韓国中銀、インフレ率見通し引き下げの対処方法

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韓国中銀は韓国の経済成長率とインフレ率の見通しを引き下げました。特にインフレ率は1.1%と、前回の見通しから0.3%引き下げています。韓国のその他の経済指標も改善傾向とは言いがたく、1月の引き締め姿勢から、緩和に転ずるのではとの観測もあります。しかし、韓国は19年後半に若干改善する期待もあり、韓国中銀は当面様子見の可能性もあると見ています。

韓国中銀:政策金利を据え置くも成長率とインフレ率の見通しを引き下げ

韓国銀行(中央銀行)は2019年4月18日の金融政策決定会合で市場予想通り、全会一致で政策金利を1.75%に据え置きました。韓国中銀は昨年11月の会合では0.25%の利上げを実施しています。

 

 

李柱烈韓国中銀総裁は、現時点で19年のGDP(国内総生産)成長率を2.5%、インフレ率を1.1%と予測していると表明、1月時点の各々2.6%、1.4%の見通しから引き下げました(図表1参照)。

 

[図表1]韓国中銀による19年韓国インフレ率の予想の推移 予想時点:2019年1月(左、細字)、2019年4月(右、太字) 出所:韓国中央銀行のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]韓国中銀による19年韓国インフレ率の予想の推移
予想時点:2019年1月(左、細字)、2019年4月(右、太字)
出所:韓国中央銀行のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

どこに注目すべきか:韓国中銀予想、下方修正、家計債務、輸出

韓国中銀は韓国の経済成長率とインフレ率の見通しを引き下げました。特にインフレ率は1.1%と、前回(19年1月)の見通しから0.3%引き下げています。韓国のその他の経済指標も改善傾向とは言いがたく、1月の引き締め姿勢から、緩和に転ずるのではとの観測もあります。しかし、韓国経済は19年後半に若干上向く期待もあり、韓国中銀は当面様子見の可能性もあると見ています。

 

今月公表された韓国の経済指標を簡単に振り返ると、景気回復の鈍さが見られます。例えば主力産業の輸出は3月が前年比マイナス8.2%と市場予想を下回りました(図表2参照)。

 

[図表2]韓国と台湾の輸出の推移  月次、期間:2014年3月~2019年3月、前年同月比  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]韓国と台湾の輸出の推移
月次、期間:2014年3月~2019年3月、前年同月比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

3月の失業率は3.8%と、1月の4.4%から回復しましたが、若年層の失業率は2桁近いなど内容に改善が見られません。韓国の文政権による「所得成長主導論」は依然成果に乏しいと見られます。

 

このような中、韓国中銀は19年のインフレ見通しを0.3%も引き下げました。昨年11月に利上げをした韓国中銀ですが、利下げに転じても不思議ではないような修正です。しかし、次の点で当面は据え置きの可能性が高いと見られます。

 

まず、インフレ率の下方修正の中身を見ると、大半は(既にかなり経過した)19年前半の下方修正が要因です。一方、年後半の修正は小幅で、利下げを急ぐ必要性は低いと判断していると思われます。成長率もインフレ率と同様、19年前の下方修正が後半を上回っています。

 

次に、記録的水準に膨らんだ家計債務への懸念です。李総裁は緩和的政策を続けるとしながらも、記録的水準に膨らんだ家計債務に懸念を示しています。韓国中銀は水準としては緩和的と見なしている現在の政策金利を、新たに下げる必要性は低いと思われます。

 

また、来週公表される韓国の1-3月期GDPは韓国中銀の19年予想と一致する、前年同期比2.5%が市場で予想されています。韓国中銀はこの成長率は韓国の潜在成長率にほぼ沿うとの認識と見られます。

 

最後に、今後の韓国経済で注目すべき要因を挙げるとすれば輸出と見られます。韓国と台湾の輸出は連動していますがこれは中国の影響です(図表2参照)。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『韓国中銀、インフレ率見通し引き下げの対処方法』を参照)。

 

 

(2019年4月19日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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