インドネシア大統領選挙、市場の関心は連立政権構成・組閣へ

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

開票速報でジョコ大統領の再選が確実となっています。また、同時に行われた総選挙は、開票が遅いため全体像はつかめませんがジョコ大統領を支持する勢力が票を伸ばしている模様です。再選となれば、低インフレや労働市場の規制緩和、インフラ投資などの政策継続が期待されます。ただ、ジョコ大統領には新たな分野への挑戦も求められます。

インドネシア大統領選挙:開票速報でジョコ大統領当選確実、市場は再選を好感

インドネシア大統領選挙は2019年4月17日に投開票され、民間調査機関の開票速報で、現職のジョコ大統領がプラボウォ元陸軍戦略予備軍司令官の票数を10%程度上回り、再選を確実のものとしています。前回(2014年)の選挙と同じ顔ぶれで争われましたが、就任後の実績を訴えたジョコ大統領が前回を上回る支持を集めそうです。

 

なお、公式の開票結果は、報道では5月22日までに公表される予定ですが、市場では、政権維持による政策の安定化期待からルピア高傾向です(図表1参照)。

 

[[図表1]インドネシア・ルピア(対ドル)と株価指数の推移</strong></p>
 日次、期間:2018年4月17日~2019年4月17日 ※※インドネシア株価指数:ジャカルタ総合指数 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]インドネシア・ルピア(対ドル)と株価指数の推移日次、期間:2018年4月17日~2019年4月17日
※インドネシア株価指数:ジャカルタ総合指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

どこに注目すべきか:開票速報、燃料補助金、インフラ投資、金融

開票速報でジョコ大統領の再選が確実となっています。また、同時に行われた総選挙は、開票が遅いため全体像はつかめませんがジョコ大統領を支持する勢力が票を伸ばしている模様です。再選となれば、低インフレや労働市場の規制緩和、インフラ投資などの政策継続が期待されます。ただ、ジョコ大統領には新たな分野への挑戦も求められます。前回と同じ顔ぶれで争われ大統領選挙、投票後にプラボウォ氏が負けを認めないところは、既視感(デジャブ)を覚える光景です。大小様々な島からなる国ゆえ開票作業に時間がかかる事情もあり公式結果はこれからですが市場の関心は既に連立政権の構成や組閣へシフトしたと見られます。

 

連立政権の姿などは今後の展開を待つ必要がありますが、その前に、政権の過去の実績と今後の課題を振り返ります。14年10月に大統領に就任したジョコ大統領は、就任翌月に石油製品の販売価格を抑えるための補助金を削減し、ガソリン価格を3割引き上げると発表しました。消費者物価指数(CPI)は14年末に前年比で8%を超える上昇となりました(図表2参照)。

 

 

[図表2]インドネシアの消費者物価指数(CPI)とGDPの推移</strong></p>
 月次、期間:2014年1月~2019年3月、GDPは四半期、前年比、12月迄  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]インドネシアの消費者物価指数(CPI)とGDPの推移
月次、期間:2014年1月~2019年3月、GDPは四半期、前年比、12月迄
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

しかし、燃料補助金削減の影響は徐々に低下、15年中頃からの通貨安定などを受け、インフレ率は低下しました。

 

一方、燃料補助金削減では100兆ルピア以上の節約が可能となったと見られ、その分をインフラ投資に割り当てたことからGDP(国内総生産)成長率は、補助金削減直後は低下しましたが、その後5%前後で安定的に推移しています。

 

ただ、昨年は選挙を控え補助金復活の動きが見られました。インフラ投資を続けるためにも、不必要な補助金削減の方針を確認する必要があります。また再選後は補助金削減以外の政策にも注目が集まると見られます。

 

インドネシアは豊富な国内の投資機会に対し資本が不足し、外資に依存する割合が高いと言われています。開放的とも表現出来ますが、資本流出リスクと裏腹です。その点で国内金融の整備が急務と思われます。例えばインドネシアの銀行財務は概ね健全ですが、数の多さが気がかりです。

 

なお、金融ということで付け加えると、インドネシアはイスラム教徒が多い国ですが、イスラム系銀行は総資産ベースで4%程度です。政府は5%を目標にイスラム系銀行のプレゼンスを高める意向です。ジョコ大統領は副大統領候補に著名なイスラム教指導者を指名し選挙を戦いましたが、今後の政策にどのように反映されるか注目しています。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『インドネシア大統領選挙、市場の関心は連立政権構成・組閣へ』を参照)。

 

 

(2019年4月18日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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