女性生徒の集客で重要なのは「特別感・個別感」
集客にSNSを使うという話は、前著の『自宅教室の開業・集客バイブル』(合同フォレスト)でもご説明しました。これは、ゴールとなるHPにお客さまを集めて成約へと結びつけるために、各種SNSツールの特性を理解して導線を設計するというものでした。つまり、「集客導線のためのSNS」という視点。
今回は、さらにステップアップした活用法として「成約率」に貢献するSNSの使い方をご説明します。SNSを成約に活用する際のポイントや注意点を見ていきます。
●ブログ
日々の出来事やお役立ち情報を提供するのではなく、申し込んでほしいイベントや、目的・意図がはっきりしている内容を書きます。その際、文末に必ず置かなくてはいけないのは、「行動(申し込み)を促す言葉」です。たとえば、「お申し込みはいますぐこちらから」などという言葉かボタンがそれに当たります。
単純なことなのですが、案外できていない方も多い項目です。書いているうちに、忘れてしまうからなのかもしれません。この一言があるかないかで、成約率はかなり変わります。ですから、成約を意識したブログには必ず最後に「行動を促す言葉」を入れることを意識してください。
とはいえ、「行動を促す言葉」ばかりだと読者がうんざりしてしまうので、イベント集客ブログの頻度は記事5回につき1回程度に抑えておくのがベターです。
●動画(YouTube等)
成約率アップに最も効果があるシーンは、「お問い合わせに対する返答」と「参加された方に対するお礼」です。また、長期的に成約を目指すのであれば「ステップメール(あるテーマに沿ったメールマガジン〈以下メルマガ〉が連続して届くシステム)」に添付する場合や、「チュートリアルコンテンツ動画(教育型教材の動画)」などは、学びを通して深い信頼関係が構築できるので、その後に誘導する講座(マーケティング用語でバックエンド)の成約率がグンと上がりやすくなるのです。
私は動画をあらゆるシーンで活用していますが、特に効果の高い次のシーンにおける使い方を具体的にお伝えします。
①お問い合わせに対する回答
通常お問い合わせはメールが多く、最近ではLINEからも増えています。いずれにせよ、お客さまの初動は文字ベースで入ることが多いです。たとえば、お客さまから、あるレッスンについて「他の日程はありませんか?」と問い合わせが入るとします。通常はお問い合わせに対する返答のみを、「○月○日○に空きがあります」などと、文字ベースで返す方がほとんどですが、私はそのような場面で動画を使います。
単に日程のみを案内するだけではなく、現在予定が立っていない場合でも、優先的に日程を調整してレッスンを受けられることや、現在開講している他のクラスに暫定的に入っていただくことで、参加したい気持ちをそのまま盛り上げるなど、さまざまな提案を動画で撮ってお客さまの検討材料として送付します。
この動画をご覧になった方からは「私のためだけに動画を撮ってくれた!」という感激の声とともに申し込みをいただくことが多かったので、成約率はほぼ100%でした。
直接対面して話を聞いているような気持ちになる「お問い合わせ返答動画」は、効果抜群の成約アイテムなのです。
②参加された方へのお礼動画
たとえば、「体験会」というメインのレッスンへ誘導するためのお試しレッスンを開催する場合、初めての生徒さんが多く参加しています。ですから、体験会が終わった後に、参加のお礼や、会で参加者から受けた質問に対する回答、感想などを5分程度の動画に撮って、参加者に送付するのです。終了後すぐに撮って送るので、大抵参加者が自宅に到着する前に動画が届いています。
「わざわざ動画を私のために送ってくれるなんて!」と、大変喜ばれます。ちょっとしたサプライズですね。その後、ほぼ9割の方がメインコースへ入会しました。
このように動画を成約に使う一番のポイントは「オンリーワン」。あなただけのために動画を撮っています、という特別感がお客さまには心地よく響くようです。女性は「特別感・個別感」が好きなので、成約に動画を使うのであればぜひその観点を意識してみてください。
Facebook、LINE…SNSごとに異なる集客のポイント
Facebookは直接成約に結びつくほど、インパクトのある使い方はできませんが、コミュニケーションツールとしての効果はあります。たとえば、タイムラインで自分の近況を写真や動画と共に発信すれば注目してもらいやすく、「いいね!」がつきやすくなります。見てもらえる人が増えれば、相対的に申し込みが入る確率も高まります。
「検索対策(SEO)」という観点では、外部からあなたの記事を探してもらうことはできませんが、「人属性」のツールなので、人間関係によるところの「紹介」も発生しやすい特徴があります。そのため、イベントの立ち上げ、動画を使ったFacebook広告などで効果が出やすい傾向があります。
Facebookでは、「キーワード」で成約するのではなく、その人の「個人的な魅力」で成約するケースが多いので、どれだけ自己開示ができてコミュニケーションがうまく図れるのかがカギになります。
写真投稿によるコミュニティーを気軽に形成できるツールです。写真だけなので簡単に投稿できる反面、テーマが曖昧になりやすく、投稿テーマに一貫性がないと見つけてもらうことが難しく、フォロワーも増えません。フォロワーの一つの目標数値は1000人なのですが、戦略的に運営しないと目標達成は難しい数値です。
また、Instagramは業種業態によって、合う・合わないがあるツールです。教室事業は比較的相性がよい業態だと思います。私のようなコンサル業は、本来あまり相性がよくありませんが、「写真講座」のコンサルも行っているため、きれいな写真を掲載することでブランドアップに貢献しています。
ただし、このケースはまれだと思います。通常、教室の先生が作品を知ってもらうのには適したツールですが、成約に使うのであれば、コメント欄での紹介や、ストーリー(24時間掲載される写真・動画のスライドショー機能)の活用、メインページへきちんと誘導できる仕組みを作ることが必須です。
最近では、ダイレクトメッセージから成約するケースも多く聞きますので、普段からのコミュニケーション作りが肝心です。誰でも簡単に使えるだけに、「キラリと光る」何かがないと埋もれてしまいます。ですから、成約に使うのであれば、注目してもらえる個性の発信と継続的なフォロワーとのコミュニケーションが必要です。
密な関係作りが、結果として成約しやすい土壌を作ります。
●LINE@(ラインアット)
幅広い年齢層の方が日常的に使っているLINEのビジネス用の機能です。さまざまなシーンで活用しやすいため、ここ数年で急速に普及しているツールです。
LINE@はクーポンやお知らせを一斉配信できる他、「1:1トーク」といわれるお客さまとの個別メッセージをやりとりできる機能があります。
これは特に魅力的な機能です。「既存の生徒さんとの連絡帳代わり」に使っている方も多いのですが、新規のお客さまが長期的にファンになってくれるように仕掛けることもできる、便利なコミュニケーションツールです。LINEでつながっている方は比較的反応も早いので、すぐにお客さまの声を聞けるのも魅力の一つです。
直接的、短期的に成約に結びつけることもできますが、どちらかというと細く長く続いていくコミュニケーション作りに注力し、一斉配信の内容なども「商売色」が強くないお役立ち情報やプライベートな内容なども盛り込んで運営することが大切です。
結果として成約率が高くなります。レッスン内容さえよければ、生徒さんが来てくれるわけではありません。いまは先生の魅力が教室選択に大きな影響を与えます。
以上、代表的な四つのSNSの特徴をお伝えしました。共通していえるのは、成約は「信頼」の証しという点です。SNSの機能はそれぞれですが、結果として「信頼」されなければ、その後の申し込みはありません。どんな発信なら信頼してもらい、会いたいと思ってもらえるのか? その点を意識した発信が大切です。
高橋 貴子
株式会社Libra Creation 代表取締役