中国、強硬派の声高まったか…米国の対中制裁関税第4弾発動

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米中通商協議の先行きが不透明となっています。米国側からは、既に発動された2,000億ドル分の対中輸入追加関税を10%から25%に引き上げることに加え、残りの約3,000億ドル分の対中輸入への追加関税に向けた手続きが発表される一方、中国も5月9、10日の会談直後は控えていた報復を公表しました。

米中通商協議:中国、報復関税を表明し、米国も対中制裁関税(第4弾)発動の手続き

中国財政省は2019年5月13日、米国からの輸入品600億ドル相当に6月1日から追加関税を課す報復措置をウェブサイトで発表しました。主な関税の内容は2,493品目に25%の新税率が適用され、他の製品は5~20%の関税が適用されるとしています。

 

一方、米通商代表部(USTR)は同日、中国の報復措置を受けた格好で、中国製品約3,000億ドル相当に最大25%の関税を課す対中制裁関税(第4弾)発動の手続きに入ることを発表しました。USTRは6月17日に公聴会を開く予定で、発動は早くても6月終わりとなる見通しです。

どこに注目すべきか:米中通商協議、報復関税、中国製造2025

米中通商協議の先行きが不透明となっています。米国側からは、既に発動された2,000億ドル分の対中輸入追加関税を10%から25%に引き上げることに加え、残りの約3,000億ドル分の対中輸入への追加関税に向けた手続きが発表される一方、中国も5月9、10日の会談直後は控えていた報復を公表しました。

 

米中通商協議については、メディアで報道されていますが、市場動向を考える上でポイントを述べます。

 

まず、何故協議がこじれたのかについて考えると、キーとなるのは中国当局が用いる「核心的利益(妥協の余地のない国益といった意味)」で、譲らない姿勢を示したことがあげられそうです。例えば、産業補助金(習近平国家主席が掲げる「中国製造2025」などに産業育成策にそって関連産業に支出しているとされる補助金)に米国はクレームをつけたと報道されています。しかし中国は国家の核心的利益については譲歩をしない姿勢を明確にしたと見られます。

 

米国の交渉団に強硬派のUSTRと穏健派を代表するムニューシン財務長官がいるように、中国にも強硬派と穏健派が混在するといわれています。ただ中国では穏健派の声が強いと見られていました。昨年12月の米中首脳会談以降の人民元の落ち着きには、中国側の穏健的な姿勢も反映していたと見られますが、交渉での譲れない一線を前に、中国でも強硬派の声が高まったと見られます(図表1参照)。

 

[図表1]日本円(対ドル)と人民元(対ドル)レートの推移 日次、期間:2018年5月14日~2019年5月14日(日本時間午後1時) 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]日本円(対ドル)と人民元(対ドル)レートの推移
日次、期間:2018年5月14日~2019年5月14日(日本時間午後1時)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

米中通商協議は国同士の交渉ながら、国内事情に目を向ける必要があるのは米国も同様です。大統領選挙を来年に控え、支持率(と株価)が注目されます。足元トランプ大統領の支持率が回復しているのはロシア疑惑が一服したことで小幅上昇しています(図表2参照)。今後、中国への追加関税を受け世論の支持が拡大して交渉姿勢を強める可能性にも注意は必要です。

 

[図表2]トランプ大統領の支持・不支持率の推移 期間:2018年5月13日~2019年5月13日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]トランプ大統領の支持・不支持率の推移
期間:2018年5月13日~2019年5月13日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

当面の注目点は6月(28~29日)の日本での20ヵ国・地域(G20)首脳会議です。習近平国家主席と、トランプ大統領の会談がスムーズに実現するならば当面の市場の落ち着きも想定されます。ただ、米中通商協議は貿易不均衡というより、かつて日本と米国が演じた構造協議のような色合いが濃く、長期にわたって協議が続く展開が想定されます。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国、強硬派の声高まったか…米国の対中制裁関税第4弾発動』を参照)。

 

 

(2019年5月14日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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