歯みがき嫌いの子はなぜ多い?本質的な問いが市場を制するワケ

今回は、「レッドオーシャン」市場に新たに参入し、幅広く支持を集めるための「商品・サービス」の考え方を見ていきます。本連載では、飽和状態のハミガキ粉市場で、「超高価格の子ども用ハミガキ粉」を大ヒットに導いた筆者が、自らの経験を基に、「レッドオーシャン」で勝つためのビジネス戦略について解説します。

「オンリーワン」の深い意味をどうとらえるか?

この連載では、特に既存商品が多く、有力なライバル企業がひしめくレッドオーシャンの中で、どうすれば、お客様の支持を集める商品・サービスが作れるのか、ファンになってもらえるのか、その本質を考えていきます。

 

具体的には、私が常に考えている「オンリーワン戦略」や「幸せマーケティング」のあり方を論じていくことになります。

 

まず、オンリーワンについてですが、その意味を皆さんはどのように理解しているでしょうか。ビジネスでは、よくこの言葉「オンリーワン」が使われますが、その深い意味をとらえていないと、信念を持ってレッドオーシャンに斬り込んでいくことはなかなか難しいのではないかと思います。

 

例えば、あなたが「オンリーワン」の本質を知っているなら、私の信念が乳酸菌ハミガキ粉の価格にも表現されていることがわかるかもしれません。

 

またこのハミガキ粉の値段については、おそらく多くの人が引っかかっているのではないかと思います。「なぜそんなに高いのだろうか?」「既存商品より断然高額なのに、なぜ売れているのだろう?」などと。

 

しかし、結論からいうと、私の頭の中で、値段はそれほど大きな問題ではありませんでした。結果的に、信念に基づいて商品作りをしたら、その値段になってしまったというのが実情です。

自ら扱っている商品・サービスの「本質」を考える

「高額商品をいかに売るか」というヒントを求めている人は、肩透かしのように感じるかもしれませんが、私は昔からそういうスタンスを取ってはきませんでした。それよりも、常に「本質を考えること」が大事だと思っています。私が考える本質というのは、こういうことです。

 

・ その商品・サービスが、お客様にどんな意味、価値、喜びを与えられるのか?

・自分の仕事は、お客様にどんな意味、価値、喜びを与えられるのか?

・ その商品・サービスや自分の仕事は、本当に世の中に役立ち、人を幸せにするのか?

・自分自身が本当に心から提供したいと思う商品・サービスなのか?

 

このように物事を深く考える私は、世の中では少数派なのかもしれませんが、ビジネスを展開するときでも「売れそうだから」「儲かりそうだから」という動機だけで事を起こしたことはありません。

 

そもそもの本質を考えて、「これなら喜んでもらえるに違いない」「誰かを幸せにできる」「世の中がよくなる」とワクワクしてきたとき、どうしてもやらずにはいられなくなるのです。

 

そういう商品・サービスを開発することは、往々にして「夢物語」と片づけられがちです。しかし、皆さんにも、そんな「夢のような商品・サービス」を思い描いたことはないでしょうか?

 

ふだん取り扱っている商品・サービスについて、何かもっとよいものがあるのではないかと思っても、業界や世の中で「こんなものだ」と思われている常識にとらわれて、いつの間にかあきらめてしまうことが多いように思います。

 

しかし、いったん常識はわきに置いて、もっと深く「本質」を考えてみるのもよいことではないかと思うのです。それが、遠回りなようでも、既存の市場に新しい風を吹かせる出発点になる気がします。

 

[図表]
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ハミガキ粉は子どもや親を「幸せ」にする可能性がある

では、仕事で本質を考えるというのは、どういうことでしょう。わかりやすいように、この本の題材である歯みがきやハミガキ粉に関して「本質的な問い」を挙げてみましょう。

 

・ そもそも歯みがきは、何のために行うことなのでしょうか?

・ そもそもハミガキ粉は、何のために使うのでしょうか?

・ そもそもなぜ歯みがき嫌いの子どもが多いのでしょうか?

・そもそも歯科医院、歯科医師の役目とは何なのでしょうか?

 

この「そもそも」という言葉は、本質に立ち返ろうとするときに必ず出てくるのです。同じ疑問でも、「そもそも」を問わなければ答えは簡単です。

 

歯みがきは、むし歯を防ぐために行うことであり、ハミガキ粉もそのための道具です。そして歯科医院や歯科医師の役目は、むし歯を治したり、予防を指導したりすることです。これらの答えは、「常識」と呼んでよいでしょう。

 

しかし、「そもそも」を考えると、そう簡単には答えられなくなります。そして、出てくる答えもかなりニュアンスの異なったものになるのではないでしょうか。私たちも、歯みがきやハミガキ粉の本質と向き合ったとき、既存のハミガキ粉とは異なる意味や価値を見いだしました。

 

つまり、ハミガキ粉には、子どもや親をもっと幸せにできる可能性があるということです。むし歯予防にとどまらず、子どもが歯みがきを好きになり、歯をみがくことで親子が幸せになれるハミガキ粉です。

 

ひょっとしたらこの商品は、ほかのハミガキ粉と同じコーナーや棚に並ぶものではなく、育児コーナーなどに並ぶものかもしれません。本質を考えると、それまでなんとなく「こういうものだ」と思い込んでいた常識とは異なる見方もあることに気づけることがあります。

 

その結果、今まで気づかなかった商品・サービスの意味が見えてくることも少なくないように思われます。

 

 

齊藤 欽也

歯科医師/ウィステリア製薬株式会社代表

 

歯科医師
ウィステリア製薬株式会社代表
社会起業家
コンサルタント
カウンセラー

1954年生まれ。明海大学歯学部卒業、1982年静岡県富士市にて歯科医院を開業し、以来36年間増収を続けている。当クリニックは、地方都市のシャッター通りの一角にあるにもかかわらず、業界水準を大幅に上回る自費率70%以上を維持し、予約の取りにくい歯科医院として多くの人に支持されている。50歳の時に、医院をビルの2階から新しいコンセプトの大型歯科医院に新築移転する。クリニック経営が順調に進む中、59歳の時、生死をさまよう大病を患ったにもかかわらず、退院後60歳にして新たな分野(大企業がひしめくオーラルケア業界)で起業し、新市場を開拓。わずか3年で驚異の売り上げを記録し、様々な分野で、独自のポジションを築いている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

著者紹介

連載「成熟市場」で生き残る常識破りのマーケティング戦略

レッドオーシャン革命 常識破りのマーケティング戦略

レッドオーシャン革命 常識破りのマーケティング戦略

齊藤 欽也

幻冬舎

定価7800円の子ども用ハミガキ粉がなぜ売れているのか? 創業わずか3年。競争の激しいオーラルケア市場で急成長を遂げたベンチャー企業の軌跡から読み解く「ビジネスの新常識」 現代社会は、品質が優れ価格も手ごろな商品…

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