中小企業が「差別化戦略」で勝ち残るためのキーワード5つ

※本連載では、公認会計士・米国公認会計士の資格を持ち、数々の企業でコーポレートファイナンスを通じて新たなスキームを構築してきた株式会社H2オーケストレーターCEOおよび一般社団法人M&Aテック協会代表理事である・久禮義継氏が、新時代に中小企業が生き残るための経営戦略を提案していきます。

企業戦略における「差別化」はもはやアタリマエ⁉

中小企業に限らず、企業戦略を検討する際において、おそらく一番使われていますが、一番注意しなければいけないキーワードが存在します。

 

それは、「差別化」。

 

何かアクションを取る際には、盲目的にこのキーワードが飛び出すことが多くありませんか?(模倣戦略も立派な戦略の一つですが、実際の現場において、耳触りが良い、賛同を得られやすいという意味では、模倣戦略よりも差別化戦略を推進する、しようと試みるケースが圧倒的に多いのではないでしょうか(関連記事『中小企業の競争戦略…「差別化」と「模倣」を融合させるには?』))

 

こんな感じです。

 

社長「これってどこが他社製品と差別化ができているのだ?」

 

部長「お前、なんでもいいから差別化されるための策を考えろよ」

 

現場従業員「XXXを進めると他社製品に対し差別化されるから採用すべきと思います」

 

などなど。

 

何故注意しなければならないのでしょうか? その理由は、当たり前だからです。当たり前は戦略とは呼べません。呼んだ時点で思考停止なのです。

 

皆さんも学生時代に先生から何度もいわれませんでしたか?「個性を大切にしましょう」と。その時、例えばこのように思ったことはありませんでしたか?

 

「人間一人一人違うから、何らかの個性はあるに決まってんじゃん」

 

私達は無事学生時代を終えても同じことを呪文のようにいわれ続けているのです。一社一社違うから、何らかの違いがあるに決まっているのにも関わらず…。では、差別化はアタリマエであるとして、少し頭をひねって見ましょうか?

「競合と違うことをやることが正義」になりがちだが…

ここで、中小企業が自ら納得感を持って狡猾に差別化戦略を推進する際のキーワードを5つあげてみます。

 

「非規模追求型」、「方向性」、「継続性」、「ステルス」、「スリップストリームアタック」です。

 

[図表1]
[図表1]

 

では、これから一つずつ紐解いていくことにします(「ステルス」と「スリップストリームアタック」は模倣+α戦略と密接に関係するので、次回以降で別途説明します)。

 

①「ちりも積もれば山となる」(非規模追求型)

要は必要以上に構える必要はないということです。

 

皆さんはサベツカという言葉に踊らされて、すごく難しいもの、大変なことと思いがちではないでしょうか? 普通に考えたら、小さいよりも大きい方がいいでしょう。ただ、ここでの主役は中小企業です。非力なパワーでスロットル全開であるとエンジンが焼き付いてしまう可能性があります(例. 急な変化に従業員が混乱する、疲弊する)。

 

もっと肩の力を抜いて、できることから始めればいいのです。

 

一つ一つのサベツカは小さくても積み上がるとまさに「ちりも積もれば山となる」の世界なのです。そして、「ちり」がきちんと山となるためにはこれから示す「方向性」と「継続性」が重要になってくるのです。

 

「我々は一体どこに向かっているのか」(方向性)

これもサベツカに踊らされる典型パターンです。つまり「サベツカ、サベツカ・・・」と呪文のように唱えられると、とりあえず「競合と違うことをやることが正義」になりがちなのです。あくまで「あるべき姿」を目指して進むことを前提に差別化の設計を行う必要があるのです。

 

[図表2]注※PDCAサイクルとは、特定の目的を達成するために、「Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)」を繰り返して継続的に改善していく手法をいいます。
[図表2]注※PDCAサイクルとは、特定の目的を達成するために、「Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)」を繰り返して継続的に改善していく手法をいいます。

 

つまり、良くいう「木を見て森を見ず」状態に陥らないようにしましょうということです。

 

別に普通のことで難しいことではないですよね?

 

「マシンガンを撃ち続ける」(継続性)

差別化の施策を行い、(たとえ一定の成果を挙げたとしても)単発で終えて『やり遂げた感』で満足してしまうケースが枚挙にいとまがありません。

 

これは大企業でも顕著に見られる誤りです。矢継ぎ早に施策を打っていくことが必要です。

 

中小企業は大砲を持っていません。マシンガンです。大企業相手なら竹槍にしか見えないかもしれません。しかしながら、別途解説しますが、こそこそ(ステルス)しながら、ちょこちょこ後ろに回り込み、撃ち続ける必要があるのです。

 

なお、別に同じことを継続する必要はありません。というか、逆に適時適切に方向転換して行った方がいいことが多いでしょう。

株式会社H2オーケストレーター・CEO
一般社団法人M&Aテック協会・代表理事
公認会計士久禮義継事務所・代表
 

1994年、同志社大学経済学部在学中に公認会計士第2次試験合格。1995年、同校卒業後、中央監査法人に入所。1998年、日本興業銀行ストラクチャード・ファイナンス部へ出向。2000年、同法人金融部に配属。2001年、ドイツ証券投資銀行本部に転じる。2006年、ミシガン大学ビジネススクールを卒業後、The Bridgeford Group(ニューヨーク)にて勤務。2007年に帰国し、JPモルガン証券投資銀行本部、みずほ証券グローバル投資銀行部門、Deloitteなど数社を渡り歩く。2013年、NEC経営企画本部に転じ、2019年独立。これまで、規模・地域・業種を問わず数兆円超(企業価値)のM&Aアドバイザリー、民事再生法を活用した事業再生スキーム(国内初案件)におけるM&Aアドバイザリー、事業法人グローバルIPOにおける共同主幹事(2002年国内最大案件)、特殊法人の民営化関連アドバイザリー、退職給付信託や各種証券化スキームの開発等、投資銀行業務における重要案件を幅広く担当した経験を有する。NECでは、上級役員の参謀役として経営の中枢に携わり、中長期戦略・グローバル戦略の立案・実行部隊として、ダボス会議事務局、グローバルアライアンス推進、新規事業開発、中期経営計画立案などに従事。公認会計士、事業承継士、米国公認会計士(未登録)。著書に『流動化・証券化の会計と税務』(中央経済社)、「スモールM&Aの教科書 −売買当事者が安心して取り組める実務知識−」(中央経済社)など。

著者紹介

連載令和時代に生き残る!中小企業のための新しい経営戦略

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