個人投資家の方へ、筆者なりのアドバイスをしたいと思います。
株式投資で成果が出ないのは「行動」の内容に原因がある
最近よく、数多くの個人投資家と直接お話しして、株式投資の相談を受ける機会があります。株式投資で成功している方は基本的に相談にはいらっしゃらないので、必然的に株式投資で何らかの悩みを持っておられる方ばかりです。
話を伺うと、人それぞれ悩みの内容に違いがあるものの、根本的には「株式投資で成功したい」という思いは共通です。そうしたなかで、悩んでいる人の株式投資がうまくいかない、その共通する理由が少しずつ見えてきましたので、今回はそのうちの1つを取り上げたいと思います。
株式投資というのは「行動」です。その「行動」の結果が「成果」となって表れます。ですから「行動」が良くないと、「成果」も良いものが得られません。
そこで筆者は、個人投資家の方から相談を受けたとき、普段その人がどのような行動をしているのかを、詳しく聞くようにしています。そして、問題だと考えられる共通する行動が、多くの方に見受けられました。
それは「著名投資家のツイッターの発言を参考に、株式売買をしている」ということです。
著名投資家のツイッターの発言を後追いする個人投資家
著名な投資家は、売買の内容やリアルタイムの相場感などをツイッターなどで随時発言しています。
こうした著名投資家の動向ひとつで、株価が大きく動くことも多いため、その発言をフォローする個人投資家は数多くいます。フォロワーが数万人という著名投資家も珍しくありません。
なぜ著名投資家の発言を追うのか。それは、言い方は悪いですが「著名投資家の動きについていって、おこぼれをもらおう」と考えているからにほかなりません。
ツイッターフォローで成果が出せるなら、1つの選択肢ではあるが…
もちろん、著名投資家のツイッター発言をフォローすることで、ご自身の投資成績も満足するものが得られているのであれば、そのスタイルを続ければよいと思います。
しかし話を聞くと、成果は芳しくない方があまりにも多いのです。
これにはさまざまな理由が考えられますが、最も大きな理由が「ツイッター発言を元に動くのでは遅すぎる」ということです。
うがった見方をすれば、著名投資家が安値で買い仕込んだ後に「〇〇株これから買います」とツイッター発言し、そこから株価が上昇した段階で売り抜け、その後に「〇〇株そろそろ売ります」とすれば、当の著名投資家は利益を得ることができます。しかし、ツイッター発言を参考にした個人投資家は一歩出遅れているため、逆に高く買って安く売る羽目になりかねません。
噂では相場操縦まがいのことをする人もいると聞いていますが、真偽は定かではありません。
いずれにせよ、著名投資家のツイッター発言を参考にして売買する手法がうまくいかないのであれば、自分にとって向いていないわけですから、できるだけ早く卒業すべきです。
サラリーマンは、著名投資家のツイッターを参考にすべきではない
そして驚くべきことに、昼間お仕事をしているサラリーマンの方であっても、著名投資家のツイッター発言を参考にして、同じ売買をしている方が相当数いらっしゃるのです。
そもそもツイッターで昼間から発言を繰り返している著名投資家のほとんどは、短期売買を専門とする「トレーダー」です。トレーダーとして株式投資で利益を上げていくためには、株式市場が開いている昼間に常に株価をチェックできる環境が必要です。
しかし、サラリーマンは仕事をしていますから、そういうわけにもいきません。
一方、著名投資家たちが行っているトレーディングは、まさに1分1秒が勝負。サラリーマンがお客さんからの電話対応で5分間費やしている間、株価が急落してしまうことも十分に起こり得るのです。
かといって、マーケットに過度に気を取られていると、職務違反として会社からペナルティーを受ける可能性も大いにあります。
ちなみに筆者も、平日の昼間は公認会計士、税理士として仕事をしているため、マーケットをずっと見続けることはできません。それが理由というわけでもないですが、著名投資家のツイッターを参考にすることも一切ありません。
それでも今まで問題なく、株式投資でそれなりの成果を上げることができています。
「他人依存」を卒業して、自分で考えて行動できる個人投資家になろう
著名投資家のツイッターフォローから卒業できたとして、多くの方が困ってしまうのが、「いったい何をどうしたらよいかわからない」という状況になってしまうことです。これまで自分で銘柄を選ぶことも売買のタイミングを見計らうこともなく、著名投資家の後追いをしてきたわけですから、無理もありません。
まずは、そうした「他人依存」の状態から速やかに脱却し、自己責任で行動できる「自立した投資家」を目指しましょう。
そのためには、どの銘柄を買うのか、そしていつ買っていつ売るのかを自分で判断する必要があります。
株式投資では、自立できないと成果を出すことは非常に困難です。
もし「他人依存」で思うような成果が出ていないのでしたら、これをきっかけに「自立した投資家」をぜひ目指してください。
足立 武志
足立公認会計士事務所
※本記事は、2017年9月21日に楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で公開されたものです。