中国の債券市場「自由化」の流れも良い兆しに
幾田 中国の不動産セクターへの投資について、懸念が広がっていると思いますが、どのようにお考えですか?
フィオナ 株式と債券への投資は大きく異なります。債券投資においては、流動性とデフォルトレートを注視します。確かに、中国の景気減速は懸念すべき点ではありますが、それは主に株式投資においてであって、債券投資においてはその他の要因も絡むため、影響は限定的と考えます。
2年前、中国は財政政策として住宅ローンの金利を引き上げ、不動産への投資がより困難になった結果、関連企業の業績悪化を招きました。しかしながら、現在、不動産セクターは中国経済にとって重要なセクターです。
昨年から、中国政府は、住宅ローン金利を引き下げたり、セカンドホームの購入を許可したり、不動産投資の活性化を図っています。その結果、特に人気のある大都市部において、不動産の在庫率は、2010年と同レベルに下落してきています。また、中国の債券市場が自由化しつつあるのも良い兆しです。中国本土での起債が盛んになれば、米ドル建市場より2-3%ほど安いコストで資金が調達できる上に、為替リスクも負いません。今年も不動産セクターはよい債券投資の対象となると考えています。
GDP比で比較してみてもデフォルト率は高くない!?
幾田 過去にデフォルトを起こした債券がありましたが、政府の対応などあまり目立った動きがなかったようです。今後、政府の対応や市場からの反応に変化が見られると思いますか?
フィオナ 政府は個人投資家保護をもっとも重要視し手織り、銀行に対して、個人投資家への支払いを奨励しています。今度も景気が減速する中で、さらにデフォルトが起こる可能性はあると思いますが、市場において私企業が占める割合は非常に低く、一企業のデフォルトが市場全体に与える影響はそれほど大きくないと思います。
実際、国家単位(GDP比)でみても、デフォルト率は高くありません。ですから、中国におけるデフォルトに関して、それほど心配する必要はないと考えています。確かに、発行数は減速するかと思いますが、流動性やファイナンシングといった点では問題はないと判断しています。