建物に価値がなくても「土地」に価値があれば良い
現金での物件売却が期待できるケースについて見ていきます。
現金で購入する層は、主に3000万円以下の小規模な物件を狙っています。築年数が古くても入居率が良い高収益の物件は、人気が高いものです。
加えて3000万円以下の場合には、積算評価もあまり重要視されません。もちろん積算があったほうがよいのは間違いありませんが、築古アパートでいえば、建物に価値がなくても土地に価値があれば買いたい人はたくさんいます。
また、一般的には3000万円を超えれば現金で購入できる層が減るものですが、場所によっては高額でも現金で購入する投資家が多い物件もあります。たとえば、首都圏の区分マンション。昨今、外国人投資家から買いが殺到していますが、彼らは日本人投資家とは異なる目線で購入を決めているのです。
「土地建物の按分は何でも良い」と業者に伝えておく
都心のタワーマンションもまた、売り方がまるで違います。値段の査定の仕方も異なります。普通のタワーマンションを投資家に売ろうとすれば「そんな利回りでは買わないよ!」と一蹴されますが、タワーマンションの場合は利回りを重視しません。資産価値の問題です。利回りなどは関係のないところで、現金で売買されるのです。
そもそも築年が古い物件で、法定耐用年数の残存期間がなければ、減価償却できるのは4年です。それを目的に買う人もいます。売上が出過ぎた人は、減価償却目的で古い物件を探しているのです。
個人が売却を考える場合、もしくは法人でも課税業者でなければ、売却時の土地・建物の按分に対して、柔軟に対応すれば売れることがあります。契約書に書かれたことが優先されるため、評価書に関係なく按分が可能になるのです。
たとえば建物が9割の場合、1000万円なら900万円、土地が100万円です。その900万円は4年間で一気に落とせます。減価償却で900万円÷4年となります。さらにその物件が土地値に近ければ、より良いでしょう。
売るための手法として「土地建物の按分は何でもいいですよ」と、不動産会社にしっかり伝えれば実現可能です。